新しい流行やテイストを気負わずとり入れてみたい。そんな気持ちをリアルに引き寄せるために、どんな装いも支えてくれる安心感をそなえた「理由のあるベーシック」に着目。これまでもこれからも。スタイルに寄り添い続ける逸品だけを集めました。
【TOPICS】
①王道アイテム「愛され続ける理由」
②新調するならコレ「スタイリストの厳選アイテム」
③人気スタイリストのコーディネート理論
④人気スタイリストが「なぜか惹かれるデニム」
タイムレスに愛され続ける
「王道中の王道」
言わずと知れた老舗ブランドのあの名品の魅力をあらためて深掘り。長年の歴史をひもとくと、「王道」と呼ばれる理由が見えてくる。
「90年代を思わせるヴィンテージライクな風合い」

brand : Levi’s®
item : Denim Pants
Levi’s®のアイコン的存在である501®。その中でも「501® ’90S」は、90年代に着想を得たモデルで、ゆったりとしたシルエットが特徴ながら、ストレートフィットで、どんな靴を合わせてもすらりとしたスタイルを実現。最高級のセルビッジデニムを使用していて、色落ち感も楽しめる。
「“第二の肌”と呼ばれるなめらかなさわり心地」

brand : Petit Bateau
item : Camisole Set
フランスで130年以上の歴史を誇るプチバトーのキャミソール。オーガニックコットンを100%使用し、表目と裏目を細やかに編み込んだ1×1リブ編み素材によって、やわらかな肌あたりで着心地はストレスフリー。大人のかわいさが残る赤ハート柄と、極細ボーダー柄の2着セット。
「着るたびに体になじむテーラードシャツ」

brand : Individualized Shirts
item : Tailored Shirts
1961年の創業以来、ニュージャージーの職人が1着ずつ仕立て上げるテーラーメイドシャツ。“CLASSIC FIT”のブルーシャツは、高品質なオックスフォード生地を使用し、着るたびに豊かな味が生まれる。“RELAXED FIT”の白シャツは、ツイル生地特有の上品なツヤのある質感が魅力。
「すべてのポロシャツの“原型”デザイン」

brand : LACOSTE
item : Navy Polo Shirt
ラコステのポロシャツの中でももっともスタンダードな「L.12.12」は、鹿の子編みの素材を使用し、軽さと通気性のよさが自慢。繊細に編みこまれた生地感で、近くで見るとほのかな光沢を放つ。12回もの試作のすえ誕生した、まさにブランドの“DNA”を体現したといえるデザイン。
「テイストを選ばない万能性をそなえたチノパンツ」

brand : Dickies
item : Chino Pants
ブランドの代名詞といえる、ユニセックスなオリジナルワークパンツ。8.5オンスのツイル生地を使用し、ハリのある生地感。センタープレスとややテーパードがかったシルエットにより、脚長効果も見込めるうえ、キレイめな装いとも好相性。バックポケットのブランドロゴがアクセントに。
「日本人の体型にフィットする白Tシャツ」

brand : Hanes
item : Packed White T-shirts
分厚すぎず、かといってアンダーウエアほど薄すぎない絶妙な「5.3オンス」を採用。従来の赤パックよりも、着丈を短く、首まわりをタイトに設計することで、そでを通した瞬間から体に心地よくフィット。さらにアームホルダーをしぼることで、二の腕をほっそりと見せる効果も。
「フランスメイドのやわらかなボーダーT」

brand : Le Minor
item : Border T-shirt
“Petit Copain=小さな彼”というモデル名のとおり、体のラインを拾わないゆったりとした大きめサイズにたっぷりとしたそで幅。ソフトな風合いに加えて、ネックラインを美しく見せるなだらかなクルーネックとドロップショルダーで、洗練された女性らしさを演出できる。
手持ちの服に似合うから「あえて新調した」ベーシックな服
気分を新たにふだんと違う服を選ぶのもいいけれど、長く付き合えるのは「手持ちの服とも相性のいい」見慣れた服。合わせやすいなかで単調に映らない、スタイルにささいな変化が生まれるアイテムをピックアップ。 (掲載したアイテムは現在お取り扱いのない可能性がございます)
【スタイリスト・樋口かほりさん】
ベーシックなアイテムを軸としながら、女性らしい小ワザを効かせたスタイリングが大人気。忙しく動きまわる日々をオシャレに過ごせる、リアリティのあるアイテム選びに定評。
「カジュアルに着られる」セットアップ

足元も「素足にローファー」くらいの適当くらいがちょうどいい
「セットアップ=きちんとしたものが多い印象ですが、これは生地も軽くて形もゆるめ。さらにショートパンツだから“大きなシャツを1枚着る”くらいのラフなテンションで使えそう」(樋口さん)
白×ネイビーストライプジャケット 49,500円、ショートパンツ 31,900円/ともにベニット(ノーブル 有楽町マルイ店) 白バルーンTシャツ 20,900円/någonstans ジャケットにつけたバッジ 非売品/ボナム(ベイクルーズ カスタマーサポート)
「ひざ丈」でデニムの気分転換

ほどよい抜けをもたらす切りっぱなしのすそのニュアンス
「デニムを1年じゅう着ている私のような人の気分転換にオススメしたいハーフ丈。ヒールやジャケット、シャツなど、きちんとしたものを合わせても、自然と遊びのあるスタイルに」(樋口さん)
ダメージショートデニムパンツ 7,700円/Levi’s®(リーバイ・ストラウス ジャパン) ショートパンツにヒールだと、案外コンサバに見えてしまうことも。デニムだからこそ、キレイめなアイテムとの相性がいい。ひざが見える、タイトすぎないストレートを選ぶと着やすい。
「足すより引く」デザイン性

ふつうのジャケットと見せかけた意外性も黒だから試せる
「前後の大胆なギャップが印象的な1枚。今回はクロスストラップのインナーを合わせましたが、秋からはリブタートルでもいい。引き算されたデザインなら、アレンジで変われるよさがあります」(樋口さん)
黒バックオープンリネンジャケット 187,000円/ジア ストゥディオス(ガリャルダガランテ 青山店) 中に着た黒ボディースーツ 53,570円/オールド イングランド(オールド イングランド 銀座店) ベージュレギンスパンツ 14,300円/TODAYFUL(Life’s 代官山店)
さし色として使う「ネオンカラー」

ピンクだけど甘くない「はっきりとした発色」で凜とした強さも加算
「今回のようなシンプル企画を担当することが多いからか、反対にこういう派手色も気になる。これはニットだから真夏ほどポップに見えないのがいい。肩に巻くなど、小物的に使いたい」(樋口さん)
ピンクニット 53,900円/コズ マニュファクチャード バイ ラッピンノット(ウメダニット) アレンジしやすい、シンプルな長そで。タンクの上からひっかけたり、黒のワントーンに巻きつけたりと、主役として着るというより、小さくさし役に徹してコントラストを堪能。
夏こそ選ぶべき「ボリュームニット」

ウールとはまた違うエアリーな風合いでニットをアップデート
「ボリュームがあればあるほどニットは洒落る。それは今の時季にもいえること。これは軽くて通気性がいいのに、フェザーで見た目は重厚。装いのもの足りなさ”を埋めてくれるはず」(樋口さん)
オフ白フェザートップス 24,200円/ゲミニー(ウィム ガゼット ルミネ新宿店) ベージュワイドパンツ 26,400円/Jilky ふわふわとした贅沢なルックスで、過ごしやすさのなかにも女らしさやリッチな印象を加味。形はベーシックなため、ロンTから置き換える感覚でトライ。
クラシック感に惹かれた「リーボックの黒」

黒レザーのきちんと感とスニーカーならではのラフさを両立
「これまで白のイメージが強かったリーボックで、あえての黒が新鮮。ボリュームもひかえめなので大人っぽく、モードなスタイルにも似合う。個人的には太めな黒パンツと合わせたいです」(樋口さん)
スニーカー 13,200円/Reebok タンまで黒でまとめたレザーにロゴはひかえめなゴールドの「クラブ シー」の新作。ブラウンのソールの落ち着いた配色も、大人見えに貢献。サイズはやや大きめで選ぶと、ローカットでも少しボリュームが出るため、より服とのバランスがとりやすい。
キャップは「ちょっといいもの」を

ジュエリーがわりのサテンで顔まわりに華やぎと気品を補う
「ツヤのあるピンクベージュというヌーディさがツボ。いつもならキャップは、メイクはナチュラルで耳にピアスをつけるバランスが好きなのですが、これはジュエリーレスでかぶりたい」(樋口さん)
ピンクサテンキャップ 15,400円/IRIS47(フーブス) ピンクタンクトップ 13,200円/ボーダーズ アット バルコニー 奥ゆかしい輝きを放つリュクスな素材で、キャップをカジュアル以上へと引き上げ。キャップの繊細な色みを生かすべく、トップスも同系色でリンク。
「ソックスありきで」メリージェーン

パンプスほどおかたく見えない上品な1足
「クラシックでかわいいイメージなストラップつきのメリージェーン。私ならソックスと一緒にはきたいから、サンダルに移り変わる今の時季に最適。エナメルなら少し辛口に」(樋口さん)
白リブソックス 3,300円/SEA(エスストア) 黒メリージェーン 6,590円/ZARA(ザラ カスタマーサービス) 「かわいい」要素があるぶん、エレガントなロングスカートやカットオフされたデニムを合わせると大人っぽく。ソックスも少し肉厚なものでカジュアルダウン。
バングルの延長でパームカフ

手元にまとうジュエリーでカジュアルな服に適度な女らしさを
長めのそででも隠れることなく、手の甲を飾るパームカフは私もすでに購入済み。リングなどを重ねても素敵ですが、意外としっかり主張してくれるので、1つでも十分存在感が出せます。
〈左手〉ゴールドパームカフ 49,500円、〈右手〉シルバーパームカフ 45,100円/ともにリューク グレースエット 7,920円/ニューバランス(ニューバランスジャパンお客様相談室) 全部の指にリングをつけるのと近い感覚ながら、バランスを気にせず使える手軽さがあり。
「あらためて501®が新しい」

「フレアやワイドなど、デニムも多種多様ですが、また王道のストレートがかえって新鮮。ボリューム感のあるトップスが全盛のいま、シルエットはストレートががバランスもとりやすく出番も増える」(樋口さん) デニムパンツ 15,400円/Levi’s®(リーバイ・ストラウス ジャパン)
「デニムに合う首のつまり具合」を重視

「ネックラインは詰まっているほうが、デニムやチノなどカジュアルなボトムとのバランスがとりやすい。ロンTは通常の半そでTシャツのようなドライな風合いではなく、しっとりとしたブラウスのような軽やかな風合いで品よく見えるタイプを選ぶのがポイント。シーズンを問わずに長く使えて、白Tをきちんと着たいときにもおすすめです」(樋口さん) ロングTシャツ 17,600円/ロエフ(ユナイテッドアローズ 原宿本店)
「Tシャツよりも実は使える」タンクトップ

「肌が潔く出ていることが“ポイント”となり、1枚でさまになるタンクトップはまめに買い足す服のひとつです。デザイン性の高いアメスリだと、アクセなしでも凝った印象に」(樋口さん) タンクトップ 各7,700円/カルバン・クライン(カルバン・クライン カスタマーサービス)
「体がキレイに見える形」に注目

「パターンが素晴らしく、細部にもこだわって作られているから、体がキレイに見える。辛口な雰囲気が漂って、合わせるトップスがシンプルでも高感度に仕上がります」(樋口さん) ワイドパンツ 38,500円/チノ(モールド)
幼く見えない「ヴィンテージライクな甘さ」

「くたっとした風合いと、レトロなレースにひと目惚れ。あせたデニムに合わせたくなる絶妙な風合い。首まわりだけでなく、そでにティアード状にあしらわれたレースもかわいい」(樋口さん) 白レースネックブラウス 17,600円/Jilky
「アクセでふり幅が広がる」プレーンな1枚

3サイズのうち、靴がやや隠れる長め丈を選び、靴の要素をおさえると、よりシンプルな見た目がかない、ほかの小物が映えやすくなる(樋口さん) ワンピース 17,600円/takes.(Shinzone ルミネ新宿店)
「気遣い」のあるアクセサリー

「パールピアスの気分転換にゴールドを。アンクレットはデニムを女っぽくはきたいときに。たとえすそで隠れてしまっても、“足首にも気を使っている”というマインドに効くアイテム」(樋口さん) 〈上〉ゴールドピアス 33,000円/エナソルーナ 〈下〉ゴールドウェーブアンクレット 44,000円/SYMPATHY OF SOUL -Style-(フラッパーズ)

「小粒のボールピアスは、かわいらしさと品の良さどちらもアピールしてくれるので重宝」(樋口さん) ピアス 26,400円/ボーニー(エドストローム オフィス)
「カジュアルに似合う」大粒のパール

「軽量でノンストレス。パールはネックレスでなくポイントになるやや大ぶりなものを耳元にさりげなく」(樋口さん) パールピアス 7,560円/アビステ
シンプルなスタイリングに「知性を宿す」

「何かもの足りない、そんな日はアクセサリーを足すのではなくかけるだけでオシャレっぽく見えるブラウンフレームの眼鏡が便利です」(樋口さん) 眼鏡 36,300円/モスコット(モスコット トウキョウ)
「ヘアスタイルが決まらない日に」

「セリーヌで購入。黒は強いかな?と思ってネイビーに。ヘアが適当なときや服がごくシンプルな日もこれ1つでもつ。バッグに入れておくとなんとなく落ち着きます」(樋口さん) 眼鏡/樋口さん私物
デザインは遊べど「色はベーシック」

「華奢なロゴと定番のネイビー。たとえばワンピースを着るときに被るだけで、簡単にカジュアルダウンできるキャップは重宝。白で小さく入ったロゴもさりげないアクセントに」(樋口さん) キャップ 6,490円/SEA(エスストア)
「足元に色」ならピンクベージュ

「色はやさしく、フォルムは強気なとんがりトゥ。エッジーなパンプスも強すぎず、メリハリのつきにくい淡色がほどよいアクセントになって服になじみやすい」(樋口さん) ピンクベージュパンプス 35,200円/PIPPICHIC(ベイジュ)
ローファーは「ビットも省いた」シンプル思考

「ボトムを選ばないミニマルなルックス。ローファーはクセのないスタンダードなブラウンが毎年、やっぱり使えます」(樋口さん) ブラウンローファー 137,500円/ジェイエムウエストン(J.M. WESTON 青山店)
スニーカーは服を選ばない「細身・シンプル・真っ白」

「ときにデザインで入ったラインさえトゥーマッチに見えてくるから、究極にシンプルな白はありがたい存在。その中でもこのムーンスターのそぎ落とされたデザインはどんな服にも合わせやすいので、ついコレばかりを使いがち。それくらいムダのない白はスタイリングにも不可欠ということが自分的にもあらためて分かった1足」(樋口さん) 白スニーカー 11,000円/ムーンスター(ムーンスター カスタマーセンター)
年中活躍の黒ショートブーツは「細長いスクエアトゥ」

「夏も服によってよく合わせるショートブーツ。どんなボトムにも合わせやすいのは、丸くもなく角ばりすぎてもいない絶妙なトゥ。疲れにくい四角形のヒール、細長いフォルムを選ぶのもポイント」(樋口さん) 黒ショートブーツ 27,500円/タラントン by ダイアナ(ダイアナ 銀座本店)
ベルトは「さし色にもなる」ブラウンを

「短めなトップスが豊富。そんなトップスを合わせるときにも、ベルトがあるだけで行き届いたベーシックスタイルに」(樋口さん) ブラウンレザーベルト 9,900円/TORY LEATHER(メイデン・カンパニー)
軽さを生む「サテン地の薄ピンク」

「あまり色ものを着ない夏は、小物で色をさすのが毎年の流れ。単純にピンクが好きで、この白に限りなく近いランジェリーのような色みとサテンのツヤにほれ込んでいます。」(樋口さん) ミニバッグ(15×23×9.5) 28,600円/ハイ (ル タロン 有楽町マルイ店)
「街にも向く」柔らかいパイル地

「夏はTシャツ+デニムのコンパクトな装いが多いから、バッグでボリュームを。手触りのいい“くたっと”感で、着くずせるのがかわいい。汚れが目立ちやすい白ですが丸洗いできる、というのも大きなメリット」(樋口さん) トートバッグ(34.5×43×21) 11,000円/ボングスタ(エディット フォー ルル)
Tシャツやタンクなど「肌感のあるトップスと一緒に」

「秋冬はもちろんですが、薄手のトップスに立体感を足す役目としても。なので小さめサイズ・毛足短めくらいがちょうどいい。ベージュも着こなしに柔らかさを足してくれます」(樋口さん) ブラウンファーバッグ 18,700円/ANITA BILARDI(エディットフォールル)
見せるのではなく「見える」
人気スタイリストのコーディネート理論
見せるのではなく「見える」。そんなさりげないワザが効いたスタイリングで、毎号反響を呼ぶスタイリスト・樋口かほりさん。過去に手がけたスタイリングをもとに、そのファッションセオリーをあらためて解剖。リアリティのあるスタイルを生み出すうえで大切にしている「言葉」をワードローブづくりのヒントに。
【スタイリスト・樋口かほりさん】
ベーシックなアイテムを軸としながら、女性らしい小ワザを効かせたスタイリングが大人気。忙しく動きまわる日々をオシャレに過ごせる、リアリティのあるアイテム選びに定評。
「デニムは前より後ろ」

「ヒップやパッチなど、服の中でもとくにデニムは後ろが絵になる服。右の写真はヒールまで赤いサンダルにしたり、ヘアにリボンを飾ったり。顔が見えないぶん「何が好きな人か」を感じさせる後ろ姿を意識的に表現しました」(樋口さん)
「赤はとっておく」

「いつもはベーシックな色を好む人が、ある日突然赤をさらっとまとう姿には、ドキッとさせられるものがある。だから私の中では、赤=いざというときの色。シンプルなデザインを選ぶなど、無理のない取り入れ方が大事だと思います」(樋口さん)
「白は派手な色だから」

「清潔感や知性のある白は、同時に緊張感のある色。白シャツなど正統派なものだとその印象はさらに高まる。ALL白ならなおさら。Tシャツやあえてストラップつきのパンツなど、なるべく「隙がある白」を選んでいます」(樋口さん)
「肌を見せるなら背中から」

「フロントだと抵抗があるし、オフショルだとどこか甘い。大人の肌見せを考えるなら、顔とは離れた位置の背中で考えればさりげない。サテンなど“そもそも女っぽい質感”よりも、素材感はカジュアルなほうが簡単」(樋口さん)
「手に持つだけのデニムONデニム」

「存在感が出るから、ついやってしまうデニムONデニム。上下デニムは難しいかなというときはGジャンを手持ちしたり、バッグにひっかけたりするだけでもWデニムは楽しめる。デニム=小物のような感覚で」(樋口さん)
「だいたい男」でいい結果

「まずメンズ同等に服を組み合わせて、最後に女っぽさをちりばめていく考え方でスタイリング。目を引くピアスを飾ったりヘアスタイルに手をかけたり、いつも以上に“女っぽさ”の重要性も気づかせてくれます」(樋口さん)
あなどるべからず「タックIN」

「撮影中、何かしっくりこないと思ったら、新たに足すよりもすでにあるものを“ひねる”ような発想で解決することが多いです。タックINもその1つ。ハイウエストパンツやベルトに頼らずにスタイルUPが見込めます」(樋口さん)
「ストールは服とみなす」

「はおるという点で役割が似ているシャツやカーディガンと違うのは、好みの動きをつくれること。そういう意味では「着ている感覚を味わえる小物」ともいえる。ワントーンにまとめれば、さらに“服っぽい”見た目に」(樋口さん)
「シンプルのよさにもいろいろある」
スタイリングを組むうえで、樋口さんから頻繁に出てくるのは「シンプル」というキーワード。地味にはならない境界線。単純なのに目を引く理由。樋口さんにとってのシンプルには、いろんな意味が含まれている。
「形からはみ出さない」

「抑揚のない長方形のようなシルエットの範囲内なら、映える色を使っても十分シンプルを保てる。つまったネックラインやロング丈など、隙をなくすとさらにミニマム。」(樋口さん)
「色をしぼると単純に見える」

「サテンコートなど難易度の高い素材感の服も、ワントーンにするだけで即落ち着く。色数をしぼることは、服から受ける情報量をリセットしてくれる効果もあります。」(樋口さん)
「地味な遊びが生きてくる」

「このスタイリングは、ベルトをたらしたことが実は最大のポイント。トップスとパンツだけだともの足りない。印象をくずさない程度の“地味なハズし”でも生きてくる。」(樋口さん)
「逆の発見のきっかけをくれる」

「たとえばレオパード柄のブーツ。単品で見ると「派手?」と迷うものも無地のワンピとセットで考えれば途端にハードルが下がる。その点で“気づき”をくれることも。」(樋口さん)
「すぎないバランス」のつくり方
少々大胆な提案でも、「やってみたい」と思わせる、リアルさに落ち着く樋口さんのバランス感覚。3つの「すぎない」をつくる、一例をご紹介。
キャップにはドレスで「カジュアルすぎない」

「スタイリングではあまりキャップは使わないのですが、ドレスなど極端な掛け合わせ用には手が伸びます。ある意味“ハズシ”がバレたくないので、色は必ずベーシックカラーで。ワントーンにすると、より大人っぽい。」(樋口さん)
黒と白だから「甘すぎない」

「毎月GISELeの衣装を考えるとき、集める服の色は圧倒的に黒か白が多い。“ガーリー”、“ヴィンテージ”など、テーマ性が強い企画のときこそ、デザインの主張をいい意味でおさえてくれるこの2色に頼りがち。」(樋口さん)
デニムで支えて「モードすぎない」

「シースルーなど日常であまりなじみのない生地は正直難しい。たとえば白Tとデニムに“足す”ような感覚ならいつもの延長で冒険できる。難しい服こそ“デニムのために”など着方を限定した選び方もありだと思う。」(樋口さん)
樋口さん的「なぜか惹かれるデニム」

デニム企画を幾度となく担当し、自身もデニムフリークであるスタイリスト・樋口かほりさん。そんな彼女の目にとまったデニムとその理由とは?
「今また気分の“カルバン・クライン”」

「使い勝手のいいデザインの中にも、少しクラシックな雰囲気と女性らしさを感じられて、ここ最近毎号リースしているカルバン・クライン。Gジャンやパンツだけでなくスカートにも注目していて、巻頭企画でも使用。」(樋口さん)
「流行りすたりのないベーシック」

「ユニセックスではけるLevi’s®の「555™」。このデニムらしいブルーと、トレンドに左右されることのないシンプルなストレートが唯一無二で、ことあるごとに使いたくなる。女性がはくと少しぶかっとする感じもいい。」(樋口さん)
「ついリースしてしまうかわいさ」

「Gジャンだけでなく、こういうイラストの入ったパンツもあって。古着っぽくてかわいいなと、プレスルームで見つけるとつい借りてしまいます。使える企画は限られてしまうのですが(笑)、ほかにないデザインがお気に入り。」(樋口さん)
「大人っぽさを引き出す切りっぱなしのすそ」

「大人に似合うハーフパンツって見つけるのがなかなか難しいと思うのですが、“デニムに強い”ブランドで探すといいものが見つけやすい。個人的にはソックスやタイツを合わせてはきたい。」(樋口さん)
「黒に似合う白」

「真っ白でもベージュでもない、これからの時季にうってつけの、少しあたたかみのある絶妙な色み。ワントーンでまとめてもニュアンスが出せるうえ、黒と合わせたときにも強く見えすぎないところが好きです。」(樋口さん)
「気が付けばデニムばかり」樋口さんの愛用品
撮影期間中もリアルにデニムスタイルばかりだった樋口さんの私服をパパラッチ!ヘビロテ中のデニムとポイントを聞き込み。
Denim : RED CARD TOKYO

「はきこんだかのようにやわらかな風合いと、メンズのようなずるっとした太めのシルエットがお気に入り。それに合わせて小物もカジュアルなものを。とはいえルーズになりすぎないよう、黒ジャケットで締めました。」
Denim : YANUK

「昨年の夏にYANUKと一緒につくった白デニムは、クラッシュの位置にこだわりました。あえて高めにし、大人でも使いやすく。クラッシュ&ワイドのおかげで、白1色でまとめてもキレイめになりすぎなくて大活躍中。」
Denim : Levi’s®(vintage)

「このデニムは古着屋で購入したLevi’s®。ノースリだけどレザーのトップスで、少しだけ秋を意識しました。トップスの素材を変えるだけでもはき慣れたデニムが新鮮に映るうえ、全身を新作でまとめるよりもしっくりきます。」