スタイルを決定づけるうえで、髪も大事な要素のひとつ。毎日似通ったコーディネートになりがちな時季だから、髪のニュアンスや小物づかいで見違えるテクニックが重要に。スタイリングのポイントやヘアメイクによるアレンジが上手くいくコツなど、明日から早速試せて完成度が上がるアイディアをご紹介。
(TOPICS)
【1】「質感だけで印象を変える」スタイリングパターン
【2】人気ヘアメイク直伝「ラフでキレイなアップヘアの作り方」
【3】「ショートだからこそ成立する」ヘアアレンジ
【4】「ハイネックとヘアアクセで」手間なく目を引く実例集
【1】ヘアの質感だけで印象を変えるテクニック
同じメイクでも、髪型に変化をつければ、与える雰囲気・行き先の幅を広げられる。ドライとウェット、2つの質感でスタイルのレパートリーを模索。
簡単で凝って見える1つ結び
【DRY HAIR】
おくれ毛がメインの気だるいアレンジ
適当風の結びやルーズなおくれ毛がさまになるのは、ドライヘアならでは。ヘアゴム1つで下のほうにラフなおだんごをつくったら、耳より前の髪を引っぱってニュアンスづけ。形がくずれて、ゆるさが出るほどにいい。
【WET HAIR】
清潔感あふれるタイトなシニヨン
きちんと感と緊張感をもたらす、おくれ毛もニュアンスもないおだんご。サイドの髪をもれなく集めて後ろでポニーテールにし、ヘアゴムを核にして髪を巻きつけるだけ。おだんごはたらさずに、ピンと立たせるのが正解。
束感を効かせるだけの簡単ヘア
【DRY HAIR】
クセを生かしてボリュームアップ
外国人の愛らしいクセ毛をイメージしながら、クリームワックスをラフにもみ込み、自然なウェーブづけ。事前に軽く巻いておくと、ヘルシーな束感を出しやすい。リラックス感が重要なので、細かくほぐしすぎないこと。
【WET HAIR】
顔まわりの束感でさりげなく女っぽく
すっきりとしたシルエットとウェットな質感が、気楽なダウンスタイルに女性らしさを連れてくる。髪がややぬれて見えるくらいを目安に、ワックスでツヤをON。のっぺり見えないように、顔まわりに細かい毛束を形成。
アクセとともに髪だけドレスアップ
【DRY HAIR】
太めカチューシャ+ツイスト編み
甘さを軽減する組み合わせ。キレイめに傾きすぎない、レザー調のカチューシャをポイントに。中央で髪を分け、それぞれの毛束をさらに2つに分けてねじる。ねじり終えた2本を中心部で合体してツイストすれば、レトロなムードの1つ結びが完成。
【WET HAIR】
立体感あるモードなアレンジ
エッジと穏やかさが同居したようなまとめ髪。個性的なヘアとメタルコームを融合させた、モードなアレンジは、重心高めのハーフアップをつくり、残った毛をまとめて等間隔に結んでいくだけ。髪を引き出して丸みをもたせ、毛先を中に入れ込んだらちゃめっけもかなう。
【使用コスメ】 DRY HAIR
シーヘアワックス 50g 3,850円/ジョンマスターオーガニック 海上がりの髪のような軽さや無造作感が出せるクリーム状のワックス。ベタつきにくいのも魅力。
【使用コスメ】 WET HAIR
ヘアソルベ 02 40g 2,530円/リサーチ(ビープル バイ コスメキッチン) 保湿力の高い植物油脂で作られたヘアワックス。軽いテクスチャーでなじみがいい。
【2】人気ヘアメイクが伝授「ラフでキレイなアップヘアの作り方」
服やメイクの調整役ととらえることのできるアップヘア。強さのある仕上がりか、可愛く仕上げるか。求めたいイメージ別に、結ぶ位置やおくれ毛の出し方など、知っておきたいテクニックをご紹介。
(ヘアメイク・塩沢延之さん)
mod’s hair所属。表紙をはじめ、GISELeのファッションページのヘア&メイクを多数手がける。飾らないのにカッコいい女性像に落とし込む足し算・引き算のバランスが絶妙。
【まず知っておきたいポイント】
ラフなおだんごは「横から見たときのシルエット」が大事
「結ぶ位置やおくれ毛の生かし方も大事ですが、僕がいちばんこだわっているのは後頭部のシルエット。実はどちらのスタイルも、ハチ下の毛束を三つ編みにしてピンでとめて頭に固定し、上から髪をかぶせているんです。
そうすると、うなじからおだんごまでの間に一段分の緩急がついて美しいシルエットに仕上がります。毛先に動きをつけてラフにつくっていながら、ちゃんとオシャレが行き届いているように見えるのは、後頭部を立体的にして、だらしない印象を払拭しているからです」(塩澤さん)
【A】イメージはシャープでカッコいい女性
「鮮やかなイエローニットを大人っぽくシャープに見せるべく、一つ結びの位置は頭のてっぺんではなく、やや後ろ位置に。そうすると自然と目尻が後ろに引っぱられて、表情までもキリッとしたものに。はっきりとしたアイブロウや強めのアイメイクがよく似合うようになります」(塩沢さん)
「コームでとかして顔まわりの毛流れをキレイに整えたのもポイント。オイルやグリースを活用して産毛が目立たないようにタイトにまとめたら、額の四角い形が強調されてクールで媚びない見た目に仕上がります」(塩沢さん) イエロートップス 17,600円/TSURU By MARIKO OIKAWA
【使用したスタイリング剤】
1_N. ポリッシュオイル 150mL 3,740円/ナプラ パサつきや広がりが気になる髪にうるおいとツヤを与える。 2_N. オム アクアグリース 100g 2,200円/ナプラ のびがよく、タイトからウェーブまで幅広いアレンジに対応。(ともにサロン専売品)
【HOW TO STYLING】
①ベースは「手ぐしで髪の絡まりをほぐしたら、1のオイルをつけていく。髪を根元から3分割にし、毛先からまん中にかけては軽め、ハチから根元にかけては多めに塗布。根元は2のグリースを混ぜ、耳横の髪の色よりもワントーン暗くなるように濡れ感を加える。毛先からオイルをつけるのがポイントです
②濡れたようなツヤを仕込んだら、コームで毛流れをキレイに整える。あごと両耳の上を結ぶラインの延長線上、ゴールデンポイントと呼ばれるところで一つ結びに。毛先が前になるように結び、立体感と動きをつけながら好みの形に整えてピンでとめる。
【B】イメージはヘルシーで自然体な女性
「こちらは、着くずしたシャツとムードを合わせて、カジュアルな一つ結びに。上のAパターンとは違い、頭のてっぺんで髪を結んでいるから目元が引っぱられることなく、やさしい印象に仕上がります。シーミストスプレーを使ってドライな質感にして、おくれ毛などのニュアンスを出したところもポイント」(塩沢さん)
「額の四角い形がきわ立つようにタイトに整えた〈A〉に対して、このLOOKでは額の生えぎわの産毛を薄く引き出しているんです。額の両サイドに産毛を残したことで、顔の輪郭をたまご形に見せられて、かわいらしさを上乗せできます。ヘアにラフさとほどよい甘さを共存させたら、テーマ性が出やすい赤リップも気取らず、ヘルシーに楽しめますよ」(塩沢さん) 黒シャツ 45,100円/フランク&アイリーン(LITTLE LEAGUE INC.)
【使用したスタイリング剤】
S&L シーミストスプレー N(シーソルト&ラベンダー) 2,750円/ジョンマスターオーガニック 海から上がったあとのような無造作感を演出。保湿しながら、自然なボリュームを与えてマットな質感へ。
【HOW TO STYLING】
①髪の毛をねじりながら巻くツイスト巻きに。コツは毛束を均一にとらないこと。少ない毛束で巻いたところと多めの毛束で巻いたところをランダムにMIXすれば、気張った感のないカジュアルな見た目に。
②ブラッシングをしてウェーブをほぐしたら、シーミストスプレーを全体に振って完成。
【3】「短いからこそ成立する」ショートヘアのアレンジ
ショートだからといって、ヘアアレンジをあきらめてはもったいない。長くないからこそのシルエットやアクセサリーとの相性など、ニットの季節にショートヘアだからこそ上手くいくアレンジ術をご紹介します。
やさしいニットに重厚なカチューシャ
あいまいカラーのやさしいニットと真逆をいく、主張のあるレザー小物や赤リップ。なめらかな光沢とぽってりとした厚みによりレベルアップを図れるカチューシャも赤い唇も上品なパリジェンヌを想起させて。
ふわふわニットにジュエリーの質感
あたたかみのあるニットに気負わないラフなハーフアップ、そして重厚なヘアアクセ。重×軽のバランスが退屈を回避して、「何か違う」の呼び水になる。
無造作ヘアにレトロなカチューシャを
ボリューミィなカチューシャを1つ足すだけで、シンプルな装いもクラシックに見えて、一気に感度が上がる。ベロアやサテンなどニュアンスのある質感を選べば、より女性らしい仕上がりに。
首まわりの重みを削ぐようなタイトアレンジ
巻くアイテムと巻き方、双方にひねりを効かせたレザーコードのアレンジ。時間もテクニックも不要で、足さずして満たされるスタイリングの好例。ワイヤー入りなら、自在に形が変えられる。
「力感のなさを装う」ラフなまとめ髪
無造作なアップスタイルを適当にヘアゴムでまとめたようなゆるさ。春っぽい明るい色は、アクセでとり入れるくらいが冬の装いに浮きすぎずちょうどいいアクセントに。ネオンカラーのヘアゴムは、100円ショップやドラッグストアなど身近なショップで手に入る。
長さを加えるようにレトロなスカーフ
いつもの1つ結びはそのままに、飾りの長さだけで目先を変える手法。髪の長さという制限にとらわれずに「ゆれるテール」を確保。シンプルなスタイリングが女っぽく振れて、かつトライしやすい。スカーフは落ち感にこだわってセレクトを。
【4】「ハイネックとヘアアクセで」手間なく目を引く実例集
ふと気になって目で追ってしまう、美しい後ろ姿。多くを語らないバックスタイルなのに惹きつけられる理由は、自分では直接見ることができないところまで行き届いているから。首元が高めのニットやアウターとアクセサリーが織りなす絵になる後ろ姿、6つのレシピ。
まじめな服でも力まない無造作なまとめ髪
結び目のゴムが見えないように毛先を巻きつけた、ヘアのニュアンスがもはや飾り。手を抜くべきところは抜く、緩急のバランスを心得た「デキる女」を後ろ姿から想像。
大人がやるから新しい「適当なおだんご」とミニヘアピン
幼く見えることを懸念して敬遠しがちな、ひとクセ効いたヘアピンの重ねづけ。どこかレトロな見た目のケーブルニットで、あえて子どもっぽさをねらえば中途半端に見えず、意外なギャップをつくれる。
正面からは見えない「背中にたらす前提で」黒リボン
確実に甘さを呼び込めるリボンモチーフは、後ろ姿でならとり入れやすい。シックな黒×べロアのリボンを1つ結びの低めの位置につけることで、黒ニットの高いネックラインとなじんでさりげなく主張。
耳元から首元までの絶妙な重なり合い
コートに入れ込んだタイトなヘア、あごが埋もれるくらいしっかり立てたえり、そこからのぞく白いピアス。3つの要素が緻密に計算されたうえで成り立つレイヤードバランス。
首でも髪でもなく「スカーフをシュシュに巻く」
おだんごにただシュシュをかぶせるだけでは退屈だから。さらに同素材のスカーフを結んで長めにたらし、服の一部のように活用。緑がかったニットの色を拾って、さりげなく色みをそろえたこともポイント。
バレッタ1つで首元をすっきり見せつつ、自然な抜けを
幅広のバレッタでさっとまとめるだけで、ゴムには出せない絶妙なゆるさが出現。手をかけずともこなれて見える。