自身の私服にも通ずる「着心地も見た目も疲れない」シンプルなスタイリングで人気のスタイリスト・樋口かほりさん。そんな彼女が今季注目する服、そしてシンプルでもオシャレに見えるスタイリングのテクニックを総取材。
(CONTENTS)
①注目は「黒以外のレザー」
②黒は長く使えるスカート一択
③樋口さんのショッピングリスト
(スタイリスト・樋口かほりさん)
GISELeスタイリスト。大人に似合うカジュアルをモットーに、リアリティのあるアイテム選びの提案と肩の力を抜いて着られる、シンプルカジュアルなスタイリングは毎号多くの反響が。
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注目は「黒以外のレザー」
「レザーは黒以外に、白やブラウンにも注目。レザーはカジュアルではなく、コンサバ寄りのキレイめシンプルな服で、柔らかく着心地のいい質感を選ぶのがマストです」(樋口さん)
「トーンを合わせて」白に挑戦
3つの質感でメリハリをつけてALL白の緊張感をセーブ
「一見派手に感じる白のレザーも、ワントーンでまとめて「色を埋もれさせる」とぐっと身近な存在に。真っ白ではない色みやゆるい形で、レザー自体も脱力感があるほうが、さらにとり入れやすくなるはず。シャツやウールなど素材を変えると、白一色でもコンサバになりすぎない」(樋口さん)
スエットパンツのような、ゴムウエスト&裏起毛のラクなはき心地がポイント。ゆるやかなカーブシルエットだから、ロングコートやビッグシャツを重ねてもすっきり。
「効かせる場所」を変える
「メイクがナチュラルな人はとくに、顔まわりに強い素材が入ることで計算されたバランスに。たとえばカジュアルダウンするイメージが強いキャップも、締めるものとして役割が変化」(樋口さん)
ヌーディな配色に必要な重みをレザーキャップで小さくカバー
ベージュ系の穏やかな配色は、レザーの帽子でキレを出すことで、顔の印象までぼやけずに済む。つばが長すぎないことで個性を緩和でき、キレイめな服にもなじみやすい。
上質なレザーカチューシャ
〈上〉黒レザーカチューシャ 6,050円、〈下〉ブラウンレザーカチューシャ 8,250円/ともにIRIS47(フーブス) きめ細かいツヤを放つ上質なエコレザー。
レザーと好相性なゴールド
ボルドーレザーヘアアクセ(2つセット) 23,100円/フミエタナカ(ドール) ゴールドの装飾をあしらった、主役をはるデザイン。
アジのある質感のベレー帽
ブラウンレザーベレー帽 7,920円/OVERRIDE(OVERRIDE 神宮前) 頭にフィットしやすい、しなやかな風合い。
キレイに着るなら「1つより2つ」
コート&スカートのダブルレザーでクラシックな装いのまま脱無難に
「コンサバな素材でもあるから、キレイめにまとめるほど少々古臭く見える場合も。2つ合わせて「強く着る」ほうが、ほどよくクセが出て今っぽく仕上がる。トレンチコートやフレアスカートなど、「形はベーシック」を貫くことで、力みなくシンプルな印象をキープ」(樋口さん)
ロングコートなどボリューミィなレザーアイテムは、ベージュやブラウンのやさしい色を選びインパクトを軽減。レザーのフレアスカートを合わせてもエッジが効きすぎないのは、どちらも落ち感のあるソフトな風合いだから。
「古着みたいな」ブラウンレザーの服
王道な装いに深みをもたらす「ダンディなブルゾン」
「黒よりもやわらかく見えるブラウンで、レザーらしくレトロに着るのもやっぱりかわいい。ただ合わせるボトムはハイウエスト一択。コンパクトにまとめてなつかしい雰囲気に寄せるほうが、小難しくならずシンプルにまとまります」(樋口さん)
レザーのシボ感や所々にあしらわれたダメージ加工が、年季の入ったような味をかもし出すレザーブルゾン。味わい深いディテールが、白T+デニムにムードを宿す。肩パットをいれて丸みを出したショルダーラインで今年らしい雰囲気に。
甘さを気にせず使える「暗めのブラウン」
ブラウンレザージャケット 176,000円/オナール(ウィム ガゼット ルミネ新宿店) 黒に近いダークブラウン。薄くて軽量のためカーデ感覚でさらりと羽織れる。
緊張しすぎない「曲線フォルム」
ブラウンレザーパンツ 26,400円/HER. 気負いがちなレザーでパンツも曲線を描いた形なら手にとりやすく。カーヴィーなシルエットで丸みができ、レザーパンツをマイルドな印象へ。
前後2WAYで使える「ヴィンテージライクなベスト」
ブラウンレザーベスト 17,600円/PROVOKE(ジャック・オブ・オール・トレーズ プレスルーム) 経年劣化が起きたような質感で、シンプルなトップスにムードをもたらす。キャメルのような色みで、甘口な表情もキープ。
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黒レザーは長く使えるスカート一択
「ベーシックな黒レザーは奇をてらわずに、着方の迷いをなくすコンサバな服をチョイス。着心地は柔らかい質感を選ぶのがマストです」(樋口さん)
トップスやアウターの厚みを削ぐ「レザーのロングスカート」
レザーは強さのある素材だから、女性らしいシルエットを選ぶのが基本。コンパクトな形は引き締め役としても使いやすく、レザーのツヤ感は、ほっこりしがちなニットを着る際のバランサーとしても重宝」(樋口さん)
マットな素材のIラインスカートで、ケーブルニットのほっこり感をカット。ウエストはコンパクト、ヒップまわりは少し余白のある形なら、脚にぴたっとはりつきにくい。
「主役にしない」レザーのミニ
「ミニというだけで挑戦的なアイテムですが、レザーになるとむしろ「大人のミニ」に変わる印象。ビッグスエットなど直球でカジュアルなトップスには、デニムより緊張感が加えられてむしろ好都合な場合も多い。すそからのぞかせる程度で「主役にならないバランス」が甘く転ばせないコツです」(樋口さん)
Iラインスカートの延長ではける、直線的なライン。ほどよく伸縮性があるため、コンパクトなのに窮屈感なし。ライトカラーのスエットを合わせて、気だるさと清潔感を同時に保って。
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樋口さんのショッピングリスト
樋口さんが今シーズン買ったのは、秋から冬だけでなく、シーズンを問わずに活躍するシンプルな服。「買い」につながった理由やその選び方とは?
ビッグというより「ワイド」なジャケット
ワイドジャケット 242,000円/ジア スタジオ(ザ・ウォール ショールーム) 「目新しさはシルエットで演出。ジャケットもビッグサイズが主流ですが、今シーズンはさらにサイズアップしたデザインも豊富。細身のワンピやボトムに羽織れば、ジャケットとのシルエットの対比によって華奢見え効果も。 たとえばデニム+ニットの定番スタイルも、そんなシルエットのジャケットを重ねるだけで今っぽく。えりとポケットが、裏地と同一の光沢生地というのもさりげないアクセント」(樋口さん)
大ぶりなゴールドアクセのかわりに
赤イヤリング 5,250円/アビステ 「黒タートルなど、ベーシックな服にゴールドのアクセサリーは鉄板。ぽってりとした赤のイヤリングで、レトロな服をよりレトロに飾るのが、ハズさない気分転換に」(樋口さん)
細部までこだわって作られた完璧な1本
ワイドパンツ 38,500円/チノ(モールド) 「股上が深めで動きやすい。だけどルーズに見えず自然と腰位置も上がって見えて、脚線もキレイに見えるハイウエスト。辛口な雰囲気が漂って、合わせるトップスがシンプルでも高感度な仕上がりに」(スタイリスト・樋口かほりさん)
ジュエリーがわりのサテン素材
ピンクサテンキャップ 15,400円/IRIS47(フーブス) 「奥ゆかしい輝きのサテン素材。いつもならキャップは、メイクはナチュラルで耳にピアスをつけるバランスが好きなのですが、これはジュエリーレスでかぶりたい」(樋口さん)
小さくても存在感のあるキューブ型
ボックスハンドバッグ 77,000円/メゾンヴァジック(トゥモローランド) マグネット式で、本物の箱のようにパタパタと開閉していく過程も楽しいバッグ。服がボリューミィなときは、小ぶりなバッグを持つのが今っぽさのあるバランスだと思います。(樋口さん)
カッコよくも可愛くもなる「アンティークな赤」
赤ニットカーディガン 47,300円/コルコバード(フィルム) 「ブラウス感覚で使える、パフスリーブの赤ニット。ふんわりとした質感で発色の強さを軽減できるから、ブルーより黒のデニムでぴりっと着たい」(樋口さん)
1年中まとえるレザー
「6(ロク)のレザーベストと、同素材のヘアバンド。やわらかな羊革でごわつきがないので、夏もタンクトップのように着ていました。秋からはニットとのレイヤードを楽しんでいます」(樋口さん)