買ったときの見た目・着心地を保つ方法
服の若さを保ち、夏を快適に過ごすために。汗ジミ、黄ばみ、色あせ、ニオイ…不快な要素を爽快に変える秘策をプロたちに聞き込み。「おろしたて」の鮮度を保つための洗濯や夏服ケアの間違いと正解をご紹介します。 ※洗濯の際は衣服に表記されている取り扱い表示を確認してください。
【取材した洗濯のプロたち】
「Freddy leck sein Waschsalon」松延友記さん/カフェ&コインランドリー、フレディ レック・ウォッシュサロントーキョーのプロデューサー。洗濯ソムリエの資格も取得。 「洗濯ブロガー」ハナさん/手軽な方法で「誰でも家庭で洗える」をコンセプトにした洗濯方法をわかりやすく紹介するブログ「ハナの洗濯ラボノート」が人気。 「THE LAUNDRESS」下岡友美さん/N.Y.生まれのファブリックケアブランド「THE LAUNDRESS」のブランディングマネージャー。洗濯を知り尽くすエキスパート。 「ETRE TOKYO」JUNNAさん/ETRE TOKYOのクリエイティブディレクター。YouTube「my kinda days…」も好評。
【INDEX】
1.汗ジミ・黄ばみを残さないために
2.色あせ・ゴワつき回避法
3.ジメジメする日に「早くよく乾く」方法
4.ニオイを「とり除く・予防」を同時に
5.薄く軽い生地の守り方
6.白とオフ白・色もの。同じ洗剤でいい?
7.シャツをピシッと仕上げる技
8.ふっくらとしたTシャツの質感を保つ
9.プリーツスカートのメンテナンス
10.トマトソースや口紅の落とし方
11.「すぐに洗えない」そんなときは?
12.繊細なブラウスで気をつけるべき点
13.汗ジミを防ぐための予防法は?
14.そのままたたんでしまうと…
15.夏小物のメンテナンス法
16.長いもの・重いものの「正しい干し方」
17.とろみ素材の形くずれを防ぐ
18.リネンの風合いを守るには?
1_汗ジミ、黄ばみを残さないために「早く・マメに・お湯で洗う」
・できるだけ早く洗濯。丈夫な素材なら、酸素系漂白剤を加えて、洗剤では落としきれない汗や黄ばみの蓄積を防ぐこと。その日に洗濯ができないなら、部分汚れ用石けんでの予洗いやつけおきをしましょう(下岡さん)
・キレイに洗ったつもりでも汚れを残すとあとから黄ばみが表面化してくることも。皮脂汚れはなるべくマメに「お湯で洗う」ことがとても重要。洗剤や柔軟剤の残りも黄ばみの原因。すすぎも十分に(松延さん)
〈右から〉ウォッシュ&ステインバー 60g 1,320円 部分洗いや手洗い用の固形ソープ。オールパーパスブリーチ 1L 3,300円 酸素系漂白剤。頑固な汚れを落とし、消臭効果も。/ともにTHE LAUNDRESS
2.夏の日差しによる「色あせ・ゴワつき回避法」
・日光による変色、変質を避けるため、色柄ものやデリケート素材は「裏返して陰干し」が鉄則。黒が赤っぽく変色したり、まだらにあせてしまうのは日光のせいです(下岡さん)
・過乾燥にも注意を。長時間天日干しすることで、肌ざわりも悪くなり生地も傷むので、なるべく風通しのいい日陰に干すようにしましょう。繊維が立つようにゆすってから干すのも、ゴワつきを防ぐポイントです(松延さん)
3.ジメジメする日に「早く・よく乾く4つの要素」
・洗濯物が乾く要素は「温度、湿度、風力、表面積」の4つ。より「高い温度で」「低い湿度で」「強い風と広い表面積」で早く乾きます。こぶし大の間隔をあけて、部屋の隅より風の通る真ん中、なるべく高く、クーラーを入れ、サーキュレーターで風をあてて乾かしましょう(松延さん)
・生地が重ならないように立体的に干すこと。1枚の服にハンガーを複数本使う方法や角ハンガーが手軽です(JUNNAさん)
フレディ 角ハンガー32P 3,630円/フレディ レック・ウォッシュサロン(藤栄) 丈夫なステンレスをホワイトにペイント。
4.ニオイを「とり除く&予防の二段構え」
・ニオイをすっきりとり除いたり、部屋干し臭を予防するためにも、除菌・消臭できる酸素系漂白剤が有効。着用中のニオイ対策をする消臭スプレーは、乾いた状態でスプレーしたのち、速やかに乾かして(下岡さん)
・ポリエステルなど、ニオイがついたらとれない素材は、ベルコニン液PやオスバンSなどを希釈した逆性石けん液でつけおきしてから洗って。ニオイがつきにくい天然素材の服を着るのも有効です(ハナさん)
〈右から〉BALLON AROMA SPRAY FOR ROOM&FABRIC 150mL 2,475円/LIBRARY DESIGN 抗菌・抗ウイルスアロマスプレー。フレディ オキシクリーン 20P(30g×20袋) 1,980円/フレディ レック・ウォッシュサロン(藤栄)
5.薄く軽い素材「摩擦から生地を守り抜く」
・押し洗いせず、たっぷりの洗剤液に15〜30分つけおきするのがベター。手洗い後は裏返してたたみ、目が細かくなめらかなネットに入れて、ごく短時間(1〜2分)で脱水を。水分と衝撃を吸収するために、乾いたバスタオルを一緒に回すのもオススメです。脱水後はすぐに干して(下岡さん)
・洗濯ネットの中で服が遊ぶと、形くずれや生地を傷める原因に。たたんでジャストなサイズを選びましょう(JUNNAさん)
メッシュウォッシングバッグセット(S・L各1枚入り) 3,300円/THE LAUNDRESS 目が細かいメッシュ。
6.白とオフ白・色もの。同じ洗剤でいいの?
(1)それぞれにベストな選択を
・白い洋服をより白くキレイに洗いあげたいときは、弱アルカリ性の粉末洗剤とお湯で洗いましょう。逆に色ものや柄のあるものは裏返しにして、色あせを防ぐ目的の中性洗剤でやさしく洗いあげるのが、長く鮮度を保つためにベストな選択(松延さん)
(2)オフ白に蛍光増白剤は避けて
・↓の写真右は白の明るさを保ち、白が色落ちしてくすんだところを補ってくれる白もの用洗剤。左は色柄を守り、濃く鮮やかな色をきわ立てる洗剤で、オフ白にも使えます。ナチュラルな風合いのオフ白には、蛍光増白剤は非推奨。表示をよく見て洗剤を選んで(下岡さん)
〈右から〉ホワイトデタージェント Classic、ダークデタージェント Classic 各1L 各3,850円/ともにTHE LAUNDRESS 右は白さにこだわった仕上がりに。左は濃い色や鮮やかな色の衣類を色あせさせない。
7.シャツをピシッと仕上げるには?
(1)干す段階でハンドアイロンを
・ぬれた状態で生地の両面を手のひらではさんで、パンパンとたたくようにハンドアイロンをすると、アイロンがけしなくても仕上がりがビシッとします(JUNNAさん)
(2)あらゆる方法でシワ回避
・脱水の時間は短め(1分程度)にして、干しながら自重でシワをのばします。シワ取りスプレー(寝グセ直しヘアスプレーでもOK)を使うとさらにシャキッと(ハナさん)
8.ふっくらとしたTシャツの質感を保つには?
(1)柔軟剤を入れ、脱水は短めに
・ふんわり仕上がる柔軟剤を使って、効果的にふっくら感を補いましょう。脱水時間は短く1分くらいにして、形を整えながら陰干し。裏返して干すことも強い日差しから生地を守るために有効なポイントです(ハナさん)
(2)えり元をゴムでとめて洗濯
・えり元がのびないように軽くゴムでとめ、ネットに入れて洗濯するのがオススメ。干すときは振って空気を含ませ、直射日光は避けましょう。綿100%やヘビーオンスのTシャツなど、ゴワつきやすいものは、適量の柔軟剤やオシャレ着洗いを使って(下岡さん)
〈右から〉ホワイトリリー ファブリックソフナー 520mL 1,800円/SHIRO 清潔感のあるホワイトリリーの香りが続く。ラボン ルランジェ 柔軟剤 シャイニームーン 600mL 665円/ネイチャーラボ 衣類をやわらかくなめらかに仕上げる。
9.プリーツスカートのメンテナンス法は?
(1)プリーツを粗く縫って固定
・洗う前にしつけ糸で粗く縫うとくずれにくく、干すのもスチームアイロンをかけるのもラクです。とれかけたプリーツはクリップや洗濯ばさみで固定して、引っぱりながらアイロンをかけると多少は戻ります(ハナさん)
(2)プリーツの形状に逆らわない
・プリーツをくずさないように縦に数回細く折り、長さも折りたたんで洗濯ネットに入れて洗うこと。干すときは角ハンガーを使って筒状に。形状記憶が難しいものは迷わずプロにまかせて!(下岡さん)
10.トマトソースや口紅の落とし方を教えて!
(1)色素+油にはキッチン用洗剤
・油溶性の汚れを分解するには、界面活性剤が多く含まれているキッチン用の中性洗剤がオススメ。汚れがある裏側にタオルを敷いて、中性洗剤を直接汚れに塗ったら、軽くつまむように洗い、汚れが浮いてきたらぬるま湯ですすぎます。これを繰り返して(松延さん)
(2)口紅は消毒用アルコールで
・衣類を裏返して、汚れがある面にタオルをあて、消毒用アルコールを含ませた綿棒で、汚れ部分をたたきながら押さえていきます(必ずゴム手袋をしましょう)汚れが落ちたら水ですすぎ、洗濯機で洗って(松延さん) ※ともに水洗い可の服のみ
11.「すぐに洗えない」そんなときの対処法は?
(1)ティッシュでやさしく移しとるイメージ
・しょうゆやコーヒー、ジュース、血液など水溶性の汚れは、湿らせたティッシュペーパーでやさしく押さえてシミを移しとるイメージで。何度か繰り返したあと、乾いたティッシュで水分をとったらOK。落ちにくい場合は、キッチン用の中性洗剤を少量加えて(松延さん)
(2)コンビニでメイク落としシートを買う
・化粧品や食べこぼしの汚れには、コンビニで買えるメイク落としシートが手軽で便利。シミをつまむように落として。それが無理なら、乾いた紙か布をシミの裏側に置き、シミの上からたたいて最低限のシミ抜きを(ハナさん)
(3)おしぼりに注意!
・飲食店のおしぼりには衛生上、わずかですが塩素系漂白剤が含まれていることがあるので、強く押しつけると服を色落ちさせる恐れがあります。あわてておしぼりでこすらないように注意してください(下岡さん)
12.繊細なデザインのブラウス気をつけるべきは?
(1)洗う回数をおさえる工夫も必要
・洗う回数を少なくおさえるために、必ずインナーを着用する。脱いだらすぐに衣類スチーマーやリフレッシュスプレーを使うなど、洗わずともできるメンテナンス方法の手数を知っておくことも大切です(下岡さん)
(2)手洗いが基本
・レース、チュールの質感を保つため、オシャレ着用の中性洗剤で押し洗い+つけおき洗いが基本です。洗濯機で洗う場合は裏返して、網目の細かい洗濯ネットに入れて手洗いコースで。干す際は、平置きにして、風通しのいい日陰か、風の流れをつくった室内で(松延さん)
〈右から〉フレディ ニットソークウォッシュ 300mL 2,200円/フレディ レック・ウォッシュサロン(藤栄) 繊細な衣類に。アイロンウォーター Classic 475mL 3,080円/THE LAUNDRESS
13.汗ジミを防ぐための予防法は?
着る前にベビーパウダーを
・シミができやすい脇やえり元にベビーパウダーをあらかじめ薄くはたいておくと、汗ジミ予防になります。ベビーパウダーは汗や皮脂をよく吸ってくれる、タルク入りのタイプがベターです(ハナさん)
シッカロールキュア(医薬部外品) 140g 580円/和光堂(アサヒグループ食品) スキンケア効果のある薬用ベビーパウダー。
14.夏の洗濯物は熱いままたたんでいい?
(1)折りグセがつくので冷まして
・熱いままたたむと、折りグセがついてしまうので、できればつるした状態で冷ますのがベスト。温かいままの収納もニオイや菌の繁殖につながるので避けて(下岡さん)
(2)ニオイや菌の繁殖のもと
・温かいままたたむとシワになりやすく、水蒸気でカビが発生することがあるので、できるだけ涼しい場所でいったん待機させましょう。場所がない場合は、せめてたたんで冷めるのを待ってから片づけて(ハナさん)
15.夏小物のメンテナンス法は?
(1)フッ素タイプの防水スプレー
・レザーやラフィア素材の小物は水で洗えないので、着用前にフッ素タイプの防水スプレーをしておくとニオイも汚れも付着しにくくなります(ハナさん)
(2)ブラシでのこまめなケア
・レザーサンダルは革靴と同じように靴磨きを。雨風で傷めないように、仕上げの防水スプレーも忘れずに。ハットの汚れはかたくしぼったぬれタオルで軽くたたきながらふきとり、風通しのよい日陰で干して。洋服ブラシでホコリをこまめにとることも大切(松延さん)
〈右から〉フレディ クロスブラシ ソフト 4,180円/フレディ レック・ウォッシュサロン(藤栄) アメダス 600 600mL 600円 汚れをつきにくくし、シミを防ぐ防水保護スプレー。デリケートレザープロテクター280 280mL 1,480円 ソフト革にしなやかさと耐水性を与える。/ともにコロンブス
16.長いもの・重いものの「正しい干し方」は?
(1)なるべく空間をつくる
・角ハンガーに干すなど、空間をつくるのが早く乾かすコツ。シワになりやすいパンツは脱水時間を短めに設定して、形を整えながら干すと自重でピシッと乾きます(松延さん)
(2)重力を分散させる
・薄手のワンピースは肩部分に重力がかかりすぎると形くずれの原因になります。平干し、またはハンガーを2、3本使って中間で支え、波形になるように干しましょう(JUNNAさん)
17.とろみ素材の形くずれを防ぐ方法は?
(1)プロにまかせて鮮度を長く
・ポリエステル、レーヨン、キュプラなどのとろみ素材はおウチで洗ってもシワになりにくいのですが、洗濯を繰り返すと小さな毛玉やけば立ちが目立ってしまいがち。長く着たいのであれば、クリーニング屋さんの水洗いウエットクリーニングをオススメします(松延さん)
(2)スピーディーな押し洗い
・時間をできるだけ短く、でもやさしく押し洗いや振り洗いをすること。干すときにはきゃしゃなハンガーは使わず、ジャケットハンガーを(JUNNAさん)
〈右から〉フレディ ウッドハンガーレディース GY 2,750円/フレディ レック・ウォッシュサロン(藤栄) エマール リフレッシュグリーンの香り 500mL オープン価格/花王 やさしく&すっきり洗って形を整える。
18.リネンの風合いをそこなわないで洗うには?
(1)洗い・脱水の時間は短く
・リネンの繊維に含まれるペクチンは汚れをはじきやすい性質なので、洗濯機の通常コースで、洗う時間と脱水時間をともに短めに設定するといい。えりなどの汚れが気になる場合はシミ抜き石けんで予洗いを。(松延さん)
(2)経年変化を楽しむ余裕も必要
・リネンは染料が定着しにくいので、染め物の場合は経年変化を楽しむ余裕があると◎。素材自体は強いのですが、ぬれるとかたくシワになりやすいので、短時間で洗って干しましょう。☐すすぎ時に適量の柔軟剤、またはお酢を入れると肌あたりがやわらかくなります。お酢には色落ちを防ぐ効果も(下岡さん)