昨年始動したOUTDOOR PRODUCTSのアパレルライン『Usual Things(ユージュアルシングス)』。メンズライクで上品なレディスカジュアルを届けるなかで、よりコアなデニムなどのアイテムを中心とした新ライン『Usual Life Things(ユージュアル ライフ シングス)』が新たに登場。クリエイティブディレクター染⾕真太郎さんに聞いた「アイテムづくりのストーリーやその魅力」をお届けします。
【INTERVIEWEE/染谷真太郎】
2021年秋に株式会社CINCH(シンチ)を設⽴。デニムブランドOblada(オブラダ)を2022年春夏シーズンより展開。ブランド戦略やクリエイティブディレクターとして幅広く活動中。
「長く愛される服がつくりたい」新ラインに込めた思い
「長年洋服づくりに関わる中で、1枚の服がお客さまの手元に届くまでに、いろいろな方が携わっていることを日々実感しています。服が出来上がるまでに生地屋さんがいて、パタンナーさんがいて、工場で量産してくれる方々がいて。そして出来上がった後にも、プロモーションを練る方や広めてくれる方、実際に販売しくれる方など。日夜、皆が手をとり合ってつくり上げたプロダクトだからこそ、大事に売りたい=長く愛される服をつくりたいという思いが根底にあります。」(染谷さん)
「とくにUsual Life Thingsでは、季節やトレンドに左右されない、できたら1年、2年と日常的に着続けてもらえるような、よりベーシックなアパレルアイテムをそろえていきたい。Usual Thingsの真ん中に“Life”を据えたネーミングにも、そんな意味を込めています。」(染谷さん)
1stコレクションとして選ばれた
Usual Life Things「だからつくれるデニム」
「Usual Life Thingsの第一弾としてフォーカスをあてたのはデニム。Usual Thingsが目指す、“日常に寄り添うカジュアル”を踏襲しながら、より“定番とメンズライク”というフレーズに踏み込んでみました。ジーンズは自分がたくさんつくってきたアイテムの一つでもありますし、メンズライクなファッションに欠かせない要素でもありますよね。
デニムはキレイにつくりすぎても味がなかったり、かといってヴィンテージで自分の体に似合う1着を探すことも難しい、とても奥が深い服。今回、デニムのモノづくりに精通されている方と一緒にお仕事させてもらっているんですが、その方がとにかくすごくて! 自分の好みやつくりたいものを上手く引き出し、職人的な感性で形にしてくれる。
結果、“今の気分に沿ったキレイさ”と“なくして欲しくない味わい深さ”という、ある種わがままのようなリクエストをかなえた理想的なデニムが、自分だけじゃなく色々な人の協力を得て実現できたと思っています。」(染谷さん)
「そして、モノづくりと同様に重要視しているのが“リーズナブル”であること。リーズナブルというのは、単に安いだけじゃなく“価格以上の価値がある”ことだと考えています。多くの人が手にとりやすい価格帯の中で、どこに着る人の期待を越えるポイントを置くか。Usual Life Things一番の推しポイントはパターン、形のキレイさにあります。
たとえばOblada(オブラダ)のデニムは、ヴィンテージ好きでもうなるような、ハードコアなディテールにこだわっているので高価ですが、Usual Life Thingsは色々な人に着てほしいので、穿いたときにキレイに見える、スタイルがよく見えるなど、多くの女性がかなえたい思いを大事にして製作しました。」(染谷さん)
「“ファッションはそこそこ”という人にこそ届いてほしい」
「働いている方もいるでしょうし、子育てに奔走されている方もいるでしょうし、皆さん忙しいじゃないですか。実際、アパレル業界で働く人たち以外の人がファッションに向き合う時間って短いと思うんです。だから、このブランドでは“ぱっと見て可愛いわかりやすさ”とか“オシャレだけどいい意味でマニアックすぎないこと”を大切にしています。
昨年、新店舗を中目黒という場所にオープンした背景にもその思いがあって。渋谷や銀座のファッションビルよりも、もう少しライトに散策できて、でもオシャレで感度が高いイメージはあるというか。“都会的だけど、カジュアルに着られるちょうどよさ”をブランド全体を通して意識しているので、ずっとファッションが大好き!という人だけでなく、そこそこ好きですという人にもぜひ着てほしいですね!」(染谷さん)
「いちばんはやっぱり店頭です」
見て・触れて・楽しんでもらうためのこれから
「自分自身“草の根”スタイルなので(笑) OUTDOOR PRODUCTSが1973年の創業当時から掲げている“Simple、Lightweight、Tough、but Reasonable”。Usual Things、Usual Life Thingsにも通ずるこの4つの魅力的なキーワードからはブレずに、携わるチームで共有しながらじっくりとやっていくのがいちばんかなと思っています。目標は多くありますが、今はまだ知ってもらう段階。浸透するにはどうしても時間がかかるので、焦って方向性を変えたりせず、今やっていることを丁寧に続けて、じわじわと広まっていってもらえたらと。」(染谷さん)
「なによりも重きを置きたいのが店頭です。お店の世界観も含めたお客さんとのコミュニケーションのなかで、我々がいいと信じたもの・可愛いもののよさが伝わりはじめて、ルックを見てもらえたり、実際に服を着てもらえたりしますよね。そうしたブランドの地盤固めを店頭で行いながら、ポップアップストアという形でアイテムを実際に見て知っていただく機会を全国につくっていこうと思っています。
また、海外にもこのブランドのテイストが好きな方ってすごく多いのでは?と感じていて。どういう形でかは、固まりきっていませんが、ゆくゆくは海外へ逆輸入的にUsual Life Thingsを広げられたらと考えています。個人的には、ブランドコンセプトのきっかけにもなった、義理の姉が住む鹿児島にも展開することが目標の1つでもあります。」(染谷さん)
【前回のインタビュー/Usual Thingsの誕生秘話はこちら】≫〈OUTDOOR PRODUCTS〉そのアパレルラインの魅力とは?キーワードは「日常に寄り添うカジュアル」
「次の季節が待ち遠しくなる」
毎日を彩るアイテムが続々登場予定
「今後のラインナップとしては、デニムに引き続きワーク・ミリタリーという、メンズライク定番のテイストを3本柱として、毎シーズン展開していく予定です。加えて、白Tやタンクトップ、白ソックスなど、日用品のような繰り返し使うアイテムたちも増やしていくつもりです。現在、Usual Life Thingsを実際に手にとってもらえるのは中目黒の店頭やポップアップストアのみとなりますが、より多くの場所で見てもらえるようにしていきますので、ぜひチェックして好きになってもらえたらうれしいです!」(染谷さん)
【INFORMATION】
●OUTDOOR PRODUCTS中目黒店
住所 東京都⽬⿊区⻘葉台1-16-4 ME BLDG1F
電話番号 03-5539-8525
営業時間 11:00-20:00
【公式HP】OUTDOOR PRODUCTS