「ニットの洗濯と保管方法」の正解
長く着続けたいニットこそ、丁寧かつ正しいケアがマスト。お手入れするうえで浮かぶ日々の「ハテナ」を解決するべく、洗濯のプロやニットの専門家の方々にヒアリング。
繊細なニットには正しい洗濯と保管が不可欠。自己流でやっていたことが、実はニットに負担をかけている可能性も。洗い・乾燥・干し・収納の一連の流れをおさらいし、確かなセルフケアを習得。
【お話を伺った方々】
Rinenna・平島利恵さん・もみ洗い不要の、“浸け置き専用洗剤”をメインに販売するブランド「Rinenna(リネンナ)」を展開。「洗濯の正攻法を伝授する」を使命に、洗濯研究家として多数のメディアで活躍。
UTO・宇土寿和さん・世界最高峰のカシミヤ糸を使用した最高級カシミヤニットの企画・製造・販売を、国内で一貫して行うニットメーカー「UTO」の代表。カシミヤニットに関する数々の著書を出版。
レジュイール・古田陽祐さん・長年培ってきた独自の手法で絶大な支持を誇る、高級クリーニング店「レジュイール」を率いる衣類ケアのプロ。ファッション関係者からのラブコールが絶えない。
そもそもニットを洗う頻度はどれくらいが正解?


「3〜4回着用後に洗うのがベスト」
ニットは汚れがつきにくいため、3〜4回ほど着てからの洗濯で十分。ただし、食べ物をこぼしたり、においがついてしまったら早めに対処することが必要。
「洗う前におさらいしたい」よくある洗濯表記
おウチでケアをする際は、まず手持ちのニットの洗濯表示をチェックすることからスタート。これさえ覚えておけば間違いない4つをリストアップ。
「乾燥機使用不可」

タンブル乾燥NGのマーク。タンブル乾燥とは、家庭用のドラム式乾燥機のように衣類を回転させながら温風をあてる方法。基本的にニットは形くずれ防止のために自然乾燥がベスト。
「家庭での洗濯NG」

オケにバツがついたマークは、家庭での洗濯NG。水洗い不可なので、クリーニングに出すのが賢明。ウールやカシミヤなど動物性繊維のアイテムによく見られる表示。
「手洗いOK」

オケに手が表示されているマークは、水温40℃を限度に手洗い可能。手洗いすることで色落ちや素材の縮みを防止できる。洗剤はオシャレ着用を用いるのがオススメ。
「条件つきで洗濯機使用可」

30℃のぬるま湯で、非常に弱い洗い方なら洗濯機使用OK。マークの数字は水温の上限、オケの下の線が増えるにつれて、弱い洗浄力が求められる。実際に洗うときは裏返して洗濯ネットを使用すること。
「自宅での手洗い」に失敗しないための正解とは?

お湯の温度や洗い方など、細かい部分まで正しくこなせるかどうかが、成功と失敗の分かれ道。セルフケアでも傷ませない、適切な手洗いの手順を5つの段階に分けてご紹介。
1.バケツに40℃くらいのぬるめのお湯を張る

1枚のニットが浸かるくらいの大きさのバケツに、40℃前後のぬるめのお湯をためるところからスタート。熱すぎない、やや生ぬるいくらいのお湯が、汚れが落ちやすい適温。
2.中性洗剤をとかして浸け置き(2〜3分)

お湯の中に適量の中性洗剤をとかして、ニット全体がお湯に浸かるように沈める。もんでしまうと縮みの原因になるので、さわらずに2〜3分放置。洗剤の入れすぎには注意を。
3.泡が出てこなくなるまでお湯ですすぐ
2〜3分ほど浸け置きしたら、お湯ですすぐ。ニットから泡が出なくなったタイミングが、すすぎ終わりの合図。すすぎ残しは変色の原因にもなるので、入念なすすぎが重要。
4.バケツに柔軟剤をとかして浸け置き(5分以上)
すすぎ終わったらバケツの中のお湯を捨て、新しいお湯に入れかえ。柔軟剤をとかしたら、再度5分以上浸け置き。パサつきが気になる場合は、長めに10〜15分ほど浸けてみて。
5.洗濯機で脱水(30秒〜1分)
柔軟剤での浸け置きが終わったら、すすがずにそのまま洗濯機へ。脱水モードで30秒〜1分ほど脱水。脱水時間が長すぎると、きつめのシワが入ってしまうので、短時間にとどめて。
「やさしくしぼったらバスタオルで水分をとりのぞく」

すすぎ完了後やさしくしぼったら、バスタオルで包んで水分をとりのぞく。「しぼるときはあくまでもやさしく。雑巾のように強くしぼってしまうと、ニットに大きなシワができてしまいます。