コスメは不要? 表紙担当のヘア&メイクが使う「メイクの変わりになる」テクニック

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ナチュラルに美しさを
引き立てるプロの考え方


GISELeの表紙をはじめ、多くのビジュアルのヘア&メイクを手がけるヘア&メイク・塩澤延之さんの撮影前のメイクルームや、撮影中の雑談から拾ったひと言を、再取材してまとめた本企画。コスメにも精通しているプロが「コスメに頼らない方がいい」と考えるときは? 過去に担当したスタイルに沿って「メイクのかわりとなる役割」を裏取り。※掲載している写真はすべてGISELeのバックナンバーのものです。

【PROFILE】

ヘア&メイク:塩沢延之さん
mod’s hair所属。GISELeでは表紙のヘア&メイクも手がける。肌の質感を生かしたような、洗練されたナチュラルな雰囲気をつくり出すメイクに多くの支持が集まる。

001.
逆らうようにかき上げて「美人な強さ」



「何事も“本来とは違う見え方”に目がとまるのと同じで、いつもの分け目からずらした位置で毛流れと逆にかき上げるだけ。自然なのにダイナミックで、エレガントなのにハンサム。かき上げ方1つで美しさも強さも同時に表現できると考えています」

002.
アイラインがわりにタイトなポニー


「高い位置で1つに結ぶと自然と目尻が引っぱられることを利用。アイラインを引くほどではないけれど、目元を少しだけシャープに見せたいときの一手に」

003.
服を着るみたいにヘアアクセ


「春先にヘアアクセとしてよくレザーを使っていて、理由をあらためて考えてみたら、その時期気になっていた洋服の素材だったことが判明。

レースやオーガンジーの衣装にハマっていたときも同じ理由。ファッションとして“なじみそうでなじまない”ぐらいの主張がいいなと思います」

004.
多くを語るネイルの色とその形


「ネイルの色を洋服に合わせるという概念はあまりなくて。右のようなボーイッシュなヘアだったら、遠くからでもわかる色で“行き届いている女性”を表現したほうがいいなとか、左はスエットにゴールドアクセを合わせる自由さだから、アクセをMIXする感覚でネイルはシルバーにしようとか。

さらに意外と気にしているのは爪の形。たとえばモードな白のネイルは、短めで少し角張った爪のほうがモダンに見えるから、わざと塗らない部分を作ったり、逆に皮膚にはみ出したり、塗る面積を四角に近づけるために調整することもあります」

005.
前髪に変化をつけた理由は「素足だから」


「左で前髪をタイトにして大人っぽさを意識した理由は、何となく脚の肌の印象がカジュアルに感じたから。一方右は、ビーサンといえど脚が隠れてシックなので、逆に前髪に動きをつけてここでもわずかな遊びを “足す”。

GISELeの着まわし企画でよくある、“同じ1枚の服を違う印象に見せるためのヘアスタイル”は、バッグや靴で印象が変わるのと同じで、感覚的に小物的としてとらえていることが多いです」


006.
意外と使えるヘアのムラ


「金髪が伸びて、根元に残った “黒い状態”。その不完全さは、かえって今っぽい自由なファッションとフィットしやすい。写真のように、スエットにリッチなチェーンバッグをじゃらっと合わせたMIXスタイルにはとくに有効」

007.
眼鏡を特別扱いしない


「ファッションのための眼鏡は、いわば変化球。“眼鏡をかけているからいつもと違う”っていうよりも、 “いつもの延長”でアクセみたいにとり入れている人が素敵だと思うので、あえてメイクは引く方向で。金縁眼鏡はベージュやパール系のコスメみたいな存在」

–{コスメやヘアアレンジの変わりとなるもの}–
008.
カチューシャには理由が欲しい


「このクラシックなカーディガンを見たとき、ポンパドールが似合いそうと思ったのですが、やりすぎにも見えかねない。カチューシャからのぞく前髪に少しボリュームを持たせる程度で、それに近いレトロっぽさがよりリアルに。

そのままつけると地味にもなりうるカチューシャは、たとえば服からヒントを得たテーマを応用すると完成度が上がります」

009.
甘く見せたくないなら「半分」隠す




「行き届いた前髪をあえて目元に散らして、目の印象を半分おさえるイメージ。見えない部分に人は想像力をかき立てられるもの。「どんな人か」がつかみにくいことが、かえって“気になる人”の印象に変わっていく」

010.
リップを塗らないで血色を上げる



「おかっぱボブ、でも大人、という絶妙なバランス調整のために選んだのは、唇の周りのトーンをコンシーラーで整えて、唇本来の血色をきわ立たせるという発想。

リップメイクに手間をかけることだけが、唇をキレイに見せるとは限らない。凹凸のある口角や上唇の山など、“唇周辺”のパーツを整えるほうが自然体なムードが漂い、リップで色を足すよりも逆に大人」


011.
輪郭はうぶ毛で変えられる


「たとえば右のようにモードな白を着る日。うぶ毛を消すようにファンデでカバーすることで、額が四角い印象になり、意思を持った表情へ。

左はシャツや眼鏡にどこか“おじさんっぽい”愛嬌を感じたので、分け目をずらしてタイトにまとめたあと、うぶ毛だけ逆毛を立ててわざとまじめさを意識してキャラクターを確立。パーツの中でムダとも思われがちなうぶ毛は、実は輪郭形成のカギを握る存在」

012.
結び目を隠すか見せるかが分かれ道



「結び目は、本来隠れているほうが完成されているから。左のようにゴムをあえて見せるのは、太い三つ編みを楽しむようなあどけなさをそのまま生かしたかったから。

逆に右は、丁寧に引いたアイラインと白で統一したスタイリングの“完璧主義”な印象をキャッチしたから。意外と結び目が、“どんな人”かを決定づける一因に」

013.
大人に必要なヘアの重み


「幼い顔がコンプレックスの人が、攻めたメイクで背伸びをするのは本末転倒。無理なく大人をねらうなら、ヘアをあえて重くする。さらっとしたヘアはピュアに見えて、あどけなさを強調しかねない。ドライな重みに加えて、直線的なシルエットを意識することで、飾らず大人びた姿に」

014.
カットしないでウルフカット


「カラーニットとデニムが似合う女性像からヒントを得て、切ることなくヘアスタイルをマイナーチェンジ。レイヤーが入ったヘアは、そのままだと少々コンサバ。レイヤーの部分だけを拾い、外に向かって巻くことで、ウルフボブ風に印象操作が可能」

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