シンプルな装いに一点投入すると気分転換になる柄アイテム。とはいえ、難しさもあるからこそ、カジュアルに装える“なつかしさ”を味方にするとなじみがいいことを提案。古着を愛するスタイリスト・樋口かほりさんの「古着屋にありそう」な選びに注目を。
(TOPICS)
【1】大人っぽく仕上がる「これからのボーダー」
【2】「合わない服が少ない」着回しの利く柄
【3】華やぐ柄を上手に着る「スタイリストのテクニック」
【4】主張をひかえめに「柄未満の可愛い模様」
【1】ポイントは「不規則な渋色」幼く見えないボーダー選び
定番のボーダーにはマリンのイメージがあるのに対して、ランダムボーダーは細いピッチを不規則に繰り返すことで、古きよきアメリカンカレッジムードが漂う。落ち着いた色がベースなら、手持ちのワードローブとも好相性。
「さし色的にアクアブルー」


ネイビーボーダーTシャツ 25,300円/ヒデン ジェムス(ロンハーマン) デニムパンツ(メンズ) 27,500円/カルバン・クライン(カルバン・クライン カスタマーサービス) ベルト 13,750円/TORY LEATHER(メイデン・カンパニー) スニーカー 7,150円/VANS(VANS JAPAN カスタマーサポート)
やんちゃなスケーターの雰囲気で
ボーダー+ハイウエストデニムへ回帰
ネイビー地にブルー、よく見ると白やブラウンも入った奥行きのあるボーダー。大きめデニムのウエストをベルトで締めて生まれるニュアンスで、ただのラフで終わらせない。
「茶系だけでグラデーション」


ベージュ×ボルドーボーダーTシャツ 14,300円/ロク(ロク 青山) ベージュチノパンツ 19,800円/ディッキーズ(シティショップ) 眼鏡 24,420円/COACH(ルックスオティカジャパン カスタマーサービス) シューズ 7,990円/ザラ(ザラ カスタマーサービス)
オーセンティックなチノパンを相棒に
クラシックな色だけで完結
くたっとした質感で表情のあるベージュに、こげ茶やイエローのラインをランダムに配したレトロムードたっぷりな1枚。ローファーよりも力が抜けるレザーのスリッパシューズで、個性を加えつつこなれた仕上がりに。
「ゆるさをたくしてビッグポロ」


ボルドーボーダーポロシャツ 28,600円/バウム・ウンド・ヘルガーテン(S&T) 白フレアスカート 75,900円/オスロー(フィルム) ソックス 2,640円/HOiSUM バッグ 42,990円/ザラ(ザラ カスタマーサービス) パンプス 70,400円/キャレル(エディット フォー ルル)
ほろ苦い赤みブラウンのえりつきボーダーが
白フレアスカートの甘さを軽減
ボルドー+白にダークブラウンの極細ラインが引き締め役のランダムボーダー。古びた色みと大きなシルエットでおじいちゃんから譲り受けたようなポロシャツは、にごりのない白スカートで爽快感を。
【2】着回しも利く「合わない服が少ない」柄アイテム
ポイントはベーシックカラーにも似合う主張の強さ。映えるけど前に出すぎない、そのバランスが上手なアイテムを厳選してピックアップ。
白とボルドーの太ストライプ

アイボリーワイドパンツ 63,800円/ハルノブムラタ(ザ・ウォール ショールーム) 白×ボルドーストライプシャツ 26,400円/THE SHINZONE(Shinzone ルミネ新宿店) 眼鏡 44,000円/アイヴァン(アイヴァン 東京ギャラリー) パンプス 25,300円/アルム(スピック&スパン ルミネ有楽町店)
清楚な白と上品なボルドーという好感度の高い2色だから、クセのある太いストライプも品行方正に落ち着く。単純なワンツーにメリハリをつけながら、ゆるんだシルエットを気だるくキレイなルックスに昇華。
ALL黒を軽量化する「小粒の白ドット」

黒白ドットブラウス 33,000円/aLORS 黒パンツ 7 9,200円/ヴィンス(コロネット) サングラス 48,400円/プロポ(プロポデザイン) バッグ 6,490円/Gap パンプス 31,900円/TSURU By MARIKO OIKAWA
ボリューミィな七分丈のパフスリーブブラウス。背中は、首元のリボンからスリットのように開くバックオープンタイプ。小粒な白をランダムに散りばめたドット柄は、飾るためだけではなく軽さを出すためにも好都合。素材は光沢感とハリ感をそなえた厚みのある生地で透ける心配もなし。
デニムを都会的に見せる「ひかえめなブラウンチェック」

ブラウンジャケット 141,900円/JOSEPH(ジョゼフジャパン) ピンクシャツ 54,780円/サヤカ デイヴィス(ショールーム セッション) デニムオーバーオール 29,700円/ウィム ガゼット(ウィム ガゼット ルミネ新宿店) サングラス 21,800円/CARIN(WTSROOM) バングル 44,000円/サスキアディツ(ハウス オブ ロータス 二子玉川店) バッグ(4月発売予定) 44,000円/VASIC(ヴァジックジャパン)

オーバーオールを大人っぽく着るのにてっとり早い紳士なジャケット。ハードな色落ちデニムにあせたブラウンでトーンをそろえると、真逆なテイストのアイテムどうしも無理なくなじむ。ピンクシャツは、ボタンをざっくり開けて抜け感を。
黒のベロアにローズのプリント

ミリタリーパンツ 17,600円/Higuchi Kaori × Spick & Span(スピック&スパン ルミネ有楽町店 黒ベロアジャケット 99,000円/CABaN(キャバン 丸の内店) 中に着た黒キャミソール 2,990円/Gap 黒ミュール 990円/GU
なめらかな黒のベルベット生地に小さなローズを散りばめたジャケット。ラバープリントのひかえめな立体感がシックな黒に映える品のいい遊び心に。ゆったり羽織ってもだらしなく見えない、スタイルがキレイに見えるよう計算された仕立てもポイント。
大人っぽくて可憐「甘くない」花柄

黒Tシャツ 6,270円/GISELeオリジナル 花柄スカート 25,300円/THE SHINZONE(Shinzone ルミネ新宿店) ハット 24,200円/Lack of Color(ジャック・オブ・オール・トレーズ プレスルーム) サンダル 29,700円/TSURU By MARIKO OIKAWA
イエローの小花を散りばめた、微フレアのロングスカート。花柄の隙間からのぞく深いダークグリーンが、鮮やかなイエローを糖度ひかえめに落ち着かせてくれる。軽やかな素材が動きに合わせてふわりとゆれ、総柄を気張って見せないやさしさを演出。
小花柄の甘いブラウスもちょうどいいバランスに

カーキチノパンツ 36,300円/ナイジェル・ケーボン ウーマン(アウターリミッツ) 花柄ブラウス 15,400円/ガールズソサエティ バッグ 37,400円/Archivépke ブーツ 21,890円/A de Vivre
装いに華やかさまで加えてくれる、そで口フリルの総柄ブラウス。白とピンクの愛らしい色に振り切っても、ドライなパンツのおかげで糖度ひかえめに落ち着ける。
合わせやすい「ベージュ軸のレオパード」

レオパード柄スカート 42,900円/THIRD MAGAZINE 眼鏡 39,600円/プロポ(プロポデザイン) シューズ 44,000円/DOUBLE STANDARD CLOTHING(フィルム)
イメージよりも強く見えてしまいやすいアニマル柄だから、マイルドに使えるシルエットと色みを重視。しなやかなマーメイドフォルムで印象を穏やかに。なじみのいいベージュがベースアニマル柄なら、存在感を落ち着かせながら欲しいキレだけを発揮できる。
黒タートルを着飾るエアリーな柄ブラウス

黒メリノリブタートルネックセーター 2,990円/UNIQLO 黒チュールブラウス 16,940円/MAISON SPECIAL(メゾンスペシャル 青山店) ブルーデニムパンツ 27,500円/WOADBLUE(ヤマツゥ) シルバーリング 15,400円/Jouete 黒ローファー 16,390円/A de Vivre
わずかに色みが異なる2種類のチュールで仕立てることで、単なる透け感にならない独特な奥行きをメイク。加えて、エアリーなラッフルスリーブやフロッキーのドット柄が、唯一無二の立体感を表現。前後2WAYで使え、かぶるだけじゃなく羽織りとしても着られる使い道の多いデザイン。
クリアな白でリアルに総柄

白シャツワンピース 37,400円/Graphpaper(グラフペーパー 東京) ワンピース 24,200円/LUSANA(ショールーム ロイト) バッグ 11,000円/AKTE ミュール 35,200円/L’unique et moi(TOKEN)
ムードを変えたいときに即効性のある、総柄ワンピースは薄着の季節こそ頼りになる。アウターみたいに白のロングシャツを羽織るだけで、柄のインパクトを和らげつつ大人っぽくとり込める。ブラウン系の小物で深みを加算。
主張をおさえた「小さな花柄」

赤×アイボリー花柄ワンピース 29,700円/ヌキテパ(パサンド バイ ヌキテパ) 腰に巻いた赤スエット 23,100円/SEA(エスストア) サングラス 42,900円/プロジェクトプロダクト(エディット フォー ルル) 赤ソックス 2,640円/HOiS UM バッグ 8,590円、ミュール 7,990円/ともにザラ(ザラ カスタマーサービス)
やわらかいコットン素材のワンピースに行儀よく並べられたボルドーの小花柄。甘さとはちがう抜け感をつくる、インド綿にプリントされたアーティな模様。五分丈のそでや高めのウエスト位置からドラマチックに広がるフレアシルエットなど、着るだけで品のいいなつかしさを身にまとえる1枚。
【3】「華やぐ柄を上手に着る」スタイリストのテクニック
見た目はもちろん、さらに「使える長所」がある柄とはどんなもの? 「ほどよさ」のあるスタイリングで人気のGISELeスタイリストたちに、その選び方やテクニックを聞き込み。柄を上手に着るために、またこれから着たい柄探しに役立つ、コーディネート図鑑。
ラフなショートパンツを「正す」

シャープな柄でスパイスを効かせて、カジュアル以上でメンズライクなムードに。「くすんだ赤をベースに細い白が入ったストライプ。白が入っていることで重く見えずヴィヴィッドカラーながら爽快な仕上がり。メンズサイズならではのシルエットの余白を生かせば羽織りとしても、ショートパンツにも、細身のボトムにも万能かつ、着方の幅も多く見込める」(樋口さん)
白Tも華やぐキャッチィな花柄を主役に

「動きを制限しない、ストレスフリーなとろみパンツこそ、カラフルな柄がお似合い。コントラストの強い柄なら、ゆるい形でもすっきりとした印象。ふれるだけで満たされる気持ちいいストールも相棒に」(渡邊さん)
デニムを高めるモノトーンの花柄

「ブルーデニムと白いTシャツ、のように思い浮かぶ組み合わせが多いブルーデニム。その1つとしてとり入れたいのが、ヴィンテージライクな花柄のワンピース。冷静さを保てるモノトーンベースと、デニムを重ねるひと手間。その2つを押さえれば、ガーリーなドレスも味わい深く」(樋口さん)
旬の色をまとったボーダー

「好感度の高いボーダーで旬の色を投入。グリーン系をはじめ、イエローやブルーの旬色が多彩。カラバリの広がりというより、ベージュがかったイエローや青空のような鮮やかなブルーなど、ニュアンスの違う色みに注目」(高木さん)
街に合うカラフルな花柄

「陽気にまといたいカラフルなフラワープリントは、なつかしくあせたようなヴィンテージ風の色みやパターンを選択。きちんとしたシャツ、あるときはTシャツ&サンダルで着くずしたりと、まずは「仕上げたいイメージに沿った白」を合わせて軽快に装って」(高木さん)
+スウェットのワントーンで柄のインパクトを分散

「総柄だけど形はシンプルだからレイヤードもしやすいマキシワンピ。コットンなど、ラフな素材ならスエットやデニムにも合わせやすくて簡単。発色のよさも手伝って、辛口派にもとり入れやすい甘さに」(樋口さん)
「しっとりとした素材で」夏の柄

「やわらかく、上質な風合いに動きをつけることで生まれる女らしさが、リゾート柄を都会っぽく見せてくれます。シャツならどんなにくずしてもきちんと感が残るので、バランスもとりやすいはず」(樋口さん)
「暗色ベースで」フルーツ柄

「モチーフ自体に遊びがあるぶん、ベースカラーは黒やネイビーなど落ち着く色で、柄の色づかいや大きさも、ひかえめなものを選択。ノースリーブやデコルテを見せるシャツなど、肌で抜けを出せるアイテムでとり入れるのが正解」(高木さん)
黒とベージュのストライプパンツ

「見た目が締まる太い縦のライン。肩のつなぎ目を排除した、なだらかな白Tのシルエットが相まってモード一歩手前に着地。サテン風の上質な落ち感や、ニュートラルなベージュが入っているのも緊張感がほぐれる要因」(樋口さん)
心地のいいストライプパンツでジャケットを気負わず仕上げる

「色によっては強くもなりかねないストライプを、春めいたやさしいペールカラーで脱力。さらりとした薄手の生地とワイドなシルエットも手伝い、正統派なジャケットでもリラックス」(樋口さん)
「メンズ」のボーダー

女っぽく見せるため 手首の細さを引き立てるルーズなボーダー柄トップスを。「定番もサイズ感を変えることで今っぽく。ウエストにINしてできる腰まわりの余りも、メンズサイズならでは。デニムはラフに穿いて、袖をたっぷりたくし上げることで、力の抜けた雰囲気を演出。小物は黒で引き締めつつ、全体のバランスを調整」(樋口さん)
「浮かない甘さ」という理想のバランス

「コンパクトなトップスを合わせるのはもちろんのこと、ボリューミーなサイズ感のトップスが全盛の今は、フレアスカートもIラインにほど近いシルエットが好都合」(岩田さん)
配色も丈も涼しげなパンツで黒の長そでに季節感を投影

「さわやかさを満喫できる、白×ブルー配色。幼くなりかねないアイテムだから、シックな黒とゴールドが効いたアクセがわりのバッグでエレガントな要素を加算」(樋口さん)
白も間延びしない縦に流れるストライプの視覚効果

「直球カジュアルなタンクとデニムに羽織るだけできちんと感、さらに白のワントーンも整った見た目に仕上げてくれる、ストライプのシャツワンピースは重宝」(渡邊さん)
正統派こそサイズ感でゆるめる

きちんと感のあるストライプシャツも、サイズ感をゆるめて羽織ることで、かしこまりすぎず自然体なムードに。「ボリュームのあるロングスカートと合わせれば、動きや空気感が生まれて、リラックスした印象に。足元はナチュラルなサンダルで抜け感をプラス。ベージュのワントーンでまとめることで、シンプルなのにどこか女性らしさと品の良さが漂う、頑張りすぎない余白のあるスタイルが今の気分です」(樋口さん)
細かなモノクロギンガム

「黒ニットから浮かない無地に近いチェック柄。遠目だとグレーにも見える、細かい黒白チェック。ショート丈の黒のカーディガンと合わせても、柄が主張しすぎないことでガーリーに偏らない」(渡邊さん)
「ワントーンで」柄と色

「カジュアルにもシックにも終わらせない、バルーンスカートの個性。歩くたびにゆれるスカートのフォルムがシックなトーンに遊び心をもたらして、シンプルなのにドラマチック」(樋口さん)
カジュアルな白と気高いチェックで 自由度高くレイヤード

「これからの季節のチェックジャケットは、クラシック以上のテンションの上がる何かが必要。たとえば白とグリーンがおりなす爽快な配色で。白デニムとならくどく見えない」(樋口さん)
レトロに振り切ったジャケットを堂々と

「そのぶんほかはシャープに徹して。デニムをはじめ、シンプルなボトムに相愛な派手柄。ときにためらいがちな甘い柄も強気な柄をならすべく、トーンをそろえてフラットに着こなすのも一手」(樋口さん)
ポップな配色をモダンに寄せる

「タイトスカートを仕込むだけではやや単調。色も素材も同じカーディガンを腰巻きし、シャープなIラインに抑揚を。モノトーンとブルーの対比がどこかモード」(樋口さん)
ネイビーの知性とギンガムの甘さ

「幼さや可愛さが先行しがちな柄も、ネイビーをを合わせることで大人っぽさをキープ。配色で柄を落ち着かせることで、派手に見えず、むしろ知的なムードに。胸元のスクエアネックからのぞく肌も、絶妙な「抜け」の役割。視覚的にも印象が引き締まり、柄もすっきり映える。すそのボタンを2つ開けたルーズな着方も理由の1つに」(樋口さん)