髪の悩みは 「血行不良」の解決にあり
メイクやファッションで完璧に着飾っても、髪がぺたんこだったり、パサついていたりすると、一気に清潔感は失われ、実年齢よりも老けて見えてしまうもの。「抜け毛や細毛・ボリュームの低下」。実はその悩み「頭皮の血行不良」が引き起こしている可能性が高いのです。
血行不良は日々のストレスや姿勢、生活習慣によって、多くの女性が無意識のうちに招いてしまっている「隠れた落とし穴」。そんな負のスパイラルを断ち切るには? (効果には個人差があり約束するものではありません。頭皮に異常がある場合や、サプリメントの摂取については医師にご相談ください)
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頭皮マッサージがもたらす「3つの変化」
単に気持ちが良いだけではありません。健康な髪を育み、若々しい印象を保つための、科学に基づいた確かな効果があります。

花王の研究(2011年)によると、1回3分間の頭皮マッサージを6ヶ月間継続した結果、頭皮の定常血流量が上昇したことが報告されており、血流改善によって抜け毛の予防につながる可能性も示唆されています。これにより細く弱々しかった髪にハリとコシが戻り、抜け毛の予防にも。
変化①
髪の「ガソリン」を運ぶ高速道路を整備
髪は毛根の奥にある毛母細胞が活発に分裂することで成長。この細胞が働くために不可欠なのが、血液によって運ばれる酸素と栄養素。頭皮の血行不良は、いわば髪への「ガソリン」輸送ルートが渋滞している状態。どんなに高価な栄養剤を摂取しても、この輸送ルートが詰まっていれば髪には届きません。
頭皮マッサージは、この錆びついた水道管を修復するようなもの。硬くこわばった頭皮をもみほぐすことで、毛細血管の血流が促され、髪の成長に必要なタンパク質やビタミン、ミネラルといった栄養が毛根の隅々まで行き渡るように。
変化②
顔のたるみも引き上げる「見えないリフトアップ」
頭皮と顔は一枚の皮膚でつながっており、顔の筋肉をいくら鍛えても、頭皮が凝り固まって下に引っ張られていれば、たるみを完全に解消することはできません。頭皮マッサージによって、頭の筋肉(帽状腱膜)がほぐれると、顔の印象もすっきりしてフェイスラインもシャープに。これは美容院などでも感じられた人は多いのではないでしょうか。
変化③
自分を癒やすストレスケア
マンダムと大阪府立大学名誉教授の共同研究(2016年)によると、就寝前に頭部マッサージを行った結果、寝つきが良くなり、睡眠の質も向上したということが報告されています。
現代を生きる私たちにとって、ストレスは避けて通れない問題で強いストレスは血管を収縮させ、血行不良を招く大きな原因。さらに、無意識の食いしばりや肩こりは、頭皮をさらに硬くしてしまうという悪循環。そんな負の連鎖を断ち切る力を持っているのも頭皮マッサージ。心地よい刺激は、リラックスを司る副交感神経を優位にし、ストレスで乱れがちな自律神経のバランスを整えてくれるのです。
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逆効果かも? NG習慣と正しいマッサージ法

せっかく頭皮マッサージを始めても、やり方を間違えると逆効果。多くの人が良かれと思ってやっている習慣に、髪を傷つける意外な落とし穴が潜んでいるのです。マッサージは常にあくまで「心地よい」と感じる強さで行うこと。「痛い」が勝っているなら「力が強すぎる」ということです。
NG!頭皮を傷つける3つの間違い
【爪を立ててゴシゴシ】
頭皮は顔の皮膚よりもデリケート。爪を立てて洗ったりマッサージしたりすると、目に見えない無数の傷がつき、雑菌が入り込んで炎症を起こす原因になります。頭皮に傷ができると、ニキビなどの肌トラブルを起こしやすくなり、健康な髪が育ちにくい環境になってしまいます。
【痛気持ちいいの限界突破】
「強く揉めば効果がある」は大きな間違い。強すぎる圧力は毛根に負担をかけ、髪の成長に悪影響を及ぼすおそれがあります。これは、多くの毛髪専門家が共通して指摘している最も危険な習慣。体は強い刺激に対し防御反応を起こし筋肉を硬直させてしまうため、血行をかえって悪化させることにもなりかねません。
【長時間のやりすぎ】
1回に何十分もマッサージを続けるのは、頭皮への物理的な刺激が過剰になります。必要な皮脂まで取り除いて乾燥を招いたり、摩擦によって健康な髪まで傷つけ、枝毛や切れ毛の原因にもなってしまうのです。
正しい頭皮マッサージ「3つのステップ」

正しい頭皮マッサージは「指の腹」を使い、頭皮全体を順序立ててほぐすのが鉄則。
1 【前頭部をほぐす】
額の生え際に両手の指の腹を置き、中心から外側に向かって小さく円を描きながら優しくマッサージ。
2 【側頭部を引き上げる】
こめかみから耳の上あたりに指を当て、後頭部に向かって引き上げるようにゆっくりと動かします。
3 【頭頂部を刺激する】
頭頂部に両手の指を交差させるように置き、頭皮を中央に寄せるイメージで数秒間圧をかけ、ゆっくり力を抜く。この動作を数回繰り返します。
スカルプブラシを活用する

スカルプブラシは、頭皮マッサージとブラッシングを同時に行える便利なアイテム。特に、先端が丸いピン状のものが、頭皮に負担をかけずに刺激を与えてくれます。シャンプーで泡立てた後、ブラシを頭皮に当てて優しくマッサージ。これにより、毛穴の奥の汚れを効果的にかき出し、血行を促進。
ツールは、皮脂や汚れが付着しやすいため、使用後は水洗いし、風通しの良い場所でしっかり乾かすことも大切。また湿疹や傷がある場合は、ツールの使用を避け手での優しいマッサージに留めて。
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もっと効果を高めるための「+αの頭皮ケア」習慣

マッサージは頭皮の外側から働きかけるケア。内側からも徹底的にケアすることで、その効果もさらにアップ。
(バランスの取れた食事で)
髪の「材料」をしっかり供給
髪の主成分である「タンパク質は最も重要な栄養素」。タンパク質は日本人女性の約7割が摂取量を満たしていないというデータも出ています。

肉や魚、卵、大豆製品を毎日の食事に意識的に取り入れることが健やかな髪作りに欠かせません。さらに、そのタンパク質の合成を助ける亜鉛や、頭皮のターンオーバーを促すビタミンB群も重要。毛髪専門家によると、栄養バランスの偏りが髪の太さやコシを奪い、抜け毛を誘発する要因の一つとされています。
(質の高い睡眠で)
髪を育てる「成長ホルモン」を味方につける
睡眠中に最も多く分泌される成長ホルモンは、髪の細胞の修復や再生を促す重要な役割を担うのは、睡眠中に最も多く分泌される「成長ホルモン」。就寝前に頭皮マッサージを行うことでリラックス効果が高まり、質の高い睡眠へとつながり、成長ホルモンの分泌を促すことができます。
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髪に「栄養を届ける」サプリメントの賢い選び方

毎日の食事から髪に必要な栄養素をすべて摂取するのは、なかなか難しいもの。そんな時に頼りになるのが、プロテインやサプリメント。しかし、やみくもに摂るだけでは意味がありません。髪の健康を本気で考えるなら、正しい知識を持って選んで。
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髪の「材料」プロテインの選び方と飲み方
髪の約95%はケラチンというタンパク質でできています。このケラチンを効率よく補給するために、プロテインは非常に有効。髪の健康を第一に考えるなら、まずは美髪効果も期待できるソイプロテインから始めるのがおすすめ。
ホエイプロテイン
牛乳由来で、吸収が早く、筋肉の修復・成長に優れているのが特徴。筋トレをする女性には特におすすめですが、牛乳アレルギーや乳糖不耐症の方は避けるべき。
ソイプロテイン
大豆由来のソイプロテインは、女性ホルモン(エストロゲン)と似た働きをするイソフラボンを含み、美髪効果も期待。消化吸収が穏やかで満腹感が持続するため、ダイエット中の方にも適しています。
プロテインを選ぶ3つのポイント

無添加・無糖を
甘味料や香料、着色料は体への負担になる場合があります。できれば、余計なものが入っていないシンプルなプロテインがベスト。無糖・無添加のプロテインは決して美味しいものではありませんが、ビタミンEを豊富に含んだアーモンドミルク(無糖・無添加)を混ぜたりすれば飲みやすくなります。
高品質なものを
安価なプロテインには、不純物や合成添加物が含まれている可能性があります。成分表示をしっかり確認し、信頼できるメーカーの製品を。
タンパク質含有量を確認
製品によってタンパク質の含有量は異なります。1食あたりのタンパク質が15g(一般的にプロテインに付属のスプーンで1杯から2杯分。卵なら約2個半に相当)以上含まれているものを選ぶと、効率的に補給できます。
いつどれくらい飲むべき?
飲むタイミング
運動後、朝食時、就寝前がおすすめです。特に、就寝中に髪の成長を促す「成長ホルモン」が分泌されるため、就寝前の摂取は効果的。
摂取量
一般的な女性の目安は1日15〜20g。プロテインは「あくまで補助食品」。過剰摂取は内臓に負担をかける原因になるため注意が必要。
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髪の「工場長」 亜鉛サプリメントの正しい選び方

亜鉛は、髪の成長を助ける酵素の働きをサポートする、いわば髪の「工場長」。日本人の約20%が亜鉛不足と言われており、特に外食が多い方やダイエットをしている方は積極的に摂る必要がある栄養素。
ただし過剰摂取すると、吐き気や腹痛、さらには銅の吸収を妨げ、貧血を引き起こす可能性もあるので、必ず用法・用量を守り、医師や薬剤師に相談してからの摂取を推奨。
亜鉛サプリメントの選び方
キレート加工されたもの
キレート加工は、亜鉛の吸収率を高めるための技術で、「亜鉛酵母」や「グルコン酸亜鉛」、「ピコリン酸亜鉛」などが該当。亜鉛は吸収されにくい栄養素なので、これによって吸収率も高まります。ただし海外の製品は日本の製品よりも含有量が高いものが多いため、過剰摂取にならないよう注意が必要。
1日の摂取量
厚生労働省が推奨する1日の摂取量は、成人女性で8mg。サプリメントで補給する場合は、過剰摂取(推奨量の上限30mg)に注意。
毛髪診断士が教える「乾燥と摩擦から守る」デイリーケア
髪の美しさは、頭皮だけでなく、毛先までの日々のケアで決まります。特に「乾燥」と「摩擦」は、髪のツヤを奪い、切れ毛や枝毛を加速させる最大の敵。
【Shucoさん】
パリを拠点に9年間、モード誌やコレクションで活躍したトップヘアスタイリスト。自身の円形脱毛症の経験から毛髪診断士の資格を取得し、現在は科学的知見に基づいたヘアケア知識を発信。ヘアアクセサリーブランド「TRESSE」のディレクター。
髪を乾かすときの重要ポイント

「ドライヤーでかなり髪質が変わります。いつも以上にツヤを出したいときはパナソニック ビューティ、ボリュームアップしたいときはリファ、とにかく早く乾かしたいときはダイソン。毛先より根元を重視して乾かす。熱ダメージ防止にオイルを塗布し、根元に風があたるよう髪を振りながら乾燥。こうして生えグセを抑制。ドライヤーを近づけすぎるのは傷みの原因になるのでNGです」
【洗髪前の習慣にすべきこと】
「髪を洗うときは最初の流しでしっかり汚れを落とすために、髪をぬらす前にブラシで表面のゴミやひっかかりをとること。その後、3分ほど予洗いをすることが大切。このときお湯が熱すぎると乾燥しやすいので注意してください」
【朝は洗髪しない・夜がいい理由】
「1日動いて出た脂を翌朝に持ち越さないことで健康的な髪質に。また、睡眠中に出た脂は昼間の紫外線から頭皮を守るため朝のシャンプーはひかえるのがお勧め」
おすすめは「シルクキャップ」

「髪が長いと絡まりやすく、とくに睡眠時は寝返りによる摩擦がつきものなので注意が必要。そのためシルク100%のナイトキャップをかぶっています。シルクは静電気が起こりにくく保湿力があり、寝ている間にケアできる」
キレイな髪も1日してならず

髪のボリュームダウンや抜け毛はあなたの「頭皮のSOS」。最も大切なのは、無理なく毎日続けること。健やかでキレイな髪を保つために早速、今日から1日たった5分の頭皮マッサージ習慣をとり入れてみてください。
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