シーズンのはじまりとともに、スタイリストの心を動かした旬のトピックスを深掘り調査。A/Wコレクションの最新事情からリアルクローズにいたるまで、日々多くの服にふれるプロならではの視点が参考に。
【STYLIST MEMBERS】
(渡邊恵子さん) 大人のリラックススタイルを格上げする、上質な素材選びや配色へのこだわりに多くの支持が集まる。 (樋口かほりさん)普遍的なカジュアルベーシックを軸に、着方や組み合わせで洒落感を生むワザに業界内にもファン多数。 (岩田槙子さん)コンサバとモードをMIXした装いが人気。白黒企画を多く担当する一方で、今季は渋色が気になるようす。
(高木千智さん)古着やメンズ服をうまくとり入れた、辛口スタイルが得意。自身で立ち上げたブランドにも注目が集まる。 (出口奈津子さん)着まわし企画も多く担当し、鮮度と実用性を兼ねそなえたアイテム選びは必見。私服はリラックス感を重視。 (塚田綾子さん)カジュアルな装いに、小物やアクセサリーづかいで遊びを効かせる提案に定評アリ。久しぶりにヘアを伸ばし中。 (船戸唯さん)好感度の高いシンプルスタイルに、都会的なエッジを効かせるコーディネート。
なぜ惹かれる? トレンドは服より着方
「とり入れたい」 気になる着方のテクニック
コレクション取材を進める中で、スタイリストが気になった着方のテクニックにフォーカス。「マネできそう」を前提条件にしたヒントを用いて、いつものスタイルをレベルアップ。
PRADA
「ハンパな丈こそ肌をのぞかせる」

今季旬のふくらはぎ丈のスカートをスタイルアップさせるために、手首や足首を中心にざっくりと肌見せ。必然的にやぼったく見えないバランスに(岩田さん)
VALENTINO
「強気な質感とともに派手な甘さ」

首元の大きなリボンや何段にも重なったフリルなど。わかりやすく甘いディテールを、分厚いタフな質感で辛口に仕上げる点にときめきました(樋口さん)
Stella McCartney
「むしろモードなあり余るボリューム感」

強気なレザースカートに負けない迫力の大ぶりな編み地のニット。首をすっぽりおおう、風格あるフォルムで、あたたかなニットがモードに転換(樋口さん)
AURALEE
「カジュアル以上の柄×柄」

ボーダー×チノの王道カジュアルに、ストライプで奥行きを生む着方が印象的。レイヤードの適当感も、柄どうしがごちゃつかないポイントになりそう(渡邉さん)
Max Mara
「しなやかなコートをメリハリづける幅太ベルト」

ロング&リーンなグレージュコートの上をぎゅっと引き締める、幅太のレザーベルト。あいまいなトーンがぼやけて見えるのを回避できます(岩田さん)
AURALEE
「トラッドなカーデに抜けを生むボタンの開閉」

コンパクトなニットカーデの、いちばん上と下だけボタンを開けて抜け感づくり。マイルドなイエロー×ベージュにシャープなキレが生まれます(出口さん)
FENDI
「ジャケットをゆるめるシアーインナー」

かっちりとしたジャストサイズのジャケットに、シアーインナーが抜け感に。こっくりとしたブラウンワントーンにリズムが生まれていいことづくし(岩田さん)
Stella McCartney
「ジャケットを足してマネしたいロゴTの遊び」

ジャケットの出番が増えるこれからの季節、ロゴを仕込んで大人の遊びを効かせたい。レトロな英字やイラストなど、古着屋にありそうなロゴがねらい目(樋口さん)
MSGM
「まじめなセットを着崩すウエストレイヤード」

端正なグレーのセットアップに、腰からトランクスをのぞかせて今っぽく。中央のブランドロゴも、ハンサムなセットアップを退屈させない飾り気に(岩田さん)
Max Mara
肌色の延長で「ヌーディにニットONニット」

表情をやわらかく見せるヌーディカラー。体をしなやかに見せるニットでとり入れ、次なるセンシュアルへ。女っぽい表情を引き出すしっとりとしたグレージュのリブニット。肌の隙が全くないのにフェミニンに転じる印象的なLOOKです(高木さん)
AURALEE
「ルーズ×ルーズに首元をつめるひと手間」

だぼっとしたニットとワイドパンツ。インナーにハリのあるシャツを仕込んでネックはタイトに閉じる着方が、ルーズどうしでも洒落て見える理由(渡邉さん)
MM6 Maison Margiela
「気だるげなニットにムードを生む白シャツ」

ずるっとしたニットカーデのVラインを強調するように仕込んだ白シャツ。ネックラインに抑揚がつき、ルーズなのにだらしなく見えない(船戸さん)
「シンプルなコーディネートが上手くなる」実例集
服は変われど「上手な着方」は不変なもの。手持ちの服で出来る、またこれからの服選びに。ここでご紹介する「うまくいく着方にあてはめて探す」という選択肢をご用意。
カラーニットは「白を重ねて肌感を減らす」

「秋冬のデニムスタイルの1つに加えたいのが、濃紺のデニムパンツにロンTや靴下を挟み、肌を見せずにキレイめに仕上げること。派手色ニットもロンTを1枚中に入れて、白を効かせるだけで着やすく。肌が見える部分を少量の白で覆うのがポイント。
コンパクトな黒にゆったりとしたキレイ色を重ねる

たっぷりと余ったスリーブをまくって、そでにも配色を意識。ミニマルな黒ニットとやさしいケーブル編みのイエローニットのレイヤードであったかさもおしゃれもキープ。
「端正な白シャツ」とゆるめのニット

同色のレイヤードにも緩急がつく。ニットのシルエットを締める、シャツならではの清潔感とハンサムなたたずまい。テンションが真逆なぶん、ニットは白となじみのいい色選びが最適。同系色は柔らかい素材&パリッとした素材など異なる質感でメリハリを効かせて。
品よく仕上がる「ブラウン+ベージュ配色」

ベーシックカラーどうしでシンプルだけど上品、かつ華のある。そんな装いのキーカラーは「ブラウン・ベージュ」。コンパクトな白をつなぎ役に起用した3色でコーディネートすれば、ゆったりとした服どうしの組み合わせもルーズではなくエレガント。外側を一番濃い色にすることで、全体が引き締まるから、まろやかなカラーリングがぼやけない。
スエット以外はきちんと

カジュアルなトップスは、それ以外、パンツやヘアスタイルも含めてはタイトを意識。無骨なフーディに対し、ショルダーバッグやパンプスと合わせる小物はすべてキレイめを選ぶことで、都会的に。
ビッグサイズはカドのある正統派が前提

インナーとボトムをすべて黒でつなぐことで、ジャケットのボリューム感が際立ち、モードな雰囲気が加速。注目したいのは、シャープなVネックの開きと、足元のポインテッドトゥ。上半身と足先に「直線」を意識させることで、全体のシルエットが膨張せず、縦のラインを強調。
トップスの色と耳元アクセの「色をそろえて」飾る

トップスの色とリンクさせればデコラティブなピアスも、目立ちすぎずに目をひく、理想的なバランスに。ネックレスやリング、ピアスに華奢なゴールドをリンクさせたのも、まとまりよく見せるさりげないテクニック。
タイムレスでミニマルなものだけ

ベースとなるスタイリングは、白シャツやストレートデニムなど、スタンダードなアイテムで構成。ムダをそぎ落とすことで、組み合わせを計算せずとも高い好感度に。
デニムは「メンズ」を1本持つ

まっすぐでクセのないメンズのデニムのウエストをキュッとベルトで絞って穿く。メンズサイズだから自然と股上に余裕もでき、「これみよがしなハイウエスト」にならない。どんな服にも合わせやすい濃紺だから、カラーボーダー&シューズの合わせもバランスよく着地。
正統派な服に1点「分厚い短め丈のゆるニット」

シャツ・デニム・パンプス。背筋の伸びる正統派アイテムを合わせつつ、それとは真逆のリラックスシルエットを1枚かぶせる。力みやゆる「すぎ」という組み合わせのアンバランスを解消し、心地よくキレイという理想のスタイルが完成。
似た色で「テイストは逆に」

ベージュのようなピンクのスウェットを上からかぶせて、ドレッシーなワンピを日常化。揺れ感のある素材で動きをつければワントーンにもメリハリがついて、スエットもリッチなムードに。
ゆったりではなく「縦に落ちる素材」を活用する

ルーズ=オーバーサイズとは限らない。薄手のニットやサテンなど、くたっと縦落ちする素材を合わせれば「力みなくキレイ」な印象に。すべてやわらかい素材だから、キレイめな服だけでまとめても堅苦しく見えない。
コートを「ドレスのような扱いで」

防寒ではない新たな目的でまとうコート。いつもはスタイリングを支える脇役としての出番が多いコートを主役として抜擢。フロントの隙間からキャッチーなハートのタイツをのぞかせれば、ほぼ1枚でも十分高い満足感。
太めのベルトでウエストを締めてワンピース風に仕立てる

フロントのボタンをとめて、その上にレザーベルトを巻く。腰から下がほのかに広がり、ドレスのような表情にシフト。エレガントな雰囲気を引き立てるために足元はロングブーツをセット。Dをモチーフにしたゴールドバックルがアクセントになり、ワントーンにメリハリがつく。
白ニット+デニムに高発色のコート

クリーンな白と合わせたデニムの王道シンプル。着方によっては手抜き感も出てしまう組み合わせに欲しいのは、都会的に引き上げるアクセント。そこで起用したいのが鮮やかなピンクのカラーコート。着慣れたニットとデニムに鮮度と高揚感を。
「帽子×大ぶりなピアス」で視線を上に

帽子とピアスのコンビネーションで視線を上に誘導し、重心UP。〈右〉ヴィンテージライクなキャップと、正統派なジャケットでテイストMIX。〈左〉ぬくもりをもたらすファーの帽子は、ハンサムなスタンドカラーに親近感を与える。
キャップとAラインシルエット

顔回りも小さくまとめることでフレアボトムが引き立つ。首も足首にも隙のない黒ワントーンを、ストイックに見せないポイントとなるのがキャップ。装いに立体感を生むアコーディオンプリーツは、ワントーンやシンプルな上下の合わせにもうってつけ。
マスタードのような「濃いベージュ+ゴールド」

ニットのぬくもりに好相性なアクセサリーの輝き。マスタードに近いベージュのモヘアニットに似た、ゴールドを合わせてワントーンのようにバランスよく。
黒タイツ&黒パンプスでショートブーツ風

ショートブーツとパンツの丈のバランスに悩んだときに。「黒タイツとパンプス」でなじませれば、ショートブーツのような安定感を維持しつつ、密着したタイツによって脚線もすっきり。半端丈のパンツやワイドパンツをロールアップして合わせるのもおすすめ。
コート中の手数の1つに

ミニボトムも今シーズンHIT中の新たな主役ボトム。ゆったりとしたトップスや長いコートにも好相性で、黒をはじめとしたダークカラーでまとめるのがおすすめ。長いコートを羽織ったり、タイツ&シューズの合わせで真冬仕様に。
思いきりのいいデニムミニでボーイッシュに

キャップでさらにカジュアルダウン。デニムジャケットの中に仕込んだのは、張り合いを得られるコンパクトなケーブルニットカーディガン。胸元にたずさえたラルフローレンの伝統的なアイコンパッチで上質なトラッド感を意識。
「スキニーでなくともブーツIN」

ポイントは太めのパンツとブーツで生まれる凹凸感。しなやかなワイドなら直線的なブーツの形をくずすことなくINが可能。脚線をごまかした上で、期待以上のほっそり感が手に入る。