ファッションアイテムとして欠かせなくなったスニーカーは、その選択肢もいっそう豊かに。街のSNAPからスタイリストならではの選びの視点まで。買い物のヒントになりそうなスニーカー事情を総まとめ。
1.
世界各地の「スニーカーでオシャレな人」
まずはスニーカースタイルの今を知るべく、街行くファッショニスタの足元をチェック。スポーティなハイテクスニーカーでデニムをよりカジュアルに仕上げたり、上品なジャケットのハズしとしてひかえめなローテクをなじませたり。直感的に惹かれる見た目、着たい服から逆算するなど、選びのポイントはいろいろありそう。
黒1色に適度なゆるみを

ローファー代わりに黒レザーのスニーカーを投入。白のラインが入るスニーカーだから、オールブラックにも重すぎずそれとなく抜けを演出できる。
「まじめすぎ」を防ぐなら

シャツ+スラックスを簡単にカジュアルダウンさせられるのもスニーカーならでは。シャツのボタンを開けて着くずすことで、お互いになじみよくまとまる。
より力を抜きたいときの「もう一歩」

この装いにローファーやブーツだとややトゥーマッチ。こっくりとしたブラウンのスニーカーでコーディネートのテンションをくずさず、レトロスタイルを今っぽくアップデート。
「リッチなアウターにラフな足元」の好バランス

インパクトのあるコートがメインなら、足元はスニーカーでさらっと流すのがバランス上手の常とう手段。ボリューミィな白1色を間のびさせず、適度に締める色あせたブラウンをセレクト。
テクニック不要でメンズライク

足元に悩むことの多いやんちゃなワンツーとちぐはぐしないのもスニーカーの強み。色あせたワイドデニムには、すそが自然にワンクッションするランニングシューズのすぎないボリュームが好都合。
彩度低めの配色には「足元にいちばん濃い色」

グレー+白などの無彩色なカラーリングでは、足元にいちばん濃い色みを合わせると、ぼやけず全体のバランスが締まって見える。ロープロファイルのすっきりとしたフォルムで、濃色+スエードの重みを軽減。
スニーカーも合わせてワイドに

モードストリートな雰囲気に負けない、存在感のあるダッドスニーカー。ソールの厚さに加え、横にもせり出したシルエットが、全部ずるっとさせたコーディネートの統一感をさらに後押し。
コンパクトにまとめて「視線を上に」

潔く脚を出すときは、陰をひそめるように要素をしぼった足元に。すると、自然と目線が上に誘導され足が長く見える算段。腰から下がさっぱりしているぶん、トップスはレザーを選んでバランス調整。
2.
動きまわる職業・スタイリストならではの「気になるスニーカー」
動き回る仕事ゆえに、スニーカーの稼働率が高いGISELeのスタイリストたちに、最近の足元事情を取材。変わらず好きな形、今したい合わせ方など、プロの視点が失敗しない選びのカギに。
ワイドパンツに「Vans」が好都合
スタイリスト・樋口かほりさんが信頼を置くのは「Vans」。この時季ならではの柄や質感にも注目。

足元はシャープにまとめるのが大人っぽくて好き。シンプルなワイドボトムが多い今、そのラインをくずさない華奢さが合わせやすいです。秋冬らしいカーキのスエード素材はアクセントにもなり、シックで上品に仕上がる。(スタイリスト・樋口さん)
「サイズもデザインのひとつ」ととらえて選ぶ
スタイリスト・塚田綾子さんは、サイズの見極めにこだわりあり。

私は身長が高くなく、足も小さめ。ジャストサイズだと全身のバランスが悪く見える気がして、あえて1cm大きいサイズをはいています。靴ひもを締めれば安定して歩ける、スニーカーだからこそできる選び方。(スタイリスト・塚田さん)
「冬服に合わせたい」カラフル
スタイリスト・出口奈津子さんが、今号の撮影に向けてリースしていたのは、明るい色が目を引く3足。

冬服は色みが暗く、ボリュームもあるため重たい印象になりがち。さし色としてカラースニーカーを投入することで、手軽にトーンアップが図れます。薄底のレトロな雰囲気だと、派手さが悪目立ちせず使いやすい。(スタイリスト・出口さん)
黒にもブラウンにもなじむ2種類の赤

ヴィーガンレザーを使用したローテクスニーカー。冬の装いになじみつつしっかりと主張してくれる、差し色に向く沈みすぎないバーガンディ。タンとヒール部分に使用したメリハリのつく朱赤がポイント。
白+ロイヤルブルーの「知的な派手色」

スエードとナイロンを配した異素材MIXアッパー。カラーに強さがあるぶん、ソールの薄いドライビングフォルムですっきりと。
目の覚めるヴィヴィッドピンク

黒や赤と同様に引き締め力の高い、鮮やかなホットピンク。曲線を描く2本の白ラインがあるおかげで、服で色を拾いやすく、スニーカー自体もポップになりすぎない。
3.
スニーカーショップスタッフの「リアルバイ」
数多くのアイテムにふれている、スニーカーショップのスタッフ。そんな目の肥えたプロが自分のために選んだ、確かな1足を拝見。
ヒール代わりの厚底ソール


今季購入したのは、「MIZUNO」と「Herringbone Footwear」のコラボレーションモデル「MONOTONE CINEMA」。ソールはボリューミィですがシャープさもあり、ヒールをはくような感覚でとり入れています。MY定番の黒ジャケットは、ミニボトムにシアータイツを重ねてレディに寄せたい気分。スニーカーが装いのちょうどいい抜け感に。(Herringbone Footwear Press/Shop staff・Hiyoriさん)
4.
愛用歴20年以上の編集長が履いて「進化を実感した名作」

不朽の名作として愛され続けるコンバースの定番モデル「ALL STAR」が約25年ぶりにリニューアル。なじみのあるミニマルなシルエットはそのままに、はき心地が向上。「コンバース愛用歴は20年以上」と語る、編集長Kがその魅力について語ります。 (スニーカーは本人私物です)
1.歩きやすさが段違い

「今回のアップデートによりとくに違いを一番感じたのは足を入れたときの感覚の変化。新たなラスト(型)を採用したことで甲まわりにわずかにゆとりができ、ぱっと見の大きな変更はないものの、フィット感が強まりました。」
「これまで、ALL STARはジャストよりも1サイズ上げてはくというのが割とALL STAR好きの間では定説とされていたのですが、その必要はなし。そしてかかと部分に少しだけ高さが出るよう、傾斜をつけた新しいアウトソール。ラバーの屈曲性も強化されたため、歩いたりしゃがんだりの動作がしやすく、これまで以上にノンストレスで快適にはけるように。」
2.クッション性が進化「より疲れにくく」

「傾斜をつけたアウトソールのヒール部分には、通気性とクッション性をアップさせるウレタンフォームを内蔵。インソールも同じくウレタンフォームの素材へと変更され、厚みはひかえめながら足へのダメージをおさえて長時間歩いても疲れにくい設計にチェンジ。」
3.まっ白から「落ち着いた白」へカラーチェンジ

「今回のリニューアルで、つま先やサイドのラバー部分と付属のシューレースが真っ白からほんの少しだけ落ち着いたトーンにシフト。それによりややヴィンテージライクな風格が。服との相性がよくなったと感じました。」
「清潔感は保ちつつ、より落ち着いた雰囲気に寄せられるので、黒のジャケットなど少しキレイめな恰好にもなじみやすく、チノパンなどカジュアルな恰好をしたときにも大人っぽい印象に見えて、個人的にはうれしかったポイントです。」