寒い今を乗り切りつつ、春からもオシャレの軸になる、新しいスタンダードアイテムの選び方。シンプルで着回せるだけじゃない。「着るときの高揚感が得られる」メリットがある、着るたびに愛着が増すワードローブを人気スタイリスト・樋口かほりさんがピックアップ。
【担当スタイリスト・樋口かほりさん】

この記事のスタイリングを担当。ベーシックなアイテムを軸としながら、女性らしい小ワザを効かせたスタイリングが大人気。忙しく動きまわる日々をオシャレに過ごせる、リアリティのあるアイテム選びに定評。

「発想を変えて」アップデート
いつも通りの落ち着くバランスで終わらせず「目線を変えた考え方」でスタイリングの手数を拡大。手持ちのアイテムの範囲内でテクニックを磨き、新たな組み合わせを見出して。
コートを「ドレスのような扱いで」

防寒ではない新たな目的でまとうコート
いつもはスタイリングを支える脇役としての出番が多いコートを主役として抜擢。フロントの隙間からキャッチーなハートのタイツをのぞかせれば、ほぼ1枚でも十分高い満足感。
ニットの中も「ニット」

もたつきにくいハイゲージなのをいいことに
地厚なカットソーのような役まわり
ニットのインナーにカットソーやシャツを仕込むテクニックを応用。ニットならではのほどよい厚みによって、レイヤードにさらなる奥行きが誕生。編み地や色に差をつけて膨張見えを防ぐのが、成功のコツ。
「アウターどうしのレイヤード」

羽織りとして活躍していたブルゾンを
今度は中に仕込み新たなトップスとして活用
前を閉めればコンパクトにも装えるため、新たなトップスを買わずして、コート姿をリフレッシュ。スポーティさもおさえられ、軽快なブルゾンがどことなくモードなルックスに。保温性が高く、寒さが厳しい真冬にこそオススメ。
「厚みを気にせずタックIN」

肉厚なスエットをINして得られる立体感が
新たなバランスを生むきっかけに
わざわざタックINすることで、ハリのあるスエットの丸みが強調。着映えにつながるだけでなく、メリハリがついてスタイルまでよく見える相乗効果を発揮。この時季多い肉厚なニットにも有効なテクニック。
「強い色どうしを3色づかい」

抜けを作らない選択肢もたまにはアリ。
強気な3色でまとめてシンプル以上へ
まっさらな白とブレない黒。そこに鮮やかな赤を加えた、全部が主張する強い色。それでも調和が図れるのは、ベーシックなアイテムだけで構成されているから。
ハンパな丈バランスで完結

ワンピよりは少し短いニットの丈で
ロング&リーンの気になる重さを解消
すらりとしたシルエットを演出できる、「上は長い・下は細い」組み合わせ。重厚感が気になる今の時季は、ボトムを隠しすぎない丈にとどめたほうが見た目がすっきり。素材で落ち感はキープ。
コンサバな服ほどラクに

どう転ばせてもブレない好感度で
上下ルーズでもキレイなまま
気楽な上下でまとめても、それだけで締まった印象に見えるから。サイズでハズして色とアイテムは守る。気楽に過ごしたい日にこそ最良の手段。
さし色ならぬ「さし質感」

ちら見せさせたスカートの黒レザーで
ニュートラルなグレーにわずかなキレを
少量でも雰囲気が変わるレザーによって、あいまいだったトーンのメリハリが強化。ミニで重心もあがり、スタイルもよく。
「服の上から」バングルを

そでで隠れがちな今に向く
「ニットの上から飾るジュエリー」のアクセント
夏はさっぱりとしがちな手元にボリュームをもたらす役割だったバングルも冬は重量感を引き算する役目をはたしてくれる。特に厚手のニットのときは、起毛感によるほっこり見えを防ぐ働きもあり。
「メンズっぽい服で」女っぽく

ブルゾンとの対比できわ立つデコルテと配色の女らしさ
スポーティやボーイッシュというイメージが強いブルゾンに素肌を効かせたギャップが、むしろセンシュアルな一面を引き立ててくれる結果に。意外なアウターで白×ベージュのエレガントな配色のカジュアルダウンも図れる、うれしい相互作用も発揮。
インナーのすそは「あえて出す」

首とそで。さらにすそにも動きを出した立体感が
メリハリづくりに有効
スタイルアップが優先となると、すっきり見えるようINしがちだったトップスのすそ。あえて出すことで奥行きが生まれて、締めるときと同等の抑揚が誕生。
黒のかわりに「ネイビー軸」

黒同等の品格を持ちながら
よりやさしく繊細に変われるネイビーの持ち味
「なんにでも合う」安心感がゆえ、つい手にとりがちな黒をいったんお休み。かわりに似た性質を持つネイビーを加えることで、きちんと感はそのまま、カドがとれて印象がマイルドに。ジャケット+スラックスの装いにも女性らしいニュアンスが得られる。