毎日磨いてるのに…歯が黄ばむ理由と正しいケア
「しっかり歯磨きしているのに黄ばんでる…」それは何気なく行っている習慣によって、知らないうちに失われ続けているからかも。今回は、歯が黄ばんでいくメカニズムから、見落としがちなNG習慣、今日からできる正しいケアまで、各研究機関や学会、メーカーなどから集めた知見や、複数の研究データを交えてその真実を解明。 (本記事の内容は一般的な情報であり、効果には個人差があります。歯や口腔に関する悩みがある場合は、歯科医師など専門家にご相談ください)
(CONTENTS)
①歯が白くなる理由・歯を白くする方法
②「歯がキレイな人に聞いた」歯磨きペーストの名品
「清潔感」の象徴が失われる理由

歯の黄ばみは顔の印象をネガティブな方向へと傾けてしまう。その主な原因のひとつは、ステインと呼ばれる「着色汚れ」。
これは知ってのとおりコーヒーや紅茶、ワイン、カレー、ワインに含まれるポリフェノールやタンニンといった色素を多く含む飲食物が、歯の表面にあるタンパク質の膜(ペリクル)と結合してこびりついたもの。また、歯の黄ばみは加齢や遺伝による歯の色の変化(内因性変色)が原因の場合も。
多くの歯学博士の見解によると「着色汚れを放置すると、その部分にさらに汚れがつきやすくなり、歯周病や口臭の原因にもなり得る」ということ。これは、錆びついた水道管にさらに錆が重なっていくようなもので、単に見た目が悪くなるだけでなく、お口の中の健康そのものを脅かしているということにも。
気づいていない? 歯を黄ばませる「意外な落とし穴」
毎日の丁寧な歯磨きにもかかわらず、歯が黄ばんでしまうのには、いくつかの「隠れた原因」が存在。
【意外な落とし穴①】
食後の「すぐ歯磨き」習慣

とくに酸性度が高い飲食物(ジュースや炭酸飲料など)を口にした直後は、歯のエナメル質が一時的に軟らかく。この状態で歯を磨くと、エナメル質を削ってしまうリスクが高まるという意外な結果。
日本歯科医師会やアメリカ歯科医師会(ADA)は、歯の再石灰化(硬化)を待つため、食後30分~1時間ほど経ってから歯磨きをすることを推奨。着色予防のためには、食事の直後はまず水で口をすすいだり、水を飲んだりして、口の中の着色しやすい飲食物が停滞するのを防ぐことが重要。
【意外な落とし穴②】
「研磨剤の強い歯磨き粉」や「歯磨きスポンジ」の使用
ドラッグストアなどで市販されている歯磨き粉や、歯磨き用のスポンジの中には、研磨剤を多く含んでいるものが多い傾向。研磨剤は物理的に汚れを削り落とす一方で、歯の表面をミクロレベルで傷つけてしまうリスクも。
この行為について、九州大学大学院歯学研究院の研究チームによると、歯を削りすぎると歯の表面がザラザラになり、かえって汚れがつきやすくなるという研究結果も。また、歯のエナメル質を削りすぎてしまうと、知覚過敏を引き起こす可能性もあります。
「そうはなりたくない」なら。「白さを保つ」新常識
歯の白さを取り戻し、そして守り抜くためには、正しい知識に基づいたアプローチが不可欠。歯の黄ばみを防ぐ最も効果的な方法は、「着色させない」こと。先述したとおり、口をゆすぐ・水を飲むなど、着色しやすい飲食物が口の中に停滞する時間を短くするだけで「色素が歯に定着するのを防ぐ」ことが重要。
歯の着色汚れを落とす成分は大きく2種類
研磨剤
歯の表面の汚れを物理的に落とす成分。注意すべきは粒子の大きさや硬さによっては歯を傷つけるリスクがあるため、低研磨性のものを選ぶこと。例えば炭酸カルシウムは、研磨剤として一般的に使われていますが、歯よりも柔らかい微粒子にすることで、歯を傷つけずに汚れを落とすことができます。
溶解成分
汚れそのものを溶かして除去する成分です。歯の再石灰化を促す薬用ハイドロキシアパタイトがその代表。これらの成分は、歯にダメージを与えることなく着色汚れにアプローチ。
日本歯周病学会など複数の研究機関によると、歯周病や口臭の原因となるバイオフィルム(細菌の集合体)は、歯磨きだけで除去するのが難しいため、歯磨き粉に配合されている殺菌成分や溶解成分が、その形成を抑える上で重要であると報告されています。
歯の白さを格上げする「賢いアイテム」の選び方
単に「良さそう」ではなく、信頼できる研究結果に基づいた「本当に良い」効果と安全性の両方を備えた歯磨き粉のBEST3をご紹介。特徴・メリット・デメリットも把握したうえでの選択を。
ルシェロ歯みがきペースト ホワイト

希望患者価格 1本/1,980円
歯を傷つけない研磨剤と汚れを溶解する成分がバランスよく配合。研磨剤と聞くと、歯を削るイメージだけど、ルシェロホワイトに配合されているのは、粒子径がコントロールされた「高機能シリカ(清掃剤)。
株式会社ジーシーの社内研究によると、この高機能シリカは、歯の表面に付着したステイン(着色汚れ)を効果的に除去しつつ、エナメル質を傷つけないことが確認されており、これは硬いブラシでゴシゴシ擦るのではなく、きめ細かなスポンジで優しく汚れを吸着するようなイメージ。
アパガードプレミオ

105g/53g/1,683円
「薬用ハイドロキシアパタイト」が、歯の再石灰化を促しミクロの傷を修復。三菱マテリアル株式会社の研究によると、この成分は歯の表面にできたミクロの傷を埋める効果が確認されています。歯を白くするだけでなく虫歯予防効果も期待できる歯磨きペースト。一般的な歯磨き粉に比べて高価な傾向。
ブリリアントモア W

(90g)ナチュラルペパーミント/1,045円
弱アルカリ性で、ステインを歯から浮き上がらせる「イオンクレンジング処方」を採用。ライオンの研究によると、ステインを歯から効率的に除去し、着色を抑制する効果。注意点としては研磨剤も含まれているため、過度なブラッシングは避けるべき。
≫【19選を見る】 歯が白くてキレイな人に聞いた「使い続けて白くなった」デンタルケアの名品

注意が必要! 「ホワイトニングシート」
「貼るだけで歯が白くなる」とSNSでも話題のホワイトニングシート。歯科医院でのホワイトニングに比べて手軽で、安価なため、気になっている方や試した方も多いのでは?

しかし、多くの歯のプロフェッショナルたちのは選び方や使い方を警告。ここでは、そのリスクと、後悔しないための賢い使い方を解説。
「日本と海外では全く違う」ホワイトニングシートの成分
日本製シートの役割は「汚れ落とし」
日本の薬機法では、歯そのものを漂白する成分(過酸化水素など)を歯磨き粉や市販のシートに配合することは不可。そのため、日本製シートは歯の表面の着色汚れを落とすのが主な目的。
これは歯科医院での「クリーニング」と似た効果。しかしシートを長時間貼る必要があるため、着色除去が目的ならば「もっと手軽な歯磨き粉やクリーニングで十分」と多くの専門家の指摘も。
海外製シートは「本物のホワイトニング」が可能

一方、海外製のシートは過酸化水素などが配合されており、歯の内部に浸透して歯そのものを白くできる。歯科医院で行うオフィスホワイトニングやホームホワイトニングと同じ成分のため、本格的なホワイトニング効果が期待できる反面、安価で手軽に手に入るものは「危険性」も潜んでいるのです。
安易なホワイトニングシートの使用リスク
白くならない歯がある
ホワイトニングシートでは、詰め物や被せ物といった人工物や、神経を抜いた後に変色した歯は白くならない。
歯の状態に合っていない場合「激痛に繋がる」
虫歯や歯周病、歯にひび割れがある状態でシートを使うと、薬剤が神経に刺激を与え、激痛を引き起こしてしまうことも。またホワイトニングの副作用として、一時的な知覚過敏が起こることがありますが、この痛みを我慢し続けると、歯の神経が炎症を起こし、最終的に神経を抜く処置が必要になってしまう可能性も。
偽物を掴むリスク
海外製品は個人輸入が主となるため、残念ながら偽物を購入してしまうリスク。有効成分が配合されていなかったり、何が入っているかわからない危険な製品を掴んでしまう可能性も否定でできないのです。
「プロの力」を借りる。最新アプローチ
日本歯科医師会も、歯の着色汚れや歯垢の除去には、定期的な歯科医院でのプロフェッショナルケアが最も効果的であると推奨。単に歯を白くするためでなく、虫歯や歯周病の予防にも。

「歯科医院に行けばいい」というだけでは不十分。歯科医院で行うプロの施術には、いくつかの種類があり、それぞれ目的と効果が異なります。ここでは選ぶべき2つのアプローチを解説。
1.
まずクリーニングで歯本来の「透明感を取り戻す」
クリーニングの目的は、歯の表面にこびりついた着色汚れや歯石を徹底的に除去すること。単なる歯の清掃と思われがちですが、実はこの工程が、あなたの歯の透明感と輝きを大きく左右。
【クリーニングの進化系】
九州大学大学院歯学研究院の研究によると、エアフローによるクリーニングは、従来のクリーニングでは除去しきれなかったバイオフィルム(細菌の塊)を効果的に取り除き、歯周病予防にも繋がることが報告されています。
従来のクリーニングは、研磨ペーストや超音波スケーラーで歯石を除去するのが一般的。近年では「エアフロー」と呼ばれる方法が主流になりつつあります。これは、微細なパウダーをジェット水流で歯に吹き付けて「歯と歯の間の狭い隙間や歯周ポケットの奥まで」こびりついた汚れを効率的に除去するという方法。
2.
クリーニング後のホワイトニングで「歯の色そのもの」を変える
クリーニングで歯本来の白さを取り戻した上で行うことが大切。そのうえで「さらに白い歯にしたい」「歯の色を根本から変えたい」という場合にホワイトニングはその効果を発揮。
最先端のオフィスホワイトニング事情
ご存じどおりホワイトニングは、歯科医院で行う「オフィスホワイトニング」と、自宅で行う「ホームホワイトニング」の2つ。

オフィスホワイトニングは、高濃度の薬剤を使用し、光を当てることで短時間で効果を出す方法。光には主にLEDライトやレーザーが使用されます。
LEDライト
発熱が少なく、歯への負担が比較的少ないのが特徴です。知覚過敏が心配な方や、痛みに弱い方におすすめ。
レーザー
高出力で即効性が高いのが特徴です。短時間で高いホワイトニング効果が期待できますが、その分費用が高額になる傾向。近年のホワイトニング技術は進化しており、半導体レーザーやLEDライトを使用したホワイトニングも登場。
例えば、東京アンバサダー歯科(赤坂ヒルズ)やアレスタ新宿デンタルオフィス、オーラルデザインクリニック秋葉原などが、レーザーホワイトニングを導入していることで知られています。
また、高い効果を発揮しながら、歯への刺激を抑えることに配慮して開発された日本製のホワイトニング剤も注目されており、その代表的な製品が株式会社ジーシーが製造・販売する「ティオン オフィス」(医療用オフィスホワイトニング材)。従来の施術で「しみるのが怖い」と感じていた方でも、安心して受けられる技術が増えています。
【最強のデュアルホワイトニング】
オフィスとホームを併用する「デュアルホワイトニング」は互いのデメリットを補い合う、最も効果的で後戻りしにくい方法として歯科医から推奨されている方法。
オフィスホワイトニングで一気に歯を白くし、ホームホワイトニングでその白さを定着・維持させる。この組み合わせは、短期間で理想の白さを手に入れたい、そしてその白さを長く保ちたいと考える人にとっては、費用対効果の高い「賢い投資」と言えるもの。
「失敗しない歯ブラシ」の選び方
最後に毎日の歯磨きで最も重要なアイテムである歯ブラシ、どれを選べばいいか迷ってしまうのが正直なところ。日本歯科医師会や日本臨床歯周病学会の見解に基づき、あなたの歯と目的に合った「失敗しない歯ブラシ選び」のポイントを解説。
歯ブラシの「硬さ」は歯周病予防がカギ
歯ブラシの硬さは「やわらかめ」「ふつう」「かため」の3種類。
「ふつう」は健康な歯と歯ぐきを持つ方におすすめのスタンダード。 「やわらかめ」は歯周病が進行している方や、歯ぐきから出血しやすい方、また知覚過敏がある方におすすめ。毛先がしなることで、歯周ポケットの奥まで届きやすく。「かため」は歯ぐきを傷つけたり、歯ぐきが下がる原因にもなるため、多くの歯科医は推奨していないタイプ。
複数の歯科研究や専門家の見解によると、硬い歯ブラシは歯ぐきを傷つけるリスクが高まる一方で、プラーク除去効果は「やわらかめ」や「ふつう」とほとんど変わらないという結果報告。そのため、特別な理由がない限りは「ふつう」か「やわらかめ」を選ぶのが賢明。
「ヘッドの大きさ」は小さめが正解
ヘッドが大きい歯ブラシは、一度に広範囲を磨けるように感じますが、奥歯や歯並びの悪い部分に届きにくく、磨き残しの原因に。日本臨床歯周病学会は、歯周病予防の観点から「ヘッドは小さめで、前歯2本分くらいのサイズ」を推奨。特に、口の小さい女性は、小さめのヘッドのほうが奥までしっかり届き、小回りがきいて隅々まで丁寧に磨くことが可能。
「歯間の汚れ」を残さない
歯周病の原因となる細菌は、歯と歯ぐきの境目や、歯と歯の間に溜まってしまう。通常の歯ブラシでは届きにくいこれらの部分をケアすることが重要。
その方法として「超極細毛」のブラシを使う。毛先が細くなっている歯ブラシは、歯周ポケットの奥まで届き、歯周病の原因となるプラークをかき出す効果に期待。
もう1つは「デンタルフロス・歯間ブラシ」。歯ブラシだけでは、歯と歯の間のプラークの約60%しか除去できていないというデータもあり、日本歯周病学会は、歯周病予防には歯ブラシと併用してデンタルフロスや歯間ブラシを使用することを強く推奨。
歯ブラシに必要な「3つをそなえた」名品
薄型で小さなヘッド/奥歯の奥まで届きやすい。超極細毛/歯周ポケットの奥までしっかり届く。握りやすいハンドル/弱い力でも安定して磨ける。これらの条件を満たす製品として、高評価なのがライオンの「システマ」シリーズやGCの「ルシェロ」シリーズ。

システマハブラシ コンパクト3列スリム ふつう 218円

ルシェロ B20 ピセラ B-20M ふつう ジーシー 歯ブラシ 333円(1本)
また、手磨きに自信がない方には、電動歯ブラシもおすすめ。中でも米国歯科医師会(ADA)の認証を受けたブラウンオーラルBは、多くの臨床試験で手磨きよりも高い歯垢除去効果が証明されているもの。

電動歯ブラシ(ホワイトアラバスター)BRAUN Oral-B(オーラルB) iOシリーズ iO8 43,780円(編集部調べ)
「いつも白い歯」でいるために

歯の黄ばみは、日々の生活習慣による着色汚れが主な原因。この黄ばみを解決し、理想の白い歯を手に入れるには、以下の3つのステップを実施することです。
①「予防」を習慣化」着色しやすい飲食物を口にした後は、水で口をすすぐなどの対策を徹底する。 ②「自宅ケア」の見直し」歯を傷つけずに汚れを落とす成分を配合した歯磨き粉を選ぶ。 ③「プロの力を賢く利用」最新の歯科医療技術を理解し、自分の目的(着色汚れの除去か、歯そのものの漂白か)に合わせてクリーニングやホワイトニングを使い分ける。
白いというだけで印象は大きく変わる歯。黄ばみに悩まされず白い歯を保つために、今日から正しい知識に基づいたケアを始めて。
≫【もっと見る】 歯が白くてキレイな人に聞いた「使い続けて白くなった」デンタルケアの名品
