いつだって頼りになるジャケット。ラクしたいとき、甘い気分のとき、新しさを試すとき。あらゆる「着たい」をバランスよく仕上げてくれるジャケットの「旬」をリサーチ。
(CONTENTS)
①ジャケットの新傾向は?
②「とくにいい」ジャケットの新作
③人気スタイリストに聞いた「ジャケット上手」のポイント
【形】
メンズのような「四角い」フォルム
正統派なジャケットのお堅さを生かし、カジュアルな服を大人のさじ加減に。程よいゆとりを持たせつつも、肩パッド入りやハリのある生地を選び、輪郭をはっきりとさせておくほうが、どう転んでもキレイがくずれない。
+黒ジャケットでロゴトップスをストリートに寄せない


アウターとして、そしてコートの中に着ても「かさばらない厚み」は賢い選択。適度なハリのある生地が、黒ジャケットのシャープな輪郭を際立たせる。ロゴトップスなど遊びのあるインナーを仕込んでも、このジャケットが持つ「真面目さ」がストリートに寄せすぎず、大人のバランスを保つ。
優等生なジャケットで王道のよさを再確認


直角のラインをつくれるのは、厚手の肩パッドをほどこしているから。かっちりとしたBOX型でシャープな印象がくずれないため、デニムのオーバーオールに欲しい緊張感をカバーできる。
【素材感】
ファーコートみたいな「ふわふわ」
今シーズン多く見られるのが、長い毛足と光沢が特徴の、ファーコート感覚で使えるビッグジャケット。防寒はもちろん、華やかなボリュームで、ベーシックなモノトーンスタイルのまま絵になる姿に。
羽織るだけでいつもより「ちょっと上」の存在感

肩幅とアームホールを広めに設計しているため、中に2、3枚重ねたいときもスムーズに整う。ぼやけた風合いが手助けして、ハンサムな白の強さを同時に和らげられる。
【柄】
古着のような「渋色チェック」
知的なのに親しみがわく、くすんだ色みや細かいチェック柄のヴィンテージライクなディテール。クリーンよりも渋い方向に寄せることで、足元までコンサバを貫いても気どって見えない。
大きなシルエットに対して中は細くスマートに

太ももが隠れるほどの、思いきったロング丈。この長さがボトムとの一体感を生み、縦のラインを強調。タイトなスカートやワンピースを合わせ、その「ゆる・ぴた」のギャップを潔く見せるのが、大きなジャケットをバランス&スタイルよく着こなす基本テクニック。
【再注目】
甘い色にも抵抗がなくなる「紺ブレ」が復活
いろんなタイプのジャケットが出ているだけに、正統派な見た目がむしろ新鮮。金ボタンつきブレザー、黒のダブルジャケットなど。一周回って、あらためてベーシックな紺ブレに注目。
「小さなワッペンつき」の遊びあるブレザー

うでやそで口にワッペンをあしらった、やんちゃな顔した紺ブレが新鮮。アメカジ好きの男の子がアレンジしたようなカスタム風のジャケットなら、糖度の高い白ワンピースとも調和がとれる。背中にはビーズで刺しゅうしたブランドロゴをデザイン。どの角度から見ても遊び心を感じる仕上がり。服が個性的なぶん足元は白ですっきりと。
惹かれる色は紺ブレと一緒に品よく効かせる

王道ゆえの風格があれば、カラーニットを冷静にとり込める。女性らしさのあるやわらかい素材感のジャケットだからより赤の迫力を緩和できるため、華やかな色もリアリティのあるバランスに。色あせデニムを合わせて、脱力感のある今どきなフレンチルックが出来上がり。
≫【毎年完売の名品ジャケット】コートの「中に着てもぴったり似合う」ジャケット
まずはダークカラー=「黒とネイビーから」
整える服として、手持ちに合う色を選ぶことが多いから。黒とネイビーで、これまで紹介してきたデザインや素材のバリエーションをリサーチ。
1.FORMAL MOOD
「タキシードみたいな実直さ」

黒オーバージャケット 72,600円/ソブ(フィルム)
下えり部分に、サテンライクな光沢素材をドッキング。タキシードを思わせるフォーマルなディテールが、ただのオーバージャケットを「特別な一着」へと格上げする。デニムでカジュアルダウンしても品格はそのまま。オケージョンシーンにも対応する、振り幅の広さが魅力。
2.CURVY LINE
「レディへ寄せる曲線美」

黒ノーカラージャケット 44,000円/JOSE MOON
Uネックのような首元と、シェイプされたウエストが特徴。この「曲線美」こそが、ジャケットスタイルにLADYな気分をもたらし、羽織るだけで、計算されたスタイルアップがかなう。インナーはシンプルなTシャツ一枚でも、このジャケットがドラマティックに仕上げてくれる。
3.LIGHT WOOL
「見た目に反して薄くて軽い」

黒裏地つきジャケット 99,000円/D-VEC(グローブライド)
見た目は重厚、しかし袖を通せば驚くほど軽い。リサイクルナイロンを使用した軽量感と防風効果は、実用面でも頼りになる。秋はアウターとして、冬はコートの下に忍ばせるミドルレイヤーとして。そのスマートさが、着こなしの幅を無限に広げる。
4.RETRO KNIT
「ニット+金ボタンで甘口仕様」

〇ネイビーニットジャケット 14,900円/MANGO レトロな金ボタンと計算されたシルエット。カーディガン感覚の気軽さを持ちながら、ジャケットとしての風格も両立。Tシャツに羽織るだけで、肩の力の抜けたきちんと感が手に入る。
5.ALL NAVY
「リバーコート一歩手前」

ネイビージャケット 71,500円/ロエフ(エイチ ビューティー&ユース)
ほどよい厚みを持ちながら、カシミヤ混のウールが体にしなやかになじむ。その着用感は、まるで「リバーコート一歩手前」。ジャケットの堅苦しさはなく、コートの持つ包容力がある。真冬まで長く頼れるアウターの新解釈。
6.LONG SLEEVE
「メンズライクなBOX型」

ネイビーウールジャケット 86,900円/タンジェント
肩パッドを効かせた、潔いほどのワイドなBOX型シルエット。メンズライクなムードを決定づける、長めのそで丈とすそ丈。この「アンバランスな大きさ」こそが、タイトなボトムスを合わせたときに、かえって女性らしさを引き立てる。
スタイリストに聞いた「ジャケット上手」のポイント
定番化したゆったりシルエットの服、淡い色、カラーアイテムなど、さまざまな服をうまくまとめてくれるジャケットは、コーディネートの調整役にも欠かせない存在。サイズ&丈感や色、組み合わせなど海外のジャケット上手たちが実践する技をGISELeスタイリストたちが隅々まで分析。
【STYLIST MEMBER】
(渡邉恵子さん) 実際の着用感まで想像の行き届いた提案がモットー。 (岩田槙子さん) 女性らしさが引き立つ色と形の選定に定評。着まわし企画も得意。 (樋口かほりさん) シンプルな服を基調としながら、今っぽさを感じられるシルエット選びに定評。 (高木千智さん) メンズライクな風合いをとり入れた、辛口なスタイリングで人気。 (出口奈津子さん) ラフに見せず都会的に引き上げるディテールや素材の選択に、審美眼とこだわりが光る。
薄色デニムはグレーでグラデっぽく

「淡いブルーデニムとグレージャケットの、どことなくワントーン風に着たテクニック。デニムのカジュアルさを自然に薄めて上品なムード」(樋口さん) 「ソフトな配色や、グッドガール風の小ぶりなバッグなど、ちょっとずつコンサバ要素を入れているのも、デニムをちゃんと見せるポイント」 (岩田さん)
ワンピースならオール白も簡単

「ニットワンピ+コンバースの気楽な装いの上に、色をそろえてはおるだけ。他の色にも応用が利くと思います。ジャケット感がほどよく薄れて、親しみやすく変われる」(高木さん)
ミニマムなフォルムにドット柄で意外性

「Iラインでまとめたシックな黒とブラウンの地味さやもの足りなさを解消してくれる、ポップなドット柄。渋いブラウンだから、かわいい柄もキャッチーになりすぎず品を保持」(渡邉さん)
華やかな甘さを足すアウター未満

「ジャケット的にも使える厚みと、ピンクがかった甘さのある色みのベージュのカーディガン。黒デニムとのシックな配色も、表面のふわふわな質感でやさしいムード」(石関さん)
品行方正なコーデュロイ

「サイズと色でさらなる重みを加えてデニム姿をアップグレード。太いうねによる重厚感。ストライプのようなニュアンスが加わりつつも、ストライプのように目立たない品の良さ。シンプルな上下に羽織るだけでサマになってしまう、頼れる秋冬ジャケットのタイムレスな定番の1つとして」(渡邉さん)
ジャケットありきでスエットパンツ

「キレイに穿けるスエットパンツは、秋からもますます欠かせない主役ボトムの1つ。そのラフな素材感を生かし、これからはかっちりとしたジャケット、ヒールパンプスにレザーバッグと、素材以外はまじめに徹した装いに。白&ネイビー配色ならさらに大人っぽく都会的なムード」(樋口さん)
ポイントは「そでのロールアップ」

「フレンチシックな装いをさらに知的に寄せた工夫に注目。トレンチコートのそでをキレイに折りたたみ、かちっとさをプラスした方法は、とくにビッグサイズが定番となったジャケットでも使えるテクニック」(出口さん)
チェック柄は着回せるグレーを

「すそにかけて広がるルーズなシルエットのデニム。チェックジャケットを合わせたメンズライクな装いは、ヒール靴と胸元の肌感で甘さを加えて」(樋口さん)
レースはハイネックでクラシカルに

「細身テーパードをスラックス的に解釈し、マニッシュな黒ジャケットをON。インナーにはシャツではなく、レトロな首つまりブラウスを選んでテイストMIXすることで品はかもしつつ、遊びゴコロも獲得」(岩田さん)
メンズの正統派でそろえる

「ジャケットとシャツの紳士の定番アイテムをとり入れ、あえて「ハズさず着る」のが新鮮。ウォッシュデニムをハンサムに映すことができますね」(樋口さん)
気だるいような品がそなわるそでの余白

「キレイめシンプルを品よくくずすドルマン風スリーブ。アームホールが広くそでにボリュームが増したことで、リラックス感が加速。Iラインスカート&コンパクトなトップスのスマートな白と組み合わせても、気どった感なくキレイめに」(渡邉さん)
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