普通のニットでなぜ可愛い? 人気スタイリストに聞いた「コーディネートが可愛くなる」ニット


GISELeスタイリストたちが「欲しいニット・買ったニット」を調査。日々多くの服にふれている彼女たちが、その中でも「コレがいい」と選別したものは? 選んだ理由やこだわりのポイントなどを深掘り。


【渡邊恵子さん】

上品な中にも親しみやすさのある絶妙なさじ加減と、実用性もふまえた提案に支持が集まる。自身のスタイリングはメンズ服をバランスよくとり入れたカジュアルが鉄板。

「起毛感のないハイゲージやドライな質感のカジュアルなニットが好き。1着でいろいろな表情を楽しみたいので、インナーとして白のロンTやシャツなどを合わせるのが定番。


印象の異なる白インナーを15着ほどそろえ、肌あたりのカバーも兼ねています。挑戦的なものをとり入れるよりは、好きな色や風合いはゆずらずにその中でバリエーションを楽しみたい」(渡邊さん)


真新しさは求めずに・手持ちのニットを微差で更新

ピッチの太さと配色にひとめボレ

タートルニット 22,000円/TSURU By MARIKO OIKAWA 「大好きな黒×ベージュに惹かれて、つい手にとったアイテム。コントラストがきつすぎず着やすい」(渡邉さん)




「季節を逆行する夏っぽい小物と、コートがわりのボリューミィなストールをMIX」


ブラックデニムパンツ 35,200円/ANATOMICA(アナトミカ 東京) 黒サングラス 48,400円/プロポ(プロポデザイン) ベージュストール 165,000円/ヘリル(にしのや) 黒ローファー 17,930円/A de Vivre かごバッグ/スタイリスト私物


樋口かほりさん

ベーシックなアイテムを軸としながら、女性らしい小ワザを効かせたスタイリングが大人気。忙しく動きまわる日々をオシャレに過ごせるアイテム選びが秀逸で、私服も注目の的。

「女っぽさのあるスタイリングにしたいとき、直接的な女性らしいデザインを選ぶよりは、メンズやユニセックスのニットで“引き立てる”ほうがむしろ女っぽい。


メンズアイテムはすそがきゅっと締まったデザインが多く、自然とメリハリが出せるのもよく着る理由のひとつ。そのぶん、小物はわかりやすく女性らしい華奢なアイテムでバランスをとります」(樋口さん)


直接的な女っぽさより「女っぽく見える」もの

体の泳ぐメンズニット

ポロニット(メンズ) 12,900円/Gap 「柄もサイズも振り切ったマニッシュさだけど、ボタンを開けてデコルテ見せが可能。ルーズさと緊張感のバランスがとりやすい」(樋口さん)




「大きめニットと華奢な小物の対照的なバランスが、女性らしさを引き寄せるポイント」


アイボリーショートパンツ 17,600円/SEA(エスストア) ベージュバッグ 55,000円/MIUUR(ショールーム セッション) ミュール 17,380円/SeaRoomlynn


岩田槙子さん

女らしさとモード感をMIXしたキレイめスタイルに定評あり。数多くのモノトーン企画を担当してきた一方で、自身はヴィンテージライクな柄物をとり入れたスタイリングも大好き。

「全体のシルエットや首元に着目して選ぶことが多いけど、特定のテイストにしぼって見定めていないため、キレイめのVネックもあれば、ルーズな色物も好きで、幅広く着ているほうかもしれません。


着方のバリエーションを持たせようとせず、お気に入りのポイントを見つけたら、その特長を生かした着方をずっと楽しむ派。最近はぽってりした丸い形に目が行きます」(岩田さん)


正統派から個性派までをざっくり編みで網羅

派手じゃないカラフル

マルチカラーニット 83,600円/LES TRICOTS D’O(THIRD MAGAZINE) 「1色1色は目立つ色が使われているけど、混ざり合うことで中和されて逆に使いやすい」(岩田さん)




「ニットのやわらかなグラデーションを生かし、全アイテムをマイルドカラーでまとめたい」


白ウールパンツ 39,600円/ロンハーマン ベージュバッグ 118,800円/NUMERO10(ジャーナル スタンダード ラックス 表参道店) ベージュブーツ 41,800円/TSURU By MARIKO OIKAWA




塚田綾子さん

大人でも使いやすい遊び心ある小物を生かした、キャッチーなコーディネートが得意。夏からの“チョーカー”ブームは継続中で、ニットの首元にも添えたいそう。

「ショッピング中もあまり悩むことがなく、直感を頼りに選んでいます。首まわりまでおおうデザインのほうが、華奢な体型をカバーしてくれることもあり、ネックラインは自然とつまったものが多めに。デザイン性の高いアイテムに惹かれるものの、気分が変わりやすいため、フリマなどを活用しながら服を循環。ワードローブは気分のものだけで満たされています」(塚田さん)




秋冬はマイルドカラーに注目

アクセ感覚で重ねて

ビスチェ 25,300円/THIRD MAGAZINE 「アクセサリーやバッグなどの小物好きなので、アクセ的に着られるビスチェは私服でもよく着るアイテム。厚手のリブなのでニットだけど体型をひろいにくいのもうれしい」(塚田さん)




ベージュジャケット 31,900円、スカート 17,930円/ともにSeaRoomlynn ソックス 759円/チュチュアンナ バッグ 36,450円/ケンブリッジ サッチェル(エスピービー) ローファー 37,400円/G.H.BASS(G.H.BASS TOKYO)




「アウターを着ても脱いでも」かわいい服

日常的に着ているおなじみのアイテムと、これからのメインとなるアイテムを組み合わせた、コートの季節までをつなぐスタイリングを披露。新顔の投入や着方の新しさ、プロたちの鮮度の上げ方に注目。




メンズ派もトライできるタイトスカート

「私物はメンズライクなシルエットのほうが多いですが、新投入したのは“UNFILO”とのコラボでつくったシャツとスカートのセットアップ。シャツはオーバーサイズのまま、スカートだけタイトにシフト。ニットなので締めつけ感がなく、足さばきも軽快です」(スタイリスト・渡邉恵子さん)


デニムジャケット 16,500円/リーバイス®(リーバイ・ストラウス ジャパン) 白シャツ&シルバーラメIラインスカートセット 16,990円/UNFILO ネイビーボアバッグ 15,400円/TSURU By MARIKO OIKAWA 白スエードスニーカー 7,150円/VANS(VANS JAPANカスタマーサポート) デニムジャケットは前を閉めて着ることで、シャツのように洗練された印象へ。




「赤を主役にレディなムード」

「ピンクよりも甘さがおさえられ、レディライクに仕上げてくれる赤。カジュアルな無地スウェットを赤にするだけで、いつものデニムスタイルにも特別感が。ネイビーのデニムやヒール靴など、やりすぎ感はないけど女性らしさのあるアイテムで、雰囲気を統一」(スタイリスト・樋口かほりさん)


赤ワイドスウェット 22,000円/SOFT GOODS(メイデン・カンパニー) フレアデニムパンツ 24,200円/SEA(エスストア) ブラウンバッグ 75,900円/マエストソ(ルージュ・ヴィフ ラクレ ルミネ有楽町店) ブラウンソックス 990円/靴下屋(タビオ) ブラウンミュール 6,590円/ZARA(ザラ カスタマーサービス) 同色のソックスを合わせ、ミュールをブーツのようにはくことで、途切れがなくなり脚長に。




過ごしやすいサーマルをよそ行き顔に

「センシュアルな要素も持ち合わせる深Vネックのサーマルを、シルエットが上品なイージーパンツにIN。ウエストのロゴも手伝って、リラックスムードを保ちながらキレイめに昇華。カジュアルに徹していたサーマルを新しい表情で楽しみたいです」(スタイリスト・岩田槙子さん)


アイボリーサーマル 16,500円/カオス(カオス表参道) カーキパンツ 27,500円/PROTAGONISTA(アマン) ブラウンサングラス 39,600円/プロポ(プロポデザイン) ブラウンバッグ 44,000円/オソイ 黒シューズ 23,100円/ル タロン グリーズ(ル タロン グリーズ ルミネ新宿店) 軽めな素材の上下に対し、足元はボリュームのある黒のムートンクロッグで、スタイリングに適度な重みを。




小物を生かすベーシック

「服はとことんベーシックに、小物で遊ぶのがマイ定番。ゴールドやシルバーのアクセサリーも好きですが、最近とくに気になっているのがチョーカー。淡いブルーのレザーにガラス製のリボンが目を引くかわいさ。ふわふわなソックスをはいて季節感をプラス」(スタイリスト・塚田綾子さん)


シャツ 18,700円/スピック&スパン(スピック&スパン ルミネ有楽町店) パンツ 21,780円/Oblada(シンチ) パールつきカチューシャ 39,600円/ジェニファー ベア(ロンハーマン) ブルーリボンチョーカー(別注) 24,200円/レヴェンス(RHC ロンハーマン) ソックス 2,420円/GLORIA CORDES(フレームワーク ルミネ新宿店) ナイロンバッグ 31,900円/ROH SEOUL シューズ 18,700円/オデット エ オディール(オデット エ オディール 新宿店)




ジャケットをトップス風にアレンジ

「いつもロンTやニットを選んでいたジャケットのインナーを、カップつきのキャミソールに更新。ボタンを閉め、トップスのように着方をアレンジすることで、ヘルシーな肌見せができます。キャンバスバッグでまじめなセットアップも親しみやすい雰囲気に」(スタイリスト・船戸唯さん)


ネイビージャケット 18,700円、ネイビーパンツ 14,300円/ともにアンヌーク インナー 3,850円/Ungrid 眼鏡 39,600円/ワンスリー コンバウンド フレーム(デュアル) バッグ 24,200円/THE SHINZONE、ボルドーローファー 53,900円/GENTIQUE for Shinzone(ともにShinzone ルミネ新宿店) そでをまくり、下のボタンは開けて、ほどよく着くずすのがトップス見えのポイント。黒よりもやさしいボルドーのローファーが、ネイビーのワントーンに奥行きをもたらす。




色遊びはジャンプスーツの中で

「色をとり入れたスタイリングが好きなので、カラーハイネックはインナーとして多用。普段はスエットなど、カジュアルにまとめがちですが、最近は洗練されたオールインワンも気分。ブルートーンを合わせたスニーカーで、らしさは保ちつつもキレイめにシフト」(スタイリスト玉木歩乃花さん)


オールインワン 39,600円/ルージュ・ヴィフ(ルージュ・ヴィフ ラクレ ルミネ有楽町店) シアーニット 17,600円/カリテ(カリテ スケープ コレド日本橋店) 眼鏡 26,840円/レイバン(ルックスオティカジャパン カスタマーサービス) ボストンバッグ 68,200円/メゾン カナウ(ヤマニ) スニーカー 18,700円/ASICS(アシックスジャパン株式会社 お客様相談室) 首元に鮮やかな色をまとうぶん、トラッドな雰囲気の眼鏡をかけて、顔まわりに落ち着きをプラス。




それどこの? 「バッグの中でも本当に使える」週4バッグ

日々、多くの服や小物に触れるGISELeスタイリストたちの審美眼にかなったものは? 自分的ルールに基づいた選びのポイントや愛用の理由を聞き込み。




【スタイリスト・渡邉恵子さん】

フィッシングバッグ 63,800円(編集部調べ)/ブレディ バニティバッグ 17,380円/メイ トゥエルブ

【SELECT RULE】
□「兼用できるサイズ・見た目」 □「長く愛せるプライスレスなもの」


「バッグには、使えるシーンや役割を2つ以上持つオールマイティさを重視。オフィスにもプライベートにも兼用できるバッグをずっと探していました。Bradyのフィッシングバッグ「ARIEL TROUT」は、レトロな見た目で、メンズっぽいものを女性が持っているというギャップもまた可愛い!


メイ トゥエルブのバニティバッグはリースに行ったときにひとめボレして購入。浅いデニムとキャメルのレザーの色合いがまさに直球。メイク道具入れ兼ミニバッグとして使っています。」(渡邉さん)




スタイリスト・樋口かほりさん

SELECT RULE】
□何にでも合う黒か白 □メインもサブも担うトートを併用


「バッグは、どんな服にも合う「黒か白」の少数精鋭。どんなスタイルにもどちらかが必ずハマるのでよく似たフォルムで2色をそろえることも。ミニマルなデザインで、ビーサンを合わせたラフな服にもきちんと感が出て振り幅が広い。仕事の日は、いろいろな古着や雑貨屋さんで調達して集めたトートと併用して使っていて、コーディネートルームからのちょっとくらいの外出なら、目的に合わせてどちらかだけを持って出かけたりしています」(樋口さん)


吉田カバンとのコラボレーションにより生まれた名作、通称「青山バッグ」はコムデギャルソンの青山店でしか購入できないアイテム。職人がひとつずつ丁寧に生産するため、量産品にはない独特の味わいがでてくる名作。




【スタイリスト・岩田槙子さん】

(左)54,800円 (右)60,830円(ともに編集部調べ)/ヘリュー

【SELECT RULE】
□「好きなブランドを毎シーズン」 □「見た目で映えるデザイン性」


「愛してやまないHEREUは、ほかにない革のやわらかさや、絶妙なカラーが刺さって毎シーズン2〜3個ずつ追加しています。右のMoltaは、結び目のある持ち手と形の美しさが気に入り購入。


左のSiniaは、久しぶりにななめがけの気分だったのでトラッドにもカジュアルにも振れるデザインと、ちょっとした小物などを入れる内ポケットのある機能面に惹かれました。黒ベースの私のワードローブに相性がよくて出番が多い2つです」(岩田さん)




【スタイリスト・塚田綾子さん】

【SELECT RULE】
□「コンパクトに持てるミニ志向」 □「ファスナーなし、あっても閉めない」

「基本的には小さめ、かつファスナーがないものが好き。ふだんは、リップとお財布、カードくらいしか持ち歩かないのでLASTFRAMEのようなものにポイポイ詰めて持ち歩いています。毎年、配色が変わるマルチカラーなのが集めたくなる理由。伸縮性があるので、エコバッグとしても使っています。


VASICのバッグは、肩にかけたときに脇にぴったりおさまり、PCを入れても下に重心がいかず使い勝手がいいので仕事の日に重宝しています」(スタイリスト・塚田綾子さん)




【スタイリスト・船戸唯さん】

スエードトートバッグ 129,468円(編集部調べ)/エスター エクミ

【SELECT RULE】
□「主張しない究極のシンプル」 □「コンパクトにななめがけができるもの」

初対面の方と会う機会も多いため、持っているブランドで第一印象が左右されてしまうのを避けたく、ロゴや特徴的なデザインのない、極限まで要素をそいだものを選ぶのがルール。


この「エスター エクミ」のトートはリースに行くときは動作が大きくなるので、両手があいて、かつコンパクトに体にフィットする、ギリギリななめがけできるストラップの短さにほれました。胸の下あたりにおさまるバランス感も絶妙。使い込んだスエードの風合いにもなんとも言えない愛着がわきます。




【スタイリスト・出口奈津子さん】

【SELECT RULE】
□「とことん使い込んで味を出す」 □「肩こりしない小さめ&軽め」


「職業柄、重い荷物を持つことが多いのでバッグはミニでライトなものを愛用しています。シンプルなのにふつうじゃない見た目が好きで、ずっと偏愛しているAeta。このミニボストンは使い込むうちにシボ感がどんどん濃くなり、くたっとしてきました。


手帳と財布を入れてちょうどぴったりになるサイズ感で、プライベートな日にも出番多め。ミニマムだからいつものカジュアルな服にも浮かずにラフなスタイルの洗練度を高めてくれます」(スタイリスト・出口奈津子さん)




スウェット好きが買った「ニットのような」キレイなスウェット

「ニットよりスエット派」というスタイリスト・船戸 唯さんの視点で選ばれた名品をリストアップ。スウェットらしくない、厚みをおさえた生地感。ロンT感覚で合わせられてニットよりも軽い。そんないいとこどりのスウェットを船戸さんがリコメンド。


【スタイリスト・船戸唯さん
カジュアルなのに品よく、キレイめなのに親しみやすい、絶妙なさじ加減のコーディネートで支持を集める。




ロンT以上スエット未満

各25,300円/TICCA 「薄手かつ、すそがリブ加工されていないためシルエットに厚みが出ず、重ね着に適しています」(船戸さん) 「表面にはウールの糸を用い、裏面はやわらかなコットンなので、あたたかく着心地も抜群。素材の縮率差を利用したシワの凹凸感が絶妙な風合いです」(TICCAプレス・土屋百合子さん)




ON/OFF問わずブラウスのように

16,500円/MANOF 「フレアなすそと、ふくらんだそでで上品な印象に。甘め派やブラウス派の人にオススメ」(船戸さん) 「吸水速乾機能つきのポリエステル素材で、さらっとした見た目と肌ざわり。ウエストにきかせたタックデザインが、ボディラインをカバーしてくれます。」(プレス・松本英理さん)




肩を落として着るのにも適したデザイン

16,500円/オニット(ヤギ) 「片方または両肩を下げオフショルにしたり、タンクをのぞかせたり、アレンジを楽しめます」(船戸さん) 「メンズトップスから着想を得たサイジング。コットン素材を切りっぱなし風に仕上げたルーズな雰囲気と、デコルテが見えるすっきりとしたネックが好バランス」(onit・プレス担当)





えり元の開き具合で印象操作が可能

22,000円/エトレトウキョウ 「隠しボタンのため、ボタンによって幼く見えてしまう心配がないのがうれしい」(船戸さん) 「えりつきのデザインで、きちんと見えをかなえてくれる一着。何度も着用検討を重ね修正した、こだわりのコンパクトシルエットもポイントです。」(プレス・雨宮咲子さん)





生地の質で選ぶフーディ

28,600円/グラフペーパー(グラフペーパー 東京) 「ストリート感の強いフーディこそ、洗練されて見える素材が決め手に」(船戸さん) 「サイズ展開が豊富なユニセックス。なめらかな手ざわりや、適度なふくらみとハリ感にこだわり調整を重ねました。度つめで型くずれもしにくいです。」(プレス・土屋 文さん)




ブラウンのようなバーガンディ

42,900円/ATON(ATON AOYAMA) 「もっちりとした着心地のいい生地。ブラウンに近い色味なので、どんな色の服にも合わせやすい」(船戸さん) 「ハナミズキで染めたバーガンディ。独自の染色技術により色落ちしにくいです。高密度に編み上げているため、生地の耐久性が強く、縮みまで防ぐ秀逸な一品」(ATON・プレス担当)