お手本は「映画の中のオシャレな人」日常がワンシーンのように映える「見せたくなる部屋のつくり方」

一度見たら忘れられない美しい色彩や、アンティーク調のレトロな家具など。インテリアのインスピレーションをかき立てられる映画のワンシーンの数々を、実際にマネできそうなポイントとともにご紹介。



(CONTENTS)
・「千差万別」クローゼットの整え方
・「眠る部屋でも視覚が大事」ベッドルーム
・ダイニングでは「道具はしまわない」
・リビングルームを彩る4つのアイディア
・お部屋もオシャレな人の収納をのぞき見



【クローゼット】
「コーディネートが想像しやすい」計算ずくのワードローブ

わざわざ服を脱ぎ着せずとも仕上がりがイメージしやすい、理にかなった服や小物の配置。「使いやすさ」は、きちんと並べるだけではなく、それぞれのライフスタイルの数だけあっていいもの。



シューズは色ごとに分けて収納

『13 ラブ 30 サーティン・ラブ・サーティ』(2004)


13歳の少女ジェナが、突然30歳のファッション誌編集者にタイムジャンプするファンタジー。大人になったジェナのウォークインクローゼットには、上段にはハイヒール、下段にはブーツがグラデーションになるよう収納され、カラフルな靴がすっきりとした印象に。



一軍はクローゼットにしまわずラックにかける

『パーソナル・ショッパー』(2016)


セレブのための買い物代行として働く主人公モウリーンが、自身の隠れた欲望に狂わされていくサイコ・スリラー。鮮やかなゴールドやグリーンのドレスがかけられたラックは、スタメン服をすぐにセレクトしやすく。洗練されたシンプルな部屋に彩りを足す役割も。



ランドリーバスケットに服をまとめる

『美しい夏』(2023)

© 2023 Kino Produzioni, 9.99 Films © foto di Matteo Vieille【絶賛公開中】


舞台は1938年のイタリア。縫い物をする主人公ジーニアのそばには、大きなラタンのかごが。衣類を畳む前の目隠しにも好都合で、丁寧にいれない無造作感が無機質な部屋にニュアンスを生む。洗濯が済んだらここに入れる、ここにたまっているものを畳んで仕分ける、という分かりやすさもポイント。



散らばりやすい小物は縦にレイアウト

『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』(1986)


1980年代のサブカルチャーを象徴する、古着を使用した劇中ファッションにも注目が集まる本作。レコード屋「Trax」のカウンターでは、イオナのパンクファッションを彩るアイキャッチィなサングラスを小さな棚に整頓。気分のサングラスをすぐに手にとれる。



【ベッドルーム】
「心地よさ重視」色も飾りもあたたかく

単に眠るための部屋ではなく、自分自身を慈しむための空間づくり。だからこそ、色も飾りも、視覚からあたたかさを。



ベッドカバーと彩度をそろえてかけた布

『ミステリアス・スキン』(2004)]

© MMIV Mysterious Films, LLC


1980年代のカンザス州を舞台に、二人の少年の成長を描く物語。なかでも印象的なブライアンの部屋のベッドには、鮮やかなオレンジカバーをベースに、マイルドなイエローのブランケットをON。暖色で統一することで、ポップながらも落ち着きが誕生。



リラックスできる小さなライティング

『ムーンライズ・キングダム』(2012)

ウェス・アンダーソン監督による代表作のひとつ。小花柄の布に囲まれたスージーのベッドには、あたたかみをそえるように赤いランタンと懐中電灯が配置。まるで隠れ家のようのんびりできる空間に。



寝る直前まで趣味にひたれるベッド脇のチェスト

『パルプ・フィクション』(1994)

1990年代のアメリカポップカルチャーを代表するダーク・コメディ。小花柄の壁紙や品のいい白の間接照明が印象的なガーリーな部屋は、緊張感あふれる犯罪シーンとのコントラストがきわ立つ。中央のチェストには紙コップや雑誌が乱雑に置かれ、ベッドでも読書を楽しんでいるようすがうかがえる。



【ダイニングルーム】
カトラリーは「道具であると同時にインテリア」

「使う」と「飾る」の境界線をあえて曖昧にし、しまい込むのではなく「あえて見せる」。たとえば、無造作に置かれた調理器具。それがオブジェのような美しいフォルムなら、リアリティのあるインテリアとしてオブジェ以上のムードづくりを担うことも。



白い食器が映える赤チェックのクロス

『ブルックリン』(2015)

1950年代のアイルランドとアメリカを舞台に、ひとりの女性の葛藤と成長を描く物語。主人公エイリシュとトニーの食事シーンでは、ギンガムチェックのテーブルクロスがレトロなムードを助長。白で統一された食器が派手な柄を引き立てる抜け感につながる。



メリハリを生むミルクパッケージ

『レオン』(1994)


孤独な殺し屋レオンと12歳の少女マチルダの絆が描かれる。レオンがコップに注がれたミルクを見つめるキッチンのシーンでは、あせたグリーンをはじめとした淡いトーンでまとめられたキッチンに、鮮やかな赤のミルクパッケージが抑揚をつけるアクセントに。



壁にかけた複数のキッチン用品

『グッバイ・ゴダール!』(2017)

1960年代フランスの文化運動のパイオニアであるゴダールと、その妻アンヌの姿を描く伝記的作品。ゴダールとアンヌが朝食をとるキッチンには、白のタイル壁にシルバーのレードルや鍋ぶたがひっかけられ、ペールトーンの空間にささやかなキレとして作用。



【リビングルーム①】
本は「置く場所が命」

サイドテーブルの上、テレビボードの片隅、何も置かれていない壁の棚。そんな「ちょっとした隙間」こそ、本の出番です。一冊置くだけで空間にストーリーが生まれ、重ねるだけでリズムが生まれる。本は、最も手軽で、最も奥深いインテリアアイテム。



窓際に本を立てかける

『君の名前で僕を呼んで』(2017)


アカデミー賞も受賞し、クラシックとモダンの音楽の融合にも注目が集まる本作。大学教授の父をもつ主人公エリオの家には、窓際にまで立てかけられた複数の本がまるでオブジェのよう。



広い部屋に適当に重ねた雑誌

『クルーレス』(1995)


今もなお人気を博す、ビバリーヒルズが舞台のガールズコメディ。主人公シェールが親友のタイとダンスの練習をしているシーンでは、乱雑に重なった雑誌が、気品あふれるリッチな豪邸の、遊びゴコロとして作用。



まるで壁紙のように見える本棚

『ぼくとアールと彼女のさよなら』(2015)


主人公グレッグが親友のアールとともに、白血病の幼なじみのために映画制作を行う物語。二人が映画編集を行うシーンでは、彼らの豊かな想像力を映し出すかのように、あらゆるジャンルの本が棚にびっしり。あえて整然とつめないまとまりのなさが、空間に深みを与えている。



【リビングルーム②】
お気に入りこそ「ラフに飾る」

壁にラフに貼るだけ、棚に無造作に置くだけ。策を弄さずとも空間に自分の色がにじむ、さりげないひと手間。



ポスターやアートを額に入れて飾る

『九月と七月の姉妹』(2024)

大小の額を重ねることで、部屋の中に立体的な奥行きが生まれる効果が。

部屋をごちゃついて見せないために、額自体はシンプルな縁がポイント。


10カ月違いで生まれた姉のセプテンバーと妹のジュライが徐々に、支配と共依存の関係に陥っていく姿を描くサスペンスストーリー。田舎を表現した室内には、いたるところに額に飾られたポスターや絵画を発見。



【リビングルーム③】
「レトロなあたたかみを感じる家具」

無機質でスピード感のある日常に、心を落ち着かせて時間の流れがゆっくりに感じられるような、独特の風合いと時代を超えて愛されるデザイン。



真っ白な壁に映えるアンティーク調の家具

『逃げた女』(2019)


© 2019 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved U-NEXT、Lemino、Rakuten TV、DMM TV、ザ・シネマメンバーズにて配信中


主人公ガミが女友達との再会をきっかけに自身の内面と向き合うストーリー。なかでも友人のひとりのスヨンの自宅では、白を基調としたミニマルな空間に、レコードプレーヤーやウッド調の家具が奥行きを与える。



モダンな趣を与えるなつかしい柄や色小物

『パディントン』 (2014)


イギリスの児童文学が原作で、アイコニックなクマの主人公が全世界で大人気。花柄の傘立てや机上のライトが、シックな木目家具にレトロなかわいげを上乗せ。落ち着いたブルーでまとめれば統一感も〇。



一面の壁色に対して「一点だけで狙うかけ算」

部屋の印象は「多くの足し算」ではなく「1つのかけ算」で決まる。お気に入りの壁色を引き立てる、狙いを定めたピンポイントなアイテムを一つ。



愛らしいピンクと調和する花柄カーテン

『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』 (2021)


20世紀のフランスの架空都市で発行されたアメリカの雑誌『フレンチ・ディスパッチ』の編集部が舞台。目を引くピンクの壁紙に、花柄のカーテンが甘さを盛り上げつつ、ベースのクリーミィな白のおかげで、ポップな色の空間の抜け感づくりをアシスト。



質感を変えて派手な赤をとり入れやすく

『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』 (2024)


病に侵されるひとりの女性と、彼女の親友の姿を描く本作品は、映画内の配色に注目。くすみブルーの壁色に対して、フリンジの飾りやベロアのソファ、レザーバッグなど、さまざまな質感と濃淡の赤を組み合わせ、一見派手な色づかいがまとまりのある空間に昇華。



【リビングルーム④】
「植物を用いてナチュラルな飾り気に」

大がかりな模様替えは必要なし。空間が生き生きとさまがわりする、置くだけのグリーンで気軽な気分転換を。



食卓を彩るコップに挿した花

『ファーストキス 1ST KISS』(2025)

© 2025「1ST KISS」製作委員会


主人公がタイムトラベルを通じて、現世で事故死した夫の未来を変えようと奔走するラブストーリー。マグカップに飾られた白い花が、ありふれたテーブルのささやかな彩りに。家庭のコップでマネしやすい。



ボリュームを生む観葉植物

『mid90s ミッドナインティーズ』(2018)


16mmフィルムで撮影し、1990年代のノスタルジックな質感を表現。主人公スティーヴィーが家族と過ごすリビングには、棚横に配置された大きな観葉植物が空間をメリハリづけ。ベージュの家具で統一されたワントーンを、退屈させないファクターに。



お部屋もオシャレな人の「賢く可愛い」シューズやバッグの収納方法

関係者に、独自のルールを聞き込み調査。服好きならではのアイディアの数々が、実用とときめきを満たすクローゼットづくりのヒントに。



SPECIAL THANKS
小山田早織さん(@saorioyamada) スタイリスト、岸悠里さん(@y________ri425) VASICプレス、後藤真央さん(@g_120972、@loro___store) LORO青山店PR、小林杏奈さん(@hupianna) グラフィックデザイナー・Web store 運営、月川あやさん(@tsukiaya_) フリーランス、寺本真由さん(@cocoon117) フリーランスPR、長谷川桃花さん(@moka_room__) 会社員、濱邉晴日さん(@__sunnyday614) lloomie ディレクター、ハルナさん(@__halna) インフルエンサー、FUMINAさん(@nagetroom) スタイリスト、minamiさん(@mnmii) 衣装製作・ANNE HOUSEHOLD GOODSデザイナー、森夏子さん(@natsuko__mori) TODAYFUL デザイナー、Rinaさん(@lazyrinaroom) 会社員



かさばることも多い「バッグの収納アイディア」

毎朝つい同じものを手にしてしまいがちなバッグ。デザインのほかに用途や実用性を基準に収納すれば、その日の予定に最適なバッグ選びが可能に。



容量別にまとめて並列

「仕事には大容量のビッグサイズ、お出かけの日にはミニバッグなど。たくさん持っているレザーバッグは、容量ごとに分類すると、その日の予定に最適なマチのバッグを選びやすくなります」(月川さん)



つるし収納にカーテンレールを活用

「スタイルのハズしとなるビッグバッグは、床に置くと面積をとってかさばりがち。窓のカーテンレールにフックをかけてつるすことで、見やすくなるうえに、スペースの有効活用にもつながります」(ハルナさん)



タイプに合わせて収納方法を変更

「クローゼットは日々のコーディネートが組みやすいように、色別に分けて収納しています。モノトーンの洋服がほとんどなので、白い服と黒い服で整理。自立するバッグは上の棚に置き、ショルダーバッグやトートバックはフックにかけて空間を有効活用」(永倉さん)



バッグはすべて保存袋に収納

「バッグはそのまま置いていると汚れや埃が気になるので、ひとつずつ保存袋にいれて保管。すべて同じ種類の無地の袋なので、どこにどのバッグがあるか私だけが把握しています(笑)」(岸さん)



ケアアイテムも見える位置に

「毎日の洋服ケアを習慣化するために、ケアアイテムも常に見える位置に。とくに“STEAMERY”のブラシ(写真左)は、粘着力のないローラー。衣類やレザーバッグを傷めずに髪の毛の汚れや埃をとり除けます」(小山田さん)



千差万別「シューズの収納アイディア」

偏愛コレクションから選ぶか、少数精鋭を保つか。スタイルの完成度を左右する靴の収納も、ワードローブ次第で変化するもよう。



靴を軸に考えられるオープン収納

「コーディネートを考えるとき、まず最初にその日にはくスニーカーから決めることも。オープン収納にすることで、気分の靴を直感で選びやすくなります。通気性がいいので、靴のにおいが気になりにくくなる利点も」(小林さん)



近くに置いてスタイリングを想像しやすく

「特別な日にはく靴も目につく洋服のそばに置くことで、常に新鮮な気持ちでスタイリングができ、結果コーディネートの幅が広がります」(FUMINAさん)



シューズラックでスペースを拡大

「スニーカーは、IKEAのシューズオーガナイザーを使用して、縦に重ねています。スペースが増えるから、靴箱もすっきり。かかとの部分を手前にして、とり出しやすさも意識」(ハルナさん)



モノが多いことを逆手にとって

コンパクトな部屋に2人で住んでいて、お互い服が好きなので物量も多め。物が多いことを逆手にとって、あえて見せる収納にしています。ゴチャゴチャさせないように、いかに圧迫感なく見せられるかを意識。大好きなスニーカーは、入っていた箱までいとしいので、処分せずに棚に積み上げてストック。増えていくのが目に見えてわかって充足感があります。(misaさん・販売員)


1軍の靴を「インテリア的に見せる収納」

「ステンレスのシューズラックに、メインで使う靴を見せる収納。ふだんあまりはかない靴は箱に入れて保管しています。靴自体モノトーンが多いので、自然と統一感のある見た目に。アートを飾ることで、よりインテリアとしてとけ込ませることができます」(永倉遥さん)