素材や風合い・色・編み方など、ニットはお手入れの仕方も千差万別。買ったときの若さを保ち長く着ていくために、知っておきたい基本ケアのあれこれを洗濯&ニットのプロたちが解説。
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【ニットの「?」の解決法】
汚れや縮みなどの緊急ケアの方法とおすすめの便利アイテム、お気に入りのニットをキレイに保つ簡単なルーティーンをご紹介。ニットに関するよくある質問にファッション業界も信頼を置くプロ4人が詳しくお答え。
1.やってしまった…その対処法は?
【小さなシミがついたとき】
・「中性洗剤と水を1:1でとかした液体をシミになった部分につけて、やさしくトントンたたいて汚れを落としてください。
・飲食物の汚れには食器用洗剤、化粧品の汚れにはメイク落としのクレンジング剤を使うのも効果的。シミがキレイに落ちたら放置せずに、そのまま通常どおり丸洗いを」(山澤さん)
【ひっかけて糸が飛び出したとき】
・「編み物用の太めの針などを使い、飛び出た糸を編み目の間に押し込むのがいちばん簡単。
・目が細かいものや糸が細いもの、けば立って編み目の見えないものは、糸が切れる心配があるので慎重に扱ってください」(山澤さん)
【形くずれしてしまったとき】
・「縮んだときは軽く引っぱりながら、あて布をしてスチームアイロンをかけ、形を伸ばした状態で乾かしてください。
・伸びたときもアイロンが活躍。蒸気をあてて伸びた部分を手で押さえ、形を整えて乾燥を」(永松さん)
2.黒ずみ・黄ばみをキレイに落とすには?
【酸素系漂白剤ならすっきり落ちる】
・「黒ずみや黄ばみは「酸素系漂白剤」を使えばある程度落とすことができます。塩素系漂白剤は漂白力が強く、変色するので絶対にNG。
・ウール製品には「中性である液体タイプの酸素系漂白剤」を使ってください」(永松さん)
衣料用漂白剤 ボトル 250mL 2,530円/THE 大豆や米ぬかなど植物由来の洗浄成分で作られた、部分洗い用の漂白剤。液体が中性のためどんな素材にも対応し、シルクやウール素材も傷める心配なし。色物にも使える。
3.ニットのふわふわ感を保つには?
【干す前にブラシ・乾燥後にはスチーマーを】
・「干すときに、水にぬれた状態のニットをやさしくブラッシングして、毛の流れを整えておいてください。
日陰で乾かしたあとにスチーマーをかけると、けばが立ってニットのふわふわした風合いが戻ります。洗濯時に柔軟剤の適正量を守って使用することも大切」(丸茂さん)
スチームワン エスノマド 衣類スチーマー ブラック 15,180円(メーカー希望小売価格)/DMM.com(DMM) フランスメーカーのハンディスチーマー。パワフルなスチームで、ハンガーにかけたままでもしっかりシワをのばせる。ホワイトとの2色展開。
4.着たニットを次着るまではどこにしまう?
【1日風通しのいいところで陰干し→収納】
・「インナーを着ることが多いニットは肌に直接ふれるTシャツとは異なり、そもそも汚れにくい。ただ、着用後のニットは湿気を持っているのでしっかりと乾燥させることが大事です。
・完全に乾かしたあとは、通気性のよいメッシュ素材で、できたつり下げ収納などに分けてしまうのがオススメです」(永松さん)
✓POINT!
【陰干しする前のひと手間でより清潔に】
1.スチーマーで除菌・脱臭
「水蒸気の熱によりそこそこは汚れを吹き飛ばすことが可能。気になるにおいや雑菌も蒸気とともに気化するので、スチームをするだけで衛生面が保たれます」(山澤さん)
2.柔軟剤を薄めた液を吹きかける
「特に汗をかいた日は脇やえり元などの汚れがつきやすい部分に柔軟剤を薄めた水をかけてみて。その後ブラッシングし乾かせば、ある程度汚れが落とせます」(永松さん)
5.確実に変わる「着用後のひと手間」
【ブラッシングで毛玉を予防】
・「毛玉は繊維の絡まりが原因のため、着用後にブラッシングをして毛の流れを整えてあげることが大切」(永松さん)
・「天然繊維のものは、汚れに関して過敏になるべき。虫食いやカビの原因になるため、収納前に目視でしっかり確認を。ブラッシングで表面に付着したホコリや汚れをとることも重要です。やりすぎは逆に素材を傷めるので気をつけて」(丸茂さん)
洋服ブラシ カシミヤブナ 9,900円/ブラシの平野 カシミヤなどのデリケート素材にも使える、やわらかな馬毛の衣類用ブラシ。摩擦による繊維どうしの絡まりをほぐして整えることで、毛玉を目立ちにくくできる。
\LECTURE MEMBERS/
OKULAB
永松修平さん
洗濯機のエンジニアとして、長年クリーニング機器やコインランドリー機器の開発に従事。現在はコインランドリー“Baluko Laundry Place”、洗濯代行“Laundry Out”を手がける。
ヤマサワプレス
山澤亮治さん
店頭に並ぶ前の洋服のアイロンプレスや検品を手がけアパレル業界を陰で支える一方で、洗濯代行“ウォッシュフリーダム”を経営。アイロンがけのプロとして講演活動も行う。
レジュイール
古田陽祐さん
1977年創業、高級クリーニング店「レジュイール」のオーナー。欧米で学んだ技術を基に、独自のノウハウを生かしたケア方法がファッション関係者からの絶対的信頼をほこる。
繊維製品検査機関
丸茂征也さん
クオリティ確保や向上をめざし、化合繊、綿などを含む繊維製品全般にあらゆる検査を行い、繊維産業の支援に務める。ウールマークの品質試験およびその証明などにも携わっている。