「肌を見せるなら背中から」

「フロントだと抵抗があるし、オフショルだとどこか甘い。大人の肌見せを考えるなら、顔とは離れた位置の背中で考えればさりげない。サテンなど“そもそも女っぽい質感”よりも、素材感はカジュアルなほうが簡単」(樋口さん)
「手に持つだけのデニムONデニム」

「存在感が出るから、ついやってしまうデニムONデニム。上下デニムは難しいかなというときはGジャンを手持ちしたり、バッグにひっかけたりするだけでもWデニムは楽しめる。デニム=小物のような感覚で」(樋口さん)
「だいたい男」でいい結果

「まずメンズ同等に服を組み合わせて、最後に女っぽさをちりばめていく考え方でスタイリング。目を引くピアスを飾ったりヘアスタイルに手をかけたり、いつも以上に“女っぽさ”の重要性も気づかせてくれます」(樋口さん)
あなどるべからず「タックIN」

「撮影中、何かしっくりこないと思ったら、新たに足すよりもすでにあるものを“ひねる”ような発想で解決することが多いです。タックINもその1つ。ハイウエストパンツやベルトに頼らずにスタイルUPが見込めます」(樋口さん)
「ストールは服とみなす」

「はおるという点で役割が似ているシャツやカーディガンと違うのは、好みの動きをつくれること。そういう意味では「着ている感覚を味わえる小物」ともいえる。ワントーンにまとめれば、さらに“服っぽい”見た目に」(樋口さん)
「シンプルのよさにもいろいろある」
スタイリングを組むうえで、樋口さんから頻繁に出てくるのは「シンプル」というキーワード。地味にはならない境界線。単純なのに目を引く理由。樋口さんにとってのシンプルには、いろんな意味が含まれている。
「形からはみ出さない」

「抑揚のない長方形のようなシルエットの範囲内なら、映える色を使っても十分シンプルを保てる。つまったネックラインやロング丈など、隙をなくすとさらにミニマム。」(樋口さん)
「色をしぼると単純に見える」

「サテンコートなど難易度の高い素材感の服も、ワントーンにするだけで即落ち着く。色数をしぼることは、服から受ける情報量をリセットしてくれる効果もあります。」(樋口さん)
「地味な遊びが生きてくる」

「このスタイリングは、ベルトをたらしたことが実は最大のポイント。トップスとパンツだけだともの足りない。印象をくずさない程度の“地味なハズし”でも生きてくる。」(樋口さん)
「逆の発見のきっかけをくれる」

「たとえばレオパード柄のブーツ。単品で見ると「派手?」と迷うものも無地のワンピとセットで考えれば途端にハードルが下がる。その点で“気づき”をくれることも。」(樋口さん)
「すぎないバランス」のつくり方
少々大胆な提案でも、「やってみたい」と思わせる、リアルさに落ち着く樋口さんのバランス感覚。3つの「すぎない」をつくる、一例をご紹介。
キャップにはドレスで「カジュアルすぎない」

「スタイリングではあまりキャップは使わないのですが、ドレスなど極端な掛け合わせ用には手が伸びます。ある意味“ハズシ”がバレたくないので、色は必ずベーシックカラーで。ワントーンにすると、より大人っぽい。」(樋口さん)
黒と白だから「甘すぎない」

「毎月GISELeの衣装を考えるとき、集める服の色は圧倒的に黒か白が多い。“ガーリー”、“ヴィンテージ”など、テーマ性が強い企画のときこそ、デザインの主張をいい意味でおさえてくれるこの2色に頼りがち。」(樋口さん)
デニムで支えて「モードすぎない」

「シースルーなど日常であまりなじみのない生地は正直難しい。たとえば白Tとデニムに“足す”ような感覚ならいつもの延長で冒険できる。難しい服こそ“デニムのために”など着方を限定した選び方もありだと思う。」(樋口さん)