デニムのような王道アイテムは、装いのイメージが固まってしまいがち。「新しさ」の解像度を上げる方法として、相反するイメージの言葉どうしを組み合わせてみるのも手段の一つ。「カジュアルなデニムでキレイな選び」や「カッコいい着方でかわいい配色」など。言葉の矛盾から始める、ワードローブの拡大作戦。
(TOPICS)
【1】「デニム自体」をキレイに更新
【2】「メンズっぽい着方で」かわいい配色
【3】単純なワンツーを「単純に着ない」アレンジ方法
【1】「デニム自体」をキレイに更新
旬といってもいいほどデニムに注目が集まる今は、手持ちを見直すいいチャンス。目新しさとキレイの両方を呼び込めるアイテムを、スタイリスト岩田槙子さんのオススメポイントとともにご紹介。
【担当スタイリスト】
岩田槙子さん 女らしさとモード感をMIXしたキレイめスタイルに定評あり。数多くのモノトーン企画を担当してきた一方で、自身はヴィンテージライクな柄物をとり入れたスタイリングも大好き。
洗練された白に映える「美しいゴールドの裏地」

白っぽくまとめたマニッシュな装いを輝きで彩る
「上品だけど華やかさもある、落ち着いた白×ゴールドの配色が新鮮。ひかえめすぎず、かといってぎらつかない絶妙な輝きは、歩くたび高揚感を味わえるはず。」(岩田さん)
深めの股上で形はメンズライクなストレート。適度にくだけて見える形くらいで選ぶと、白パンツでもかしこまりすぎないルックスに。
「カジュアルではない」デニムワンピース

重ねるのがもったいないほど美形なワンピは小物で遊んで個性を上乗せ
「デニムワンピは一歩間違えるとほっこり見えてしまうのですが、これは色み、ウエストのシェイプ加減、デコルテの開きなど、どこをとってもセンシュアル。」(岩田さん)
スクエアネックに胸下からの切り替えフレアのクラシックなデザイン。ハリのある生地や色ムラの少ないリジッドカラーがリュクスな見た目に貢献。
スキニー未満の「細身テーパード」

深いVネックの緊張感とともにニット+デニムを形で更新
「ワイド人気は引き続きですが、今季は細身も増えた印象。上にコンパクトなトップスを合わせやすい、スキニーまでいかない絶妙なシルエットに惹かれました。」(岩田さん)
腰まわりにはゆとりを、ひざ下はほっそりと見せるボーイズテーパードの「ANN」。細身でもはきやすいストレッチの効いた素材。
「エレガントに装える」デニムジャケット

チノパン合わせもミニマルなジャケットとならキレイめに着地
「ツイードでよくある、クルーネックのシングルジャケット。あえてカジュアルなデニムでとり入れれば、オーセンティックなスタイルの抜けとして活躍してくれそう。」(岩田さん)
ゴールドボタンと編まれたポケットのディテールがアクセントで、Gジャンとは真逆の品のよさを表現。短め丈でボトムとのバランスもとりやすい。
キレイな服とケンカしない「フィット感のあるビスチェ」

レディなセットの好感度をくずすことなく適度な親しみを
「ななめの胸ポケットや身幅を調整できるサイドベルトなど、細部へのこだわりが満載。サテンやシャツなどきちんと感のある服のハズしとして使いたいです。」(岩田さん)
ベルト感覚で装いにつけ足せるデニムビスチェ。1940年代後半からほぼ変わらないLee®の王道のデニムジャケット「101-J」がベースに。
コンサバとは一線を画す「グレーでタイトなマキシスカート」

ブラウスの甘さがひかえめに落ち着くハンサムなカットオフのグレー
「デニムゆえの切りっぱなしや色ムラで、タイトスカートも気張らず着られる。中途半端な長さだと靴選びに悩んでしまうので、これくらい長さがあるとうれしい。」(岩田さん)
切りっぱなしのはき口やすそ、あせた色みなど。タフな質感のグレーは、デニムスカートをカッコよく見せるのに有効。直線的かつタイトめのシルエットは、生地厚めのデニムと相性がよく、凹凸のないキレイなレッグラインを演出。
背筋がのびる「デニムドレス」

品のいいモードを表現する「構築的なシルエット」
シェイプされたウエストライン。そこから広がるスカート部分はすそをすぼめてゆるさを軽減。カジュアルなデニムのイメージとは裏腹に、オケージョンにも向く女性らしさと気品を獲得。
つまった首元や半そでよりやや長いそで丈もデニムの見違えを図れるモダンな印象をあと押し。ストレッチ性をそなえたシワになりにくい素材を使用し、着用時のストレスを軽減。濃色デニムにありがちな色移りも軽減できる工夫が。
インナー感なく「着映えるベアトップ」

肌を見せても甘くない「加工感のある黒デニム」
センシュアルなデコルテを武器に装う、ハズしなしの堂々たるマスキュリン。デニム生地には手作業でやすりをかけ、使い込んだような味のある無骨さを表現。
ノンストレッチの黒デニムを使用し、タイトなベアをよりもさらにストイックに着られる1枚。表面にはベルベット風の加工をほどこし、インナー以上のリュクスなムードへ昇華。鋭さのあるシルバーのDロゴのおかげで、アクセサリーで着飾らずとも1着で印象的な見た目を約束。
【2】「メンズっぽい着方で」かわいい配色
ブルーデニムと調和する、淡くキレイな色トップスでカラーパターンを拡大。ポイントは甘い色をメンズライクなアイテムでとり入れること。「甘いトーンを辛く着る」矛盾で、浮かれずも埋もれない、理想のバランスに。
ブルーとピンクのその間「ハンサムラベンダー」

ピンクほど甘くなく、ブルーより辛くない。ほどよいさじ加減を保つ、キレイめボトムにも合う正統派シャツ。しなやかでコシのある薄手のオックスフォード素材だから、オーバーサイズで選んでもよれにくい。えりやそでを適当に着くずして、クリーンな配色をリラックス。デニムにタックインしたメンズライクなスタイルに女性らしいやさしさを残せる。
デニムにグリーンをINしてスマートに

ゆるすぎないのに隙も残したデニムブルーとのコントラスト。グリーンとインディゴの珍しい配色も、シャツとデニムという定番どうしだから簡単。
そでをまくってイエローボーダー

ペールイエローのフレッシュなボーダーで、色落ちデニムにかわいげを。そでをまくってたるみをつくり、映える色×柄をさらにリラックス。
適当にくずして大きなブルー

色もトーンもそろえて、浅いブルーデニムをスマート化。シャツを着くずしたことで立体感が生まれ、同色合わせの単調さを防げる。すそは片側INして脚長見せも意識。
腰に巻いてピンクONピンク

白みがかったピンクだから、レイヤードしてもくどくない。スエットを腰に巻く、メンズ的な着くずしで、配色の甘さをトーンダウン。
「ブラウスのようにとらえて」あどけなさをブレンド

余ったすそをベルトループに通してサイドに流し、クリームカラーのシャツに新たな動きをメイク。アレンジすることで生まれる身幅のふくらみや透明感のある素材によって、ブラウスのようなやわらかな見た目に。切りっぱなしにした無骨なデニムがむしろ生きる「甘いアレンジ」として加えたい。
涼感のあるほぼワントーンを堪能

白シャツとブルーデニムでは出せない個性を、薄いパープルシャツで表現。ワントーンを平坦に見せないよう、雑にそでをロールアップしたり、すそのボタンを中途半端にはずしたり、シャツの「動き」を利用。
【NEWS】
「Tシャツなのにキレイ」いいとこどりの白黒Tシャツ
「綿100%の日本製」であることは保ちつつ、わずかに光沢とコシを強めて、よりシーンレスに使える上品な仕上がりに。白はいっそう透けにくく、黒はこれまで以上に存在感高く。どこにでもありそうでどこにもない。シンプルな装いに差がつくこだわりがつまった無地の白黒Tシャツ。
【3】単純なワンツーを「単純に着ない」アレンジ方法
個性が出やすい普遍的なスタイルこそ、「なんとなくで終わらせない」ひと工夫で完成度がぐっと上がる。Tシャツのバリエを広げたり、小物を丁寧に飾ったり。週3同じデニムでもイメージが変わる、3つのアイディアをご紹介。

ダメージデニムパンツ/NEEDBY heritage(ゲストリスト) 暗色トップスと合わせても涼しく見える、淡いブルーを選択。細身のストレートで美脚効果も。
ハンサムな小物で統一

ベルトやローファーなど、クラシックな小物でまとめると、気楽なワンツーもインテリな雰囲気に。デニムのすそを長めに折り、ボトムラインをすっきり整えることで、きちんと感が高まる。
すそを引っかけるだけの「シルエット操作」

ウエスト部分にすそをひっかけると、ルーズなTシャツのボリュームが引き立ち、シルエットでインパクトがつく。おかげでダメージデニムと合わせてもカジュアル以上に。
ラフな着方に映えるシアーなTシャツ

旬の透け感をとり入れた白のロンTで、クラッシュデニムをキレイめに着地。かごバッグやゴールドシューズなど、淑女の飾りをちりばめて、さらに女性らしさをあと押し。
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