プロのヘアメイクに学ぶ「凝らない一つ結び」【4選】髪をまとめるときに知っておきたい服とヘアの簡単バランス

ウェットかドライか、タイトかボリューミィか。髪の毛の質感やニュアンスはコーディネートに大きく作用する。とはいえ「いつもの髪型」に落ち着き、ヘアの自由度を生かせずにいることも。派手へと転ばないシンプルな「ひとつ結び」にしぼり、プロのヘアメイクからヘアアレンジのヒントを聞き込み。

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【MEMBERS】
・塩沢延之さん:mod’s hair所属。海外コレクションをはじめ、GISELeの表紙のヘア&メイクも毎号手がける。
・笹本恭平さん:ilumini所属。ほどよい抜けと品をそなえたメイクが得意。
・木部明美さん:PEACE MONKEY所属。コスメ監修のほか、ヘアアクセサリーの作製まで幅広く活躍。
・スガタクマさん:カラーコスメとツヤ感を巧みに使ってナチュラルに見せるアイメイクが人気。

PART-1
プロの視点でプレイバック「うまくいくまとめ髪」


服との相性、メイクとのバランスなど。アレンジをするうえでヘアメイクが気にするポイントとは? 自身が手がけた実例を参考に「ヘアが整うコツ」をご紹介。

塩沢延之さん(@shiozawanobuyuki)
「小物やメイクの役割を髪にも求める」


サングラスをかける」「アイラインを引く」というように、最後にもう1つインパクトのある要素をヘアで足す。一方で服の印象を強めるために髪の毛の存在を「あえて消す」ことも。

1.『シェルブールの雨傘』のカトリーヌ・ドヌーヴをイメージ。無造作に高めにまとめたポニーテールにクラシカルな深緑のヘアアクセをつけ、50年代感を演出しました。単調な装いだからこそ遊べます。


2.アイラインを引くと強すぎる、けれど目元はもう少し強く見せたい。そんなときは高めの位置で束ねることで、眉が引っぱられ直線的に見えることを利用。またカジュアルな装いにはゴムをわざとゆるめに結んでルーズな毛流れにすると好相性。


3.シンプルなモノトーンに赤リップ。このリップをメインにするため、ほかの要素をなくす意味で髪をタイトにまとめました。ヘアにニュアンスがあるとエレガントに見えてしまい、必要以上に存在感が出てしまうので、主張したい部分があるときはなるべくすっきりさせるのが秘訣。

木部明美さん@kibeburu
「重要なのは首元と足元のバランス」


肩まわりに重みのある服か? 足元はスニーカーか?この2点でアップスタイルにするか判断。顔まわりがもたつかない、かつヘアだけが異なるテイストにならないよう意識。

1.キャッチーなTシャツに合わせて、耳より高めの位置にポニーテールを。ゴムを2本使って強めに結び、ゴムの上に立ち上がった毛で若々しさをアピール。縛り切れなかった髪と前髪はわざと遊ばせて小顔効果を発揮。


2.ゆる巻きにしたのはニットのざっくりとした質感に合わせたから。ここでストレートにするとシャープになりすぎるのでやさしげなニットの雰囲気を助長するためにボリューミィに。おでこに残った前髪で顔まわりに動きをつけるのも忘れずに。少量にすれば悪目立ちしません。


3.無地の上下のもの足りなさを補えるスカーフを、ラフにひとつ結びをしたゴムの上に結んでいます。このときスカーフの結び目は内側にして隠すのがポイント。髪の後ろからスカーフがたれるのでこなれた雰囲気に仕上がります。

笹本恭平さん@kyoheisasamoto
「ヘアがトップス、洋服がボトム」


色やシルエットなど、服のトータルイメージをボトムと仮定し、トップスを合わせるようにヘアやメイクを「引き算」として足す。服がカジュアルなら髪はコンサバにという要領で相反するものをMIX。

1.肌感のあるトップスはともすれば下品に傾いてしまうので注意が必要です。おでこ周辺の産毛を引き出し幼げな印象を加え、ふんわりとしたポニーテールで肌を隠すように肩に広げることで色っぽさをおさえて。


2.ビタミンカラーのパーカだったので幼く見えないように意識しました。センターパートでマニッシュさをプラスし、天然パーマのようなゆるいまとめ髪にすることで大人なムードに誘導。清潔感を出すため、毛先のオイルは必須です。


3.縦のラインが強調されている装いはまとめ髪で重心を上に持ってくるとバランスよく整います。加えて、センスよく見せるためにマストなのがフェイスラインのおくれ毛。ただし、出すのは片側だけにとどめて。両サイドにおろすとやぼったく見えてしまいます。

スガタクマさん@sugatakuma
「服の持つエッセンスの延長線でヘアを計算」


装いのテイストにマッチさせることからスタート。その後、「すぎないバランス」に調整するため、質感、結ぶ位置、おくれ毛を利用し、髪の毛のニュアンスで足し引きを計算。

1.スエットのトップスに合わせて、カジュアルな高めのひとつ結び。ただ、この組み合わせがおウチスタイルにならないように、わざとおでこにかかるよう前髪を2、3本出しています。これが乱れた髪に見えることを防ぐため、意思を持たせるようにワックスとオイルでツヤを出すのがカギ。


2.パンツのフォルムやシューズの紳士っぽさからひもとき、マスキュリンなローテールに。とはいえ、上半身の洋服が甘めなので、多めにとったおくれ毛にカールを加え、かわいらしさを意識しました。服の異なるテイストの掛け合わせを髪でも表現しています。


3.デザインの効いたコートをきわ立たせるため細身の髪型に。きっちりとタイトにまとめ、目につく前髪をリーゼントっぽく。コートのデザイン同様、遊び心を効かせました。