「オシャレの手数が増える」選び方・着こなし方
夏本番も頼れるのはやっぱりベーシックな服。そんな服の選び方や眠った活用法など「オシャレの引き出しが多い」ベーシックアイテムの選び方、眠った活用法など、明日から簡単にとり入れられそうなテクニックを人気スタイリスト・樋口かほりさんに徹底取材。(※クレジット表記のないものはすべて樋口さんの私物です)
【スタイリスト・樋口かほりさん】
大人に似合うカジュアルをモットーに、リアリティのあるアイテム選びの提案と肩の力を抜いて着られる、シンプルカジュアルなスタイリングは毎号多くの反響が。
【CONTENTS】
1.変わった服は選ばない「ハズれのない組み合わせ」
2.役に立つ小物
3.オシャレが上手くなるシンプルな服の使い方
1.シンプルな服で「ハズれのない組み合わせ」
「ベーシックこそ更新を」といわれても、手段を選ぶだけで難しい。そこで参考にしたいのがプロの意見。ご自身の着こなしもごくシンプルなのにオシャレな樋口さんは今のトレンドではなく、単純に「今の気分」をひっかけるという考え方。
白T以外はキレイに徹する
真夏は毎年白T+デニムがどうしても多くなるから、「その前に白Tでしたいこと」で考えてみました。今なら似た丈でもスカートよりシャレて見えるハーフパンツを選択し、足元はシャネルのミュールで品よく。コンパクトな白Tのセレクト自体もポイントです(樋口さん)
サーマルとサテンテンションの異なる素材をIN
「ヌーディかつなめらかな質感のサテンは、カジュアルダウンさせても女っぽい。スエットよりもさらにラフなサーマルで、センシュアルなサテンをリアルに引き寄せて」(樋口さん)
スニーカーで「物足りない」ときのストール
「たとえば白T+デニム+スニーカーだけじゃ、もの足りない!そこに首からストールを適当にたらすだけで、縦が強調され奥行きが生まれます。ストールは包まれたくなるボリューム感があるものを選んで」(樋口さん)
白T感覚で白シャツにスイッチ
「デニムには白Tが自分的定番でしたが、「パリッとしていない白シャツ」との出会いによって、Tシャツ感覚でまとえるシャツへと移行中。デニムと波長を合わせた、えりをざっくり開けた着方にも適した風合いで、「白シャツ=キレイ」のイメージが変わりました」(樋口さん)
ネイビーでワントーン
コンバースは色やデザイン違いで10足ぐらい保有。「スニーカーでハズしています!」というわかりやすいくずし方が苦手なので、落ち着いて見せるためにボトムとスニーカーの色をそろえることが多いです。今はより大人っぽさをねらえるネイビーのレザーが気分(樋口さん)
ブルーデニムと赤パンプス
「無骨さから垣間見えるきゃしゃ感。ローヒールやスニーカー流行ですが、デニムを穿くときは男性・女性の両方から見てもわかりやすく女っぽいコンビネーションはハズせない。ネイビーと赤という配色は流行り廃りがなく、失敗ナシの定番コーディネート」(樋口さん)
ストールを足す感覚で肉厚スエット
「Tシャツはヘインズのボーイズサイズ。コンパクトなフォルムをそのまま楽しむのもいいですが、もの足りなさを感じたらスエットの出番。古着のBIGサイズを自分ですそをカットし、使いやすい丈にリメイク」(樋口さん)
ゆるいシルエットのほうがキレイに見えることも
〈左〉JIL SANDER 〈右〉Maison Margiela 「きちんとTシャツ、というとコンパクトなものを想像しがちですが、薄手のBIGサイズなら、ゆとりによって落ち感がはっきりと生まれて体のラインがキレイに見えることも。ジル サンダーの白T(左)はメンズサイズ」(樋口さん)
まさにラルフローレンが似合うメンズがヒント
「白Tに白のハーフパンツを合わせて、ばさっとこのシャツを重ねたい。ラルフのメンズのルックに出てきそうなスタイリングがイメージです。シャツのパッチと色リンクしたネイビーの眼鏡で知的に装うのもあり」(樋口さん)
どちらか1つあれば格が上がるわかりやすい正統派
「たとえばTシャツにスエットぐらい気の抜けた組み合わせでも、この紺ブレか時計のどちらかがあれば、それだけで「考えられたテイストMIX」に。あれこれ考える余裕がないときに頼れる存在」(樋口さん)
「ヴィンテージライクな」ロゴT
「上下ワンツーの組み合わせがメインになるこれからは、Tシャツにも種類が欲しい。中でもキレイめなボトムが多い今季は、そのハズし役としても重宝するロゴものはぜひ1枚持っておきたいタイプ。
黒やダークブラウンなど、ベースは落ち着いた色を選ぶのがベター。白なら明るすぎない、ちょっと明度を落とした色みも、ヴィンテージっぽいアジが出るのでおすすめです」(樋口さん)
2.「役に立つ」小物
たとえばTシャツにデニムやシンプルなボトム。そんな組み合わせもどこかオシャレに見える、さりげない小物使い。とくに変わったモノではないけれど、しっかりとアクセントになりつつも、コーディネートの完成度も上がる小物は?
Tシャツに似合う「小さなニット」
〈左〉ne Quittez pas 〈右〉Freada 「Tシャツにニット小物という意外性だけで新鮮に。とくにシンプルになりがちなTシャツワンピに加えるとスタイリングに深みが増します。ただしロゴなどTシャツ自体がカジュアルだと、幼く見えるので避ける方向で」(樋口さん)
極端なサイズのバッグでハズしたい
〈左〉NO BRAND 〈右〉THE ROW 「ときどきサイズの違和感をスタイリングに活用しますが、なかでもバッグで試すのが簡単。黒のサテンバッグ(右)は携帯と財布が入る程度。白Tと、黒か白のサテンスカートなど、服も素材をそろえるのが好き」(樋口かほりさん)
白T+デニムでもこの1足で安心できる
CHANEL(VINTAGE) 「ラフなスタイリングでもスエードの重みを効かせれば十分“もつ”。白T+白やベージュのパンツに添えてマイルドな配色でまとめるのが気分。軽快に見せたいから、くるぶし丈のパンツに合わせたくなります」(樋口さん)
カジュアルの定番をレザーで更新
〈左〉H&M 〈右〉TKEES 「ビーチサンダルにシュシュといった、これまでもTシャツに合わせがちだったカジュアルな小物をレザーに置きかえ。レジャーではなく、街で気楽に過ごしたいときに、レザーならちょうどいい抜けに」(樋口さん)
ナイキの白スニーカー
「昔からずっとスタイリングでも使っているスニーカー。ビーサンでハズしがちだったワンピースに、今季はスニーカーを合わせたい気分。メンズ寄りのデザインと、モノトーンでシンプルなデザインがお気に入り」(樋口さん)
迷ったら「角のある小さな黒か白」を
〈左〉MANOLO BLAHNIK 〈右〉FENDI 「どちらもカチッとしたフォルムだから、ややゆるめのTシャツと合わせてバランスをとることが多いです。フェンディのバッグ(右)はゴールドも相まってエレガントなので、わざとロゴTとスタイリングすることも」(樋口さん)
フラットシューズは「キレイを保てる」もの
「リラックスしたシルエットやペールトーンのやさしいい印象の服にも好都合なのは、ハイヒールよりも高さのないミュールやビーサン。今のオシャレって「がんばっている感」よりも心地よさのほうが大事だし、気どらないぺたんこがちょうどいいなと思います」(樋口さん)
3.オシャレが上手くなる「シンプルな服の使い方」
樋口さんがよく使う、コーディネートのテクニック。「服と服の相性」を軸にした、明日から使える簡単な方法をご紹介。
「ノースリーブとストール」
素肌の見える面積が増える夏に必要な、カーディガンやシャツなどの薄軽羽織り。さらにもう1つの選択肢としてストールに注目。服と同系色のストールをプラスすれば色っぽさが和らぐだけでなく、デザイントップスのようにも見えて感度も上がります。(樋口さん)
「ジャケットと夏色インナー」
いつもなら白Tをインナーにするところ、明るい色を選ぶだけでジャケットの気分が変わる。わかりやすい夏小物で飾れば、正統派におさまりがちなジャケットにフレッシュさを出せます(樋口さん)
「ツヤのある黒サテンにスエット」
白や黒に比べて、カジュアル度が高くなるグレーのスエット。サテンなど、わかりやすくドレッシーな質感をぶつけることで「キレイなのに親しみやすい」バランスに(樋口さん)
「はおらず穿くようにアレンジ」
ガウンのようにまとえるロングシャツワンピース。まずはふつうにはおって腰から下のボタンだけとめ、上半身は脱いで腰位置でそでを結ぶだけ。即席でデザインスカートのでき上がり(樋口さん)
「ジャケットがわりにシャツを肩がけ」
使い道の広いオーバーシャツははおりとしても活躍。肌に密着しすぎず、ジャケットほどきちっとしすぎないため、夏の軽装を品よく整えるのにちょうどいい(樋口さん)
「重たいボトムはオーバーなトップスと」
フレアスカートには、半そででもゆったりとしたサイズ感を選び、重さのバランスをとりたい。ルーズなトップスをブラウジングして、腰まわりに適度なメリハリを(樋口さん)
「かっちりしたものほどルーズに着る」
シャツ×ハリのあるスカートの上品な服装こそ、ビッグサイズで「適当感」をつくると力を抜ける。ゆるいえりつきシャツのボタンを上までとめて、首元はきちっと(樋口さん)
「ビッグアウターと短いパンツ」
すべて見慣れたアイテムで丈と幅だけを変更。例えば身近な存在である、白Tありきで定番アイテムの「サイジングの見直し」をはかることでシンプルスタイルの底上げを(樋口さん)
黒のリブソックスを活用
黒のパンプスやサンダルに合わせて、夏のブーツ風に使いたい。甲部分まで細いリブが続いているから、サンダルの下にはいても違和感なく、女らしさもかないます(樋口さん)
シャツの着幅を広げたいなら「細い黒のサスペンダー」
白トップスに黒のサスペンダーを加えれば、配色にもさりげなくコントラストがついて新鮮に。紳士なイメージのサスペンダーも、白Tではなくシャツへの足し算ならレディな仕上がり(樋口さん)
ウエストのゆるみを利用する
ぶかっとしたウエストをキュッと締め上げたときに生まれるニュアンスを求めて、あえてワンサイズ上やメンズサイズのデニムを選ぶことも。ジャケットスタイルなど、まじめな装いに1つポイントをつくるイメージで(樋口さん)
ベルトループの意外な使い方
シャツを合わせるとき、すそをくるっとしばったときに余る部分を、ベルトループにひっかけただけ。もの足りなさを感じたときに「加えずひねる」解決方法もアリだと思います(樋口さん)
Gジャンをトップスのように1枚で
スカートの甘さをてっとり早く引き算できる、アウターとしてではなく、トップスとしてのGジャン。「着たまま」にせず、そでをまくったり、えりを立てたり動きをつけて抜け感を出すだけで、印象もずいぶん違ってくると思います(樋口さん)
頼れる組み合わせパターン
季節を問わず、あると心強いライトなニット。巻いたり、包んだり。カーディガン以上に操作しやすいストールで採用を。顔まわりがさみしいときにも重宝(樋口さん)