ワードローブに欠かせない身近な2色“白と黒”。安定感のある組み合わせだけど、淡白さゆえ、ともすれば地味なだけ、キレイなだけにもなりかねない。
そこで、GISELeスタイリストの中でも、とくに多くの白黒企画を手がける岩田さんにインタビュー。これまでのスタイリングをふり返りながら、こだわりのポイントや着方のテクニックを教えてもらいました。
(スタイリスト・岩田槙子さん) 女らしさとモード感をMIXしたキレイめスタイルに定評あり。数多くのモノトーン企画を担当してきた一方で、自身はヴィンテージライクな柄物をとり入れたスタイリングも大好き。
1.「上品であることが大鉄則」
「品があることは絶対にゆずれないし、スタイルもよく見せたい。そのために意識しているのは、見ていて心地のいい“流れ”です。白と黒は正反対な色なので、組み合わせたときに分断されて見えがち。そうならないための選びを心がけています」(岩田さん)
「白へとつなぐサイドスリット」

「この黒トップスは、サイドにスリットが入っているおかげで、フレアスカートとすんなりなじむ。実はシューズもタンの部分が白なので、スカートと色をリンクさせたことで別々の3点にまとまりが生まれ、統一感が増す結果に」(岩田さん)
「甲までかぶるスラックス」

「長め丈のパンツは、それだけで縦に流れのいいシルエットになるので重宝しています。足の甲までかぶる丈感なら、サンダルの肌感が収まり、リラックス感が悪目立ちしない役割も担ってくれる」(岩田さん)
「黒をちりばめて白を着る」

ヘアターバンやショルダーバッグを使って上半身にも黒を散らすことで、白トップスと黒パンツという上下の途切れを感じさせないようにしています。肩かけしたバッグのショルダーは、視線を縦に流す効果もあり。
2.「お気に入りの黒小物の数々」
スタイリングの調整役として、使い勝手のいい黒小物。なかでもコーディネートへのメリットが多くなる、「こうすればよかった」黒小物の使い方や組み合わせ方をき込み。
「Iラインを強めるサスペンダー」

「サスペンダーも縦の流れをつくれるうえ、トラッドなアイテムはどう転んでも品が出るので便利。黒は白よりも重みがあるぶん、このような白をベースにしたスタイリングには、黒を小さくとり入れるバランスが気分です」(岩田さん)
「締めて流すレースアップブーツ」

「レースアップブーツがずっと好き。つま先から足首に向かって視線が上に向いていく感じが気に入っていて、このスタイリングは、ブーツ→ベルト→シアーTシャツに仕込んだインナーへと、全体を小さな黒でつないでいます」(岩田さん)
「ロングブーツで2つの顔」

「ロングブーツも好みで、私自身がワイドパンツをよくはくため、ルックのようにすそのIN・OUTで違ったスタイリングを楽しんでいます。INスタイルは難しい印象があるかもしれませんが、黒どうしならまとまりがよく、足元に奥行きが生まれます」(岩田さん)
3.「偏愛なるVネック&かわいいもの」
「もう1つ欠かせないのが、Vネック。開けてキレよく素肌を出したり、インナーを合わせて詰めたりできる柔軟さがモノトーンと相性がいい。甘いデザインのアイテムも、気恥ずかしさなくまとえる黒白だからチャレンジでき、オシャレの幅が広げられる点も魅力」(岩田さん)
「上品な肌見せがかなうVネック」

潔く肌を見せてワイドフォルムの黒を軽量化。ふわりと揺れる質感に対して、Vネックからキレよく肌を見せることで、リラックスしたムードをよそいき顔に好転。
「白が落ち着くシャープな黒V」

インナーの白を見せることで、白と黒のコントラストが穏やかになる統一感のある見た目に。首元にもキレのいい白が加わることで、ぶかっとしたパンツもまとまりやすい。
「えりを足してももたつかない」

いつものクルーネックだと、ときには窮屈に見える場合も。中の黒をVネックにすることで、えりつきの羽織りを足してもすっきりとした見た目を維持できる。
「開襟でALL黒を軽快に」

「ALL黒を軽くするため広めに開襟。このスタイリングは質感にもこだわっていて、光沢や起毛素材をレイヤードすることで、黒1色の中に抑揚をつけました」(岩田さん)
「レイヤードの仕上げはリボン」

合わせたトップスも少しシアーな質感で差を明確に。おおえるビスチェのおかげで透ける素材のインナー問題も解決。
「なつかしげな小花のクロシェ」

ざっくりとしたフラワーモチーフのクロシェニットもモノトーンに落とし込み。黒のスラックスでシャープに引き締めれば、かわいい柄も大人っぽいバランスに着地。
「アクセサリーを好きなだけ」

ヘアや手元に散りばめた、いっぱいのアクセサリーも許容してくれる黒の懐の広さ。同時に、ヴィンテージ調の小物にも引けをとらない強さをまとえるのも黒の魅力。
NEWS!
【限定販売中!】「欠点のない」白黒Tシャツ
上質な綿100%の日本製。白はいっそう透けにくく、黒はこれまで以上に存在感高く。どこにでもありそうでどこにもない。シンプルな装いに差がつくこだわりがつまった無地の白黒Tシャツ。「Tシャツを着る日」にちょっとだけ自信が持てる1枚、ぜひお試しを。
4.オシャレ見えするモノトーン「スタイリングの種明かし」
夏のモノトーンをよりカッコよく仕上げるために。それぞれのスタイリングを担当したスタイリストによる解説を参考に、スタンダードな組み合わせのリフレッシュを図って。
【STYLIST MEMBERS】
渡邊恵子さん/USブランドにも造詣が深く、レイヤードに適したインナーも多数所持。 樋口かほりさん/表紙も担当するおなじみGISELeの看板スタイリスト。 出口奈津子さん/リラクシーでカジュアルなスタイルに、好感度が漂う提案が得意。 船戸唯さん/ベーシックを軸に、辛口ムードが残るコーディネートに定評アリ。
「サイズ感」で気張らずスタイルアップ
黒にはより引き締め力を

メンズライクな装いが好みですが、スタイルアップも常に意識。ミニマルな黒タンクをパンツの締め役として」(渡邊さん)
白には着やすいゆるさを

Tシャツは余裕のあるサイズで、プリントがボディラインのカバーにも貢献。ラフなアイテムだけでも、黒はタイト、白はゆったりのバランスにすることで、おのずとヘルシーな色気が生まれ、カジュアル以上に仕上がります。(渡邉さん)
想像とは違う組み合わせで脱無難
スタイルUPもカバーもできる組み合わせ

「コンパクトな黒のトップスに、ルーズなシルエットのハイウエストパンツ。トップスをINして余ったウエストをベルトでキュッと絞る。それだけでスタイルUPも脚線カバーもできて、バランスのいい仕上がりに。ベルトは教科書どおりにきちんと巻かず、フランクに巻くと抜けが出て力みのないモノトーンに」(樋口さん)
定番からずれてみる

「ボリューミィなトップスは、細身ボトムを合わせがちですが、フレアパンツにすることでありきたりを回避。白黒ならMIXスタイルもちぐはぐに見えません」(樋口さん)
自然な素肌見せで抜け感を出す
きちんと着るのに抜けがある

「服に白と黒の2色しかないぶん、素肌感がいっそう生きてくる。Aはシャツもパンツもアレンジを加えずきちんと着ているため、足元は対照的に素肌がのぞくパンプスで軽やかに」(船戸さん)
シンプルなままメリハリが誕生

「Bのようにそぎ落とされたIラインや、Cのさらりと着ただけのトップスは、そでをまくることでスタイリングに動きが出て、“着せられている”感がなくなります」(船戸さん)
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「+αの色と素材」でお堅い2色を印象操作
アクセント未満な+淡色

「変化をつけるときも、白黒のクリーンな印象は維持したい。AのベージュジャケットやBのネックからのぞかせたブルーグレーのTシャツは、主張しすぎず、白と黒のコントラストに落ち着きをもたらします」(出口さん)
+ラフな素材で息抜き

「Cのようにキレイめな足元のカジュアルダウンには、何にでもとけ込めるデニムが優秀。Dのような夏らしいバッグも、モノトーンならほっこりせずに楽しめます」(出口さん)
5.スタイリスト的「服とヘアメイク論」
ベストなスタイリングを届けるべく、撮影現場ではヘアメイクにも鋭い感性を発揮する樋口さん。モノトーンに合わせたい、スタイリスト目線のヘアメイクとは?
スリーピースを特別にしない無造作ヘア

「正統派な服を日常で着るときは、ノーメイク、ノーアクセくらいが好み。服からメイクまで全部を完璧にせず、どこか余裕を残しているほうが、ちょうどいい洒落感につながると思います」(樋口さん)
カジュアルな日こそメイクの力を借りる

「基本的にはラフなヘアメイクが気分ですが、たとえばボーダーのTシャツであれば、きりっとしたアイブロウや、リップに色みを足すのもかわいい。服とのトータルバランスで考えています」(樋口さん)
それだけで洒落る。合わせを選ばない「白ネイル」

「ネイルも白にすることで、モノトーンの服を大人っぽく保てる。加えて、ナチュラルなメイクにもしっかりめのメイクにも似合う。ヘアメイクとの相性の良し悪しがない、幅の広さが魅力的」(樋口さん)
6.「Tシャツでオシャレな人」がやっていること
シンプルなのに洗練された雰囲気をかもすファッショニスタを観察。数百点のルックの中からスタイリストの目にとまったスタイリングにヒントを拝借。
ワンツーなのに気品が漂う

「アイテムのサイズ選びが魅力的なスタイリング。コンパクトなTシャツと、ほどよくゆとりのあるスラックスを合わせたシルエットが巧み。タイトなヘアも効いて、アイテム数が少ない中でも高い完成度を感じます」(船戸さん)
サングラスでさし色が新鮮

「赤みがかったサングラスが、モノトーンの美配色を維持しながらも、さりげないアクセントになっています。よく見るとバッグも深緑で、レザーパンツの強さがマイルドに。深みのある色ならさし色もトライしやすい」(出口さん)
メンズサイズの余白でコンパクトな白Tに動きを

「とりあえず着るだけでも今っぽいビッグシルエット。体が泳ぎ、余白部分がなびいて服に動きが出るため、色が単調でも退屈さがない。おへそ出しや黒の小物で締まりどころはつくっているのがポイント」(樋口さん)
涼しい季節にALL黒のインパクト

「黒だけなのに重苦しさがない、肌見せ加減が絶妙です。このトップスはネックがかなりつまっていて、そでも長めの五分丈なので、Tシャツよりも均整のとれたルックスに。品もさわやかさもそなえられています」(渡邉さん)
ロゴでレースをカジュアルダウン

「ロゴTにレーススカートを合わせることで、白の中でも素材とテイストに差がつき、ぼやけを回避。スエードブーツや、腕だけを通したジャケットの着方が、ロマンティックなスカートをカジュアルにしてくれています」(出口さん)
7.クールにふるまえる「アスレジャーなモノトーン」
端正、知的、聡明。どう転んでも好感度が得られる白黒配色に、スポーティな要素をとり入れてみると?季節に見合った軽快さや、モードにも転べるシャープさが加わって、幾度となく着ている2色の活性化に成功!
見た目も穿き心地もクールなショートパンツ

悪天候にも強い、ゴアテックス素材を採用した軽やかなショートパンツ。上はトラッドなチルデンニットなのに“優等生”になりすぎないのは、合わせたボトムがしゃかしゃかとしたアクティブなショートパンツだから。真逆のテンションを掛け合わせることで、まじめなモノトーンに個性をもたらす強さを加算。
長時間ふれても心地いい「サーマル素材のワンピース」

ストレスフリーで快適な着心地を約束する、ゆったりシルエットのサーマルワンピース。シワにもなりにくい、密度がつまったドライタッチな生地の凹凸。すその両サイドにあしらった深めのスリットでキレのよさも確保。とくに緊張感のある白のアイテムをちりばめることで、ラクなだけでは終わらない、洗練されたよそ行き顔へとさまがわり。
硬派に穿ける「しゃり感のある黒」

足元で印象を変えやすいミモレ丈のナイロンスカート。ひざ上の切り替え位置に配したジップを開けると、メッシュのインナーが登場。レイヤード風の、よりデザイン性の高い装いを楽しむことが可能に。表生地は、GORE-TEX仕様のハリのあるマットなポリエステル生地を採用。
よりシンプル重視「ボタンがないレギュラーカラー」

上までしっかりとめてもえりつきの白シャツがフランクに仕上がる、ハーフジップの効能。生地段階で柔軟加工をほどこしたソフトなコットンツイル生地は、素肌にふれたときも心地よく幸福感を味わえる。背面にはアクティブシーンに助かるサングラスホルダーつき。