そのもの自体がシンプルな見た目ということに加え、「そぎ落とすからできること」「無難との違い」など、あらゆる方向からあらためてシンプルを検証。スタイリスト・樋口かほりさんが考える、シンプルが呼び起こすプラスの事象とは?
「シンプル=わかりやすい服」
たとえばここで紹介している白Tとデニムの、究極にシンプルなスタイリング。思いきったオレンジのジャケットを重ねたように、「そぎ落とすことで足せる可能性」が明確に見えてくる。ふだんは素通りしてしまうようなものにさえ「気づく」きっかけ。シンプルな服には、そんな「新しさを連想していく」楽しさを教えてくれる力があります。
「シンプルとは潔さ」
目を引くための方法としててっとり早いのがデザイン性のある服に頼る、という選択。ただし、浮くのは避けたい気持ちが反映された小さなポイントが散らばっているような服は、かえって中途半端な印象を与えます。大きなリボンが1つ、形はふつうで大きめのドットなど、ポイントをしぼったアイテムなら、潔いマインドを感じるスタイリングへとつながるはずです。
「似たような服」をプラスにとらえる
同じように見えてしまう、シンプルへの錯覚。かといって、ただなんとなくいつもと違うものを選んでも結局は着ずに終わることは見えています。何度も着るシンプル=無意識に落ち着く「あたりまえ」の存在。たとえば黒のロングスカートなら、色と丈は同じでフリルのタイプを選ぶなど、なにか1つを変えるだけで十分。それも「シンプルの更新」のための手段の1つです。
シンプルがうまくなる+1
「今のシンプルに必要な3着」をスタイリスト・樋口さんの視点でピックアップ。着まわしパターンを通して、それぞれの実力を検証。
□ 着慣れた服の延長線上で考える
□ 迷ったら「ベーシック色」
□ 柄=派手などの「思い込み」を捨てる
CHOICE : BLACK FRILL SKIRT
「地味に派手な黒フリル」
なじみのある色と丈なら3段フリルにも手が届く
黒レイヤードスカート 56,000円+税/ELIN(クルーズ) フリルなのにストレートに見えるようなパターンメイキングにこだわりが。
+ SKINNY CARDIGAN
1色の中で極端なメリハリ
色をそぎ落とすことで許されるタイト×ボリュームの一体化
スカートは着まわし。黒リブカーディガン 21,000円+税/ELIN(クルーズ) キャップ 1,900円+税/原宿シカゴ神宮前店 インナー/スタイリスト私物 密着度の高いリブカーディガンとボリュームスカートを同じ黒でつなげば、ワンピースのようないでたちに。2枚=1枚のように見せたことで、ギャップのある小物づかいもより生きてくる。
+ OVERSIZED SHIRT
ボトムに負けない白の迫力
大きな白に攻めた黒をしのばせる風格のあるモノトーン
スカートは着まわし。白ロングシャツ 32,000円+税/アストラット(アストラット新宿店) サングラス 49,000円+税/Ray-Ban(ルックスオティカジャパン) サンダル 5,990円(税込み)/ZARA(ザラ・ジャパン) 強い黒をおおうような、オーバーサイズの白シャツをレイヤード。それぞれの強さと真逆の色のかけ合わせで、だらしなさとは無縁。
+ SIMPLE T-SHIRT
白Tが”もつ”重厚な黒
あっさりとしたTシャツでさえモードに見せる黒に頼る
スカートは着まわし。白Tシャツ 14,000円+税/ENFOLD チェーンバッグ 104,000円+税/エムツーマレティエ(ドレステリア銀座店) サンダル15,000円+税/デ・プレ インパクトのあるスカートのおかげで、シンプルな白Tが瞬時によそ行き顔に。ショート丈のTシャツならスカートのボリュームがそぎ落とされて、シャープな見た目も獲得。