日々膨大なコーディネートを組んでいるスタイリストたちは、スタイリングに効かせるスパイスの引き出しも豊富。簡単にハズしをつくれるアイテムの選定や、個性を高めるアレンジ術など、「派手にも地味にもならない」プロならではのアイディアを種明かし。
【1】キレイな色が「映える・浮かない」上手な使い方
アイテムや色によっては、やや気恥ずかしさのある服を落ち着かせて、バランスよく仕上げるために、スタイリストたちが「よく使う」テクニックをご紹介。着たい色との距離を縮め、手持ちのベーシック服も新鮮に映る組み合わせの秘訣を、コーディネートの実例でレクチャー。
【STYLIST MEMBERS】
(樋口かほりさん)服のそでやすその扱い方、小物づかいなど、細部のアレンジも絶妙なテクニックが光る。 (渡邉恵子さん)品がいいのに親しみやすい、ちょうどいいさじ加減のシンプルスタイルが鉄板。 (船戸唯さん)キレイめなスタイリングに遊びを効かせて、カジュアルに落とし込むのが得意。 (塚田綾子さん)ベーシックな装いに、色や小物でさりげなくアクセントを加える絶妙なバランス感覚。 (出口奈津子さん)力を抜いて着られるカジュアルな服装が基本で、メンズライクな要素の取り入れ方は必見。
暖色系のキレイ色には「こっくりとしたブラウン」を
「たとえば発色のいい赤のリブタンク。なじみのいいのは、定番色の中でも赤と同じ暖色であるブラウンが効果的。赤など強い色はンピースのように潔く1色で着るか、あるいはタンクやTシャツ、ショートパンツのように肌が出てスタイリング全体に占める面積を少なくするのが上手くまとめるコツ」(スタイリスト・樋口かほりさん)
カラーパンツには「覆うように」ロングジレを
「旬のロングジレをバランサーとして採用。丈の長い服でボトムを隠して色の面積を狭めれば、カラーパンツも着やすくなります。まっすぐなシルエット作りにもひと役買ってくれる、今シーズンも豊富なロングジレを活用すればシンプルコーディネートも今っぽく」(スタイリスト・船戸唯さん)
「キレイ色の靴が似合う・整う」グレーのスラックス
「ピンクとグレーの鉄板配色で甘いベロアに静けさを。甘くて品のいいベロアサンダルをデイリーに寄せる、知的なピンストライプ。お堅いイメージの色・グレーベースなので、カラーシューズ全般、大人っぽくも愛らしい印象に」(スタイリスト・出口奈津子さん)
カラーボトムと同系色の色を「一部拾った」トップス
「リネンスカート特有のカジュアルな雰囲気も残したいので、あえてロゴTを抜擢。スカートと同系の赤いロゴで統一感をもたせました。地がネイビーなのでシックに整います」(スタイリスト・塚田綾子さん)
カラートップスを正す「デニム的ネイビー」のボトム
「リジッドデニム感覚で」チノパンを。オレンジは今年のキーカラーの1つ。王道のデニムを合わせるのが簡単ですが、少しだけひねりを効かせて、デニムのようなネイビーパンツを選びました。引き締めつつカジュアルさも残せるので重宝」(スタイリスト・渡邉恵子さん)
「キレイな色を上手に着る」コーディネート実例集
相性のいい色と色との組み合わせ、キレイな色でとり入れるのに向く服。「色に特徴があるから、服はシンプル」を前提にした、明日から試せる・これからのショッピングプランの参考にもなる、15コーディネートをご紹介。
ロングカーデのようにはおりあいまいなトーンを「引き締める」
身幅はあるため、肩がけしても腕まわりがもたつかない。ゆるやかな白のワントーンの輪郭を緑どるように上から重ねると、膨張感を払拭できる。ワイドなボトムに合わせてもコンパクトに仕上がる、長く直線的な形が好都合。
きれいな色で「ゆるすぎない」シルエットのスエット
スエットとダメージデニムを、シャーベットカラーで甘く寄せて。トーンをそろえた薄いブルーデニムを合わせてやさしい配色を意識すれば、甘さとラフさがバランスよく共存し、大人でも気負わず試せる愛嬌漂うムードに。古着のようなダメージ感とワイドシルエットも抜けづくりに一役。
きれい色に好相性なブラウンを新たな軸色に
赤やイエローなどヴィヴィッドな発色のトップスは面積を少なめに・かつコンパクトにとり入れるのが基本。色味も発色をおさえたマットな赤なら、ダークカラーと合わせてもエッジが効きすぎない。コンパクト×ワイドでシルエットに差をつけて、濃い色どうしに抑揚を。
定番配色をひとひねり。シンプル以上のスタイリングに
定番の黒×ベージュ配色を、ネイビー×黄色にマイナーチェンジ。黒よりもおかたくならず、ベージュよりもかわいげがある。力まず親近感のわく装いが完成。
白シャツのように着回せる「白っぽいラベンダー」
黒に近いネイビーも、とろみのあるサテンなら視線が縦に流れて重みをカット。シャツのサイドスリットやボタンをはずしたすそを効果的に利用し、濃淡差のある配色を強調。
カラーボトムが「うまく映える」大きな白シャツ
見慣れた白をキャンバスに見立て、色を乗せていくことをイメージすれば鮮やかな色も身構えることなく、もっと自由に向き合えるはず。今季注目度の高いピンクは、むしろ辛口に映るフューシャピンクを選択。バッグもパンツも直線的なフォルムを意識し、ピンクをさらに大人っぽく。
ベージュ感覚で「レモンイエロー」
カラーブロックだけで個性を語る術として迎え入れたいのがカラーボトム。彩度はひかえめで、肌なじみもいい。まるでベージュパンツのような立ち振る舞いをする、あせたネオンのような発色。なめらかな質感が、色の印象をよりマイルドに見せてくれる。ムダのないシルエットとトップスのタックIN効果ですっきりとした印象に。
そでや首元は着くずして寒色どうしの合わせに隙づくり
白のかわりに淡色のブルーシャツを合わせて、正統派な装いをマイナーチェンジ。タックパンツや、肩にかけたニットのコンサバなグレーではさむと、黒白を使わずともキレが残る。
ボトムを同色でつないでバランスよく
ピンクはもちろんのこと、合う色幅も多い「こっくりとした」色味のベージュはキレイな色のボトム合わせに抜けも出る「肌感のある」トップスで投入。ニットとバッグ、パンツと靴。ピンクとベージュで色もセット。
「スカートをなびかせて」オレンジの主張をクールに分散
ツヤのあるスカートのゆれ感が、カラースエットの色のインパクトと重みをそれとなくカット。そでをまくって抜けも忘れずに。
あたたかな素材・キレイ色・肌のいい関係
タンクトップの肌感はそのままに、ふんわりとしたやさしい質感のシャギーニットにチェンジ。明確にかわいい色は、失敗しない「デニムでカジュアルダウン」の法則にしたがうのが賢明。くすんだ白デニムとオフ白のニットストールで、フォギーなピンクの甘さを中和。
濃紺デニムでコクが増すマンゴーのようなカラーニット
白や黒だけにとどめたくないTシャツでとり入れたいのは、果実のようにジューシーな色。親しみ深い濃紺デニムとコントラストの効いた配色で王道の「デニムとTシャツ」をよりフレッシュに。キレイな色もときには淡さ・くすみ色から離れて、直球で気分の上がる色を。
ベビーピンクと濃紺スキニーで「それとなくフレンチ」
多種多様な服と相性がいいTシャツは、配色も着方の幅を広げるのも簡単。キレイな色も自然に・カジュアルにとり入れやすいのも魅力のひとつ。飾りは色だけ。デニムやフレアスカートなど見慣れたボトムにちょっと遊びを足したいときに最適。
シャープな柄でスパイスを効かせてカジュアル以上でメンズライク
気楽なパンツと波長を合わせるように、首元やすそのボタンははずして雑に着る。引き締め力の高い色×柄を生かせばスマート。
甘色ボトム全般に似合う「ネイビーのコンパクトなベスト」
重ね着はもちろん、Vネックのトップスとしても活用できるショート丈のベスト。品よく引き締まった印象を演出してくれるネイビー+抜けの出るノースリーブは、キレイ色ボトム全般に好相性で着回しにも重宝。