「ニットを着るその前に」
買ったばかりの形や風合いを保つためには、日々のメンテナンスケアが重要課題。着る前に知っておきたい基本的な知識から自宅でできるお手入れ方法まで。洗濯&ニットのプロに徹底取材!
(TOPICS)
【1】選ぶ前におさえる「ニットの種類とその特徴」
【2】洗う前におさらいしたい洗濯表記
【3】ニットを長持ちさせるため「着る前にできること」
【1】覚えておきたい「ニットの種類とその特徴」
ひと口に「ニット」といっても、使われている原料によってそのお手入れ方法はさまざま。まずはよく目にする5種類の繊維をピックアップし、特徴と注意点をおさらい。
ウール
羊毛が原料のウールは、その保温性の高さからニットをはじめコートやマフラーにも多く使われる。一方で起毛しているぶん、毛玉ができやすいというデメリットも。着用時の摩擦に気をつけながら、こまめなブラッシングが効果的。
カシミヤ
保温性に加えて、なめらかな光沢感と、形くずれしにくい伸縮性が魅力。ただし、天然繊維であることから、虫食いが発生するリスクも。クローゼットに入れる前に保管環境を清潔に整えることが重要。
モヘア
モヘア特有のやわらかな長い毛を楽しめるものの、毛が抜けて、服につきやすいデメリットも。また、自宅で洗濯をすると、繊維どうしが絡まりあい、素材ならではのふわふわ感が失われてしまうリスクが。
アルパカ
繊維の強度が高く、長く着用できる丈夫な生地。ただ、ホームケアだと縮みやすいので、手洗いのほうが安心。ドライな風合いで乾燥しやすいため、柔軟剤を使用してうるおいを補給し、静電気を防止。
アクリル・ポリエステル
天然繊維に比べて風合いは劣るものの、シワになりにくいうえに軽量。ウールと同等の保温性があるアクリルや、化学繊維ならではの衣類の立体感や速乾性にすぐれたポリエステルが代表的。
【2】洗う前におさらいしたい洗濯表記
おウチでケアをする際は、まず手持ちのニットの洗濯表示をチェックすることからスタート。これさえ覚えておけば間違いない4つをリストアップ。
「乾燥機使用不可」
タンブル乾燥NGのマーク。タンブル乾燥とは、家庭用のドラム式乾燥機のように衣類を回転させながら温風をあてる方法。基本的にニットは形くずれ防止のために自然乾燥がベスト。
「家庭での洗濯NG」
オケにバツがついたマークは、家庭での洗濯NG。水洗い不可なので、クリーニングに出すのが賢明。ウールやカシミヤなど動物性繊維のアイテムによく見られる表示。
「手洗いOK」
オケに手が表示されているマークは、水温40℃を限度に手洗い可能。手洗いすることで色落ちや素材の縮みを防止できる。洗剤はオシャレ着用を用いるのがオススメ。
「条件つきで洗濯機使用可」
30℃のぬるま湯で、非常に弱い洗い方なら洗濯機使用OK。マークの数字は水温の上限、オケの下の線が増えるにつれて、弱い洗浄力が求められる。実際に洗うときは裏返して洗濯ネットを使用すること。
【3】ニットを長持ちさせるため「着る前にできること」
お気に入りやヴィンテージのニットをこの先も長く着るために。「着る前」にしておくことで持ちが良くなるケア方法をご紹介。
【▶取材した方々】
・FREDDY LECK sein WASCHSALON/松延友記さん ベルリン生まれのカフェ&コインランドリー「FREDDY LECK sein WASCHSALON」のブランドプロデューサー。洗濯ソムリエの資格も保有。 ・THE LAUNDRESS/下岡友美さん N.Y.生まれのファブリックケアブランド「THE LAUNDRESS」のブランディングマネージャー。同社製品を知り尽くし、洗濯達人としても有名。
Q「くたびれないようにするためには?」
A.着る前にアイロンで整える
まず着用する前にスチームアイロンを全体にあてるか、通常のアイロンの場合は、1cmほど浮かせてかける『浮かしがけ』をする。シワをなくし、くたびれず、キレイな形状を保てます。(松延さん)
Q「ヴィンテージものや古着の古いにおいを払うには?」
〈右〉ファブリックミスト 300mL 2,200円/フレディ レック・ウォッシュサロン 〈左〉センテッドビネガー 475mL 2,860円/THE LAUNDRESS
A.お酢を活用
ウールやカシミヤなどのデリケート素材には、漂白剤やお湯、強い洗剤は禁物。においやゴワつきが気になるときは、お酢を少し入れた30℃以下の水に20~30分ほどつけ置きを。お酢には除菌や消臭のほか、繊維をやわらかくして染料を定着させる働きがあるので便利です。(下岡さん)
A.風通しのよい日陰で干す
スチームアイロンをあててにおいをとるのがいちばんポピュラーかと思いますが、霧吹きをしてから風通しのよい日陰に干すと水分と一緒ににおいがとれます。そのあとに消臭スプレーを吹きかけるとさらに効果的。(松延さん)
Q「ニットの白さを保つには?」
A.ニットを選ぶときは素材に注意
ウール素材はどうしても経年で少し黄色く変色していきます。その変化を上手に楽しめればよいですが、白いままで着続けたいのであれば、コットンやアクリル、ポリエステルなどの素材で、洗えたり漂白できるものを選ぶようにしましょう。(松延さん)
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