秋が深まり、肌見せの少ない服が増えてくると、なぜか重たく見えたり、どこかおかしい、すっきり決まらない……。そんな悩みを解決するのが、シルエットと丈感のバランス。
(CONTENTS)
①コーディネートは「シルエット」次第
②人気スタイリストがよく使う「バランス良く見える」テクニック
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コーディネートは「シルエット次第」
今回紹介する6つの法則の中から、自分に合うものを見つけて実践すれば、コーディネートに悩むことも減り、似合う服も自然と選べるように。スタイルUPもバランスUPも。注目すべきは「シルエット」。
華奢さを引き立てる
【ゆったり+ほっそり】

スレンダーなパンツに対して、トップスはボリュームアップ。メリハリをつけることでボトムラインに奥行きが出るため、簡単に美脚をねらえる。
レングスの差でスタイルUP
【上は短く+下は長く】

「短い・長い」の極端なレングス差で優雅なシルエットのゆるみをカット。ショート丈のポロシャツを重ねて、ワンピをスカートライクにアレンジ。腰まわりにできる切り替えが、淡い配色の間のびをセーブ。
曲線的な形を作るのがポイント
【上下ゆったり】

ボーイッシュなスタイルは着方で曲線をセルフメイク。カジュアルさが気になる全部ルーズな組み合わせは、配色でコントラストを意識。ブルゾンの前を閉じて着ると、すそのリブ部分以外はふくらむため、曲線的な輪郭に。おかげでウエスト周辺に凹凸ができ、ゆるい服どうしのもたつきを防げる。細身のミュールで足元は抜けをキープ。
重心を上げる
【短めボリュームトップス+ハイウエストのワイド】

重心を上げるためにカーデ感覚でボレロをプラス。ワイドデニムの迫力に負けないボリュームスリーブのボレロで、上下均等なバランスに。首元&そで口にほどこされたひもを結び、上半身に一体感を生むと、正反対のテイストMIXがうまくまとまる。
スリムな形の中でメリハリを
【ぴったりトップス+Iシルエットのボトム】

スリムなワンツーのベルトがわりにオーバーシャツをひと巻き。ヒップラインは隠しつつ、ウエスト部分を引き締める。1つで小物と服の役割をはたせる、メンズライクなシャツはなにかと便利。
デザイン1つの力でバランスUP
【ウエストを絞ったXライン】

ときにはデザインに頼って手早くXラインを形成。ウエストがシェイプされた構築的なベストを主役に。フィット&フレアなラインに、縦落ちパンツを合わせることで、腰まわりをすらりと流す効果が。
服はシンプルでも「バランス良く見える」実例集
人気スタイリスト・樋口かほりさんがコーディネートで多用するテクニック。「バランス良く見えるコーディネートの「裏側」を取材。
(スタイリスト・樋口かほりさん)

ベーシックなアイテムを軸としながら、女性らしい小ワザを効かせたスタイリングが大人気。メンズの服をレディースに落とし込んだコーディネートのテクニックに定評。
上は軽く・下は重め

「ボトムから秋支度。ウール素材でパンツにほどよい厚みを持たせれば、薄手トップスと合わせてもメリハリのあるバランスに。辛口に整えたりリラックス感を与えたり、印象を操る使い勝手のよさにも注目。ウエストマークで着こなしにリズムを。
ヒップまわりにゆとりのあるパンツだから、ウエストをキュッと締めると女性らしいボディラインに転換。薄いTシャツ1枚で着ても、ウールの厚みで抑揚のあるスタイルが完成」(樋口さん)
「だいたい男」でいい結果

「まずメンズ同等に服を組み合わせて、最後に女っぽさをちりばめていく考え方でスタイリング。目を引くピアスを飾ったりヘアスタイルに手をかけたり、いつも以上に“女っぽさ”の重要性も気づかせてくれます」(樋口さん)
「メンズ」の活用法

「トップスはGapで買った、体が泳ぐようなサイズ感のメンズニット。大きめニットと華奢な小物の対照的なバランスが、女性らしさを引き寄せるポイント。女っぽさのあるスタイリングにしたいとき、直接的な女性らしいデザインを選ぶよりは、メンズやユニセックスのニットで“引き立てる”ほうがむしろ女っぽい。
メンズアイテムはすそがきゅっと締まったデザインが多く、自然とメリハリが出せるのもよく着る理由のひとつ。そのぶん、小物はわかりやすく女性らしい華奢なアイテムでバランスをとります。柄もサイズも振り切ったマニッシュさだけど、ボタンを開けてデコルテ見せが可能。ルーズさと緊張感のバランスがとりやすい」(樋口さん)
「季節を問わずに活躍する」メンズのケーブルセーター

「レディースのオーバーサイズとはまた違う、気の抜けたルーズなシルエットと肩の落ち感はメンズニットにしかない。オールホワイトのコーデにとり入れた、女性らしいのにラフなスタイリングがとくに好きです」(スタイリスト・樋口かほりさん)

「それだけで目を引く存在感のケーブル編みのボリュームニットは、デニムやチノ、スキニーなどの定番ボトムに合わせるだけで、無難さ・地味さとは無縁の抑揚のあるスタイリングに。立体的感のあるフォルムだから、間のびしがちな白ワントーンも上手くいく」(樋口さん)

「ユニクロのデニムもメンズを。パンツは自分ではいてみても、最初はメンズだからけっこうゆるいかなと思いましたが、意外にもゆるすぎなくて、形もキレイに出るややゆったりめのストレートという感じ。質感のやわらかい黒で、いい意味でデニムっぽさがないので着やすい」(樋口さん)
「意外とゆるすぎない」メンズサイズのチノ

「ユニクロのパンツの中でもデニムに並ぶ人気のチノパン。コンパクトなトップスを着るとき、上下のシルエットのメリハリづけにも重宝」(樋口さん)
カラーニットは「白を重ねて肌感を減らす」

「秋冬のデニムスタイルの1つに加えたいのが、濃紺のデニムパンツにロンTや靴下を挟み、肌を見せずにキレイめに仕上げること。派手色ニットもロンTを1枚中に入れて、白を効かせるだけで着やすくなります。肌が見える部分を少量の白で覆うのがポイント」(樋口さん)
パンツの丈感は「ローファー軸」で決める

「女っぽすぎず、カジュアルすぎずでちょうどいいローファーは、細長フォルムでトゥはスタンダードな丸みのあるタイプがベストです。黒もいいですが、ローファーという靴に合う色・ブラウンは1足欠かせない。どんな色のボトムにも合わせやすいというのも利点。
パンツはスキニーやストレートに関わらず、ボトムの丈は、ローファーを履いてソックスの見え方もバランスよく仕上がる、足首が出るくらいの長さがベスト」(樋口さん)
黒ニットとデニムだけで

ポイントは、黒ニットのそでの長さ。このたるみのかわいさを生かし、タックINしてほかはミニマルにまとめて。小物もシンプルな黒のレザーで統一。デニムといえども緊張感があるので意外とシーンを選びません。そんな表情を少しくずすための役割としてストールを携帯。手に持ったり、肌寒くなったら首に巻いたり、1つあると1日の中で着こなしに変化を期待できます。
基本カジュアルなので、紹介するすべてのスタイリングにピアスは必須。ナチュラルなメイクが似合う服でもあるので、女っぽさを補う要素としてもピアスがあると安心します。
デニムを元気づける「小さな赤」

「黒のタートルとハイウエストのブルーデニム。ベーシックであるほど赤が引き立つことを知っているパリジェンヌのように。ベルト、パンプス、スカーフなど、いつものデニムが見違える小さな赤があると定番のコーディネートも楽しくなる。たとえばボトムの色が赤、ベルトも赤、という場合でも。映える色は1つより2つのほうが意外と使いやすい」(樋口さん)
色より「配色で」キレイに見せる

「ベーシックカラーどうしでシンプルだけど上品、かつ華のある。そんな装いのキーカラーは「ブラウン・ベージュ」。コンパクトな白をつなぎ役に起用した3色でコーディネートすれば、ゆったりとした服どうしの組み合わせもルーズではなくエレガント。外側を一番濃い色にすることで、全体が引き締まるから、まろやかなカラーリングがぼやけない」(樋口さん)
黒ワンピースとカラースニーカー

「ロング丈の黒ワンピースに似合わない靴はないから。色やデザイン、ボリューム感など、第一印象で惹かれたスニーカーも試しやすいと思います。ポイントは長い丈で、ボリューム感をおさえたシルエットを選ぶこと。黒でボリュームのあるワンピだと、カラースニーカーの合わせは少々こってり見えがち。ノースリーブやIシルエットのワンピースを選ぶことで、スマートな印象に」(樋口さん)

「ワンピースと同じく、ある意味スタイリングいらずともいえる、全身を包み込むオーバーサイズのロングコート。スニーカーと相性がいいのは、ヒザ上より短めのボトムか、長い羽織りアイテム。タイツの色みもそろえ、色もフォルムも重いトーンに徹すればだいたいのスニーカーはバランスよく仕上がります」(樋口さん)