デニム選びに失敗しない「プロが試着でやっていること」
色やシルエットの幅が広く、丈やサイズの正解もつかみにくい…など、納得のいくものと出会うまで、意外と時間を要することも多いデニム。そこでデニム好きのスタイリストや、長年デニム選びに深く携わるショップスタッフなど、プロたちに徹底取材。理想の1本に最短距離でたどりつくための「見どころ」を詰め込んでご紹介します。
【取材したデニムのプロたち】
(GISELeスタイリスト・樋口かほりさん)本誌でも特集が組まれるほど自他ともに認めるデニムフリーク。絶対に試着をしてから買うのがモットーで、撮影の際も、実際に試着をしながら選別。スタイルよく見せるバランス感は毎回大反響。
(GISELeスタイリスト・塚田綾子さん)毎日のようにデニムを愛用し、培われた審美眼により、担当するデニム企画は毎号上位にランクイン。156cmの小柄な体型に似合うものを日々模索中。重心が上がって見えるクロップト丈が好み。
(MOUSSYオフィシャルスタッフ・田中梨花さん)店舗で約10年勤め、現在はオフィシャルスタッフとして販売以外の場でも幅広く活躍中。インスタグラムにはMOUSSYのデニム全型を着用したコーデ写真を投稿しており、接客にも活用。
(Levi’s®原宿 フラッグシップストア・勝冶絵里奈さん)リーバイス®販売員歴8年目。もともとデニムが好きだったため、別ブランドの販売を経て転職。ワードローブのデニムは一式リーバイス®。メンズや古着もはき、自身でリメイクすることも。
(Gap新宿フラッグス店・赤井真琴さん)販売員歴約11年。豊富な経験や知識量を生かし、ひとりひとりのニーズに合うアイテムを日々提案。最適なアイテムに導くスペシャリストの証しでもある「Gapエキスパート」の資格を保持。
【1】形やサイズを履き比べるときのポイント
「まず後ろ姿をチェック。ラインの美しさとポケットの位置確認」
お尻のボリュームや生地の余り方、肉感など、意外と前からより後ろから見たときのシルエットが気になるデニム。選ぶときは「ウエストではなくヒップを基準にする」のがおすすめ。ウエストで合わせて小さいサイズのデニムをはくと、お尻の丸みがぺたっとつぶされて、後ろ姿があまりキレイに見えないことも」(塚田さん)
シルエットやはく頻度でも変わる「ジャストなサイズ」
ゆるめで探していても、ワイドより太めテーパードのほうが体型的にしっくりきたり、ストレッチが強いものはなじむのを見越して少しきつめにしたり。比べてわかることも多いため、「2スタイル・2サイズ」は試してほしいところ。
「INしてOUT・OUTしてIN。ウエストまわりのもたつきをチェック」
・ハイウエストの場合はとくに、腰まわりがぴったりしていたほうがデニムはキレイ。とはいえ痛かったり苦しいものでは本末転倒。タックINして着ることが多いと思うので、まずはINした状態のときに心地よく思うフィット感で見定めを。(樋口さん)
・ジャストサイズで選びすぎると、トップスによっては中に入れた際に下腹が出ているようにふくらみが強調され、スタイルが悪く見えることも。出したときはだらしなくならず、入れたときには自然に隙間が埋まるくらいのゆとりが理想的。(勝冶さん)
【2】「デニムを穿いた後に」プロたちがやること
「店内を歩いてみる」
・個室の鏡だけでは全体像がつかみにくいので、店内の大きな鏡から少し距離をとってみてください。実際の身長より背が高く見えたら似合っている証拠。(勝冶さん)
・自然光など、光を変えて風合いを確かめる方も多いです。ウォッシュ加減や、思ったよりブルーが深い・浅い、肌との相性など、微妙な色の違いに気づけます。(赤井さん)
・よく動く日にはくことも多いデニム。店内を歩いてフィット感や着心地を再度確かめたり、髪をおろしていたら束ねた雰囲気も見るといいかもしれません。(塚田さん)
着てきたアウターをはおってみる
・実はあなどれない、アウターとの相性。トップスとデニムのワンツーで着たときはキレイでも、コートをはおると膨張してしまったり、脚が短く見えてしまったりと、すそからのぞくデニムのシルエットに違和感を感じるケースも。とくにワイドはロング丈とのバランスが難しいため、手持ちのはおりから逆算して考えてみても。(田中さん)
・デニムはオールシーズン活躍するアイテムだから、先の服だけでなくリアルタイムの装いになじむかも重要に。自分がそのときに身につけてきたアイテムと合わせるのは、季節感を図るのに有効なテクニックです。(塚田さん)
ヒールをはいて・フラットも試す
・靴をはき比べることでわかるベストな丈バランス。出番の多いデニムかどうかは靴次第。黒スキニーなら、すそにあまりの出ないやや短めがベター。テーパードはロールアップしたときのバランスなども検討を。(塚田さん)
・リーバイス®では試着室に3種類ほど靴のバリエーションを用意。基本的にパンプス、フラットシューズ、ブーツはそろえているので、実際にはき比べができます。(勝冶さん)
写真を撮ってみる
客観視して最終判断! いろいろ試すうちにだんだんわからなくなってくるのを防ぐため、はいた様子は一度写真に収めて最後にジャッジ。ECサイトの着用画像やはいているスタッフの着こなしもぜひ参考に。(塚田さん)
「はく・しゃがむ・かがむ→座ったときもノンストレスかどうか」
「立っているときはちょうどよくても座るとウエストが苦しい、ということはよくあります。その場でしゃがんでみたり、試着室に置いてある椅子で座ったときの着心地を確かめておくと安心。日常ではかがむ動作も多いため、試しておくと安心」(勝冶さん)
「お直しの仕上がりにも影響!」
すそ上げの長さを決める前にも、必ず何回かしゃがんだり歩いたりして脚になじませるようにしてください。デニムははいていくうちにだんだん上がり、丈が若干短くなります。それを考慮したうえで調整すると、こんなはずでは!となるのも防げます」(田中さん)
【3】ショップスタッフ発「知っておきたいデニムのあれこれ」
首でサイズが分かる?
サイズ展開が多くて迷ったときははき口を首にまわし、端と端がちょうど届く長さで選んでみて。ウエストの横幅と首まわりの長さはほぼ同じなので、大体のサイズがわかる裏ワザです」(赤井さん)
同じものでも微妙に異なる色みとフィット感
デニムにも個体差があります。とくにウォッシュ加工の入ったものは色落ちぐあいがそれぞれ異なるので、2~3本はき比べるのがオススメ。フィット感もわずかに変わる場合があるのでチェックしてみて。(勝冶さん)
ボタンフライとジップで変わること
ボタンフライは強度が高く、とにかく丈夫です。はき込んでいくと色落ちしてフロントボタンのあたりが出るので、デニムならではの無骨さや経年変化を楽しめる点も魅力。一方ジップは開閉のしやすさが抜群。買ったばかりのかたいデニムでもストレスなく着脱可能です。またウエストまわりのおさまりがキレイなので、より上品な印象に。(勝冶さん)
Levi’s® TAILOR SHOPでは古着でもお直しの相談可能
原宿 フラッグシップストア、新宿店、大阪店、福岡天神店に併設のテーラーショップでは、デニムのカスタマイズやリペアが可能。ポケット位置の微妙な調整や、テーパードやフレアにするなど、シルエットを変えることもできます。リーバイス®製品であれば古着も持ち込みOK。(勝冶さん)
欲しい・なりたいイメージは先に共有しましょう!
具体的な型番やこうはきたいという希望があれば、最初に伝えてもらえるとスムーズ。同じ商品でも着る人によって見た目は変わるため、イメージをもとに理想に近づくものを提案します。(勝冶さん)
どこに着ていくかも重要に
実際に着用するシチュエーションも、しぼり込む目安の1つに。股上が深すぎず、脚をまっすぐキレイに見せてくれるこの黒は、仕事用として探されている方からの支持率が高いです。(赤井さん)
【4】デニム好き人気スタイリスト・樋口かほりさんに聞く「白デニムの選び方」
白デニムは色と厚みもチェックする
理想は「少しくすんだ透けない白。白と合わせても差のつく色みだと、緊張感なくはけて合わせやすい。厚みがしっかりとあるゆるい形のほうが、肉感が目立たず結果スタイルもよく。(樋口さん)
真っ白じゃないからむしろいい
「グレーの糸を使用した、影のある白だから浮いて見える心配もなし。カラーリングも絶妙な1本です」(樋口さん) 白デニムパンツ 11,880円/MOUSSY(バロックジャパンリミテッド)
【5】樋口さん直伝! 「ウエストが合わない」の解決策
ももに合わせるとウエストがやや大きい、やせてしまってサイズが合わなくなってきたなど。ゆるくてもそれを生かしたアレンジが楽しめるのは、デニムならではの魅力。(樋口さん)
【6】選びを完璧にする「さらにやるといいこと」
いつものリップを塗ってみる
実際にはいたシーンを想像しやすく。手持ちにない形を買うときや、風合いで悩んだときは、ふだんのリップをつけてみるのもアリ。テイストや着る際のイメージがつかみやすくなります。(塚田さん)
アクセやバッグもつけてみる
・シーズンレスに加えてシーンレスに。トップスをわざわざ変えずとも、バッグを変えるだけで簡単に似合うテイストの雰囲気をつかむことができます。着まわせるかどうかの判断基準にも。(塚田さん)
・迷ったときは、いつもの雰囲気を再現してみては。小物をプラスしてみて、買ったあとのことや、着ていきたいシーンをより深くイメージ。(赤井さん)
・淡いブルーデニムだと黒の大きいバッグは少し重たく見えたりなど、バッグとデニムの距離はけっこう近い。意外と着たときのバランスを左右するポイントに。(勝冶さん)
(失敗しない選び方とは?)
≫【全19選をすべて見る】スタイル重視のスタイリストが買った「スタイル良く見える服」選び方・着回し方