スタイルを決定づけるうえで、髪も大事な要素のひとつ。ストレートかウェーブか、質感はドライかツヤか。髪のニュアンスだけで見違えるアイディアや「毛先からつける・毛束は均一にしない」など、明日から早速試せて完成度が上がるテクニックを聞き込み。
(CONTENTS)
【1】 ラフでキレイな「アップヘア」の作り方
【2】 「作りこんで見えない」ニュアンスヘアの作りこみ方
【3】 「 飾らないまとめ髪」のテクニック
【1】
ラフでキレイな「アップヘア」の作り方
服やメイクの調整役ととらえることのできるアップヘア。強さのある仕上がりか、可愛く仕上げるか。求めたいイメージ別に、結ぶ位置やおくれ毛の出し方など、知っておきたいテクニックをご紹介。
(ヘアメイク・塩沢延之さん)
mod’s hair所属。表紙をはじめ、GISELeのファッションページのヘア&メイクを多数手がける。飾らないのにカッコいい女性像に落とし込む足し算・引き算のバランスが絶妙。
【まず知っておきたいポイント】
ラフなおだんごは「横から見たときのシルエット」が大事
「結ぶ位置やおくれ毛の生かし方も大事ですが、僕がいちばんこだわっているのは後頭部のシルエット。実はどちらのスタイルも、ハチ下の毛束を三つ編みにしてピンでとめて頭に固定し、上から髪をかぶせているんです。
そうすると、うなじからおだんごまでの間に一段分の緩急がついて美しいシルエットに仕上がります。毛先に動きをつけてラフにつくっていながら、ちゃんとオシャレが行き届いているように見えるのは、後頭部を立体的にして、だらしない印象を払拭しているからです」(塩澤さん)
【SIDE-A】
イメージはシャープでカッコいい女性
「鮮やかなイエローニットを大人っぽくシャープに見せるべく、一つ結びの位置は頭のてっぺんではなく、やや後ろ位置に。そうすると自然と目尻が後ろに引っぱられて、表情までもキリッとしたものに。はっきりとしたアイブロウや強めのアイメイクがよく似合うようになります。
コームでとかして顔まわりの毛流れをキレイに整えたのもポイント。オイルやグリースを活用して産毛が目立たないようにタイトにまとめたら、額の四角い形が強調されてクールで媚びない見た目に仕上がります」(塩沢さん)
FRONT
BACK
イエロートップス 17,600円/TSURU By MARIKO OIKAWA
1_N. ポリッシュオイル 150mL 3,740円/ナプラ パサつきや広がりが気になる髪にうるおいとツヤを与える。 2_N. オム アクアグリース 100g 2,200円/ナプラ のびがよく、タイトからウェーブまで幅広いアレンジに対応。(ともにサロン専売品)
【HOW TO STYLING】
①ベースは「手ぐしで髪の絡まりをほぐしたら、1のオイルをつけていく。髪を根元から3分割にし、毛先からまん中にかけては軽め、ハチから根元にかけては多めに塗布。根元は2のグリースを混ぜ、耳横の髪の色よりもワントーン暗くなるように濡れ感を加える。毛先からオイルをつけるのがポイントです
②濡れたようなツヤを仕込んだら、コームで毛流れをキレイに整える。あごと両耳の上を結ぶラインの延長線上、ゴールデンポイントと呼ばれるところで一つ結びに。毛先が前になるように結び、立体感と動きをつけながら好みの形に整えてピンでとめる。
【SIDE-B】
イメージはヘルシーで自然体な女性
「こちらは、着くずしたシャツとムードを合わせて、カジュアルな一つ結びに。上のAパターンとは違い、頭のてっぺんで髪を結んでいるから目元が引っぱられることなく、やさしい印象に仕上がります。シーミストスプレーを使ってドライな質感にして、おくれ毛などのニュアンスを出したところもポイント。
額の四角い形がきわ立つようにタイトに整えた〈右〉に対して、このLOOKでは額の生えぎわの産毛を薄く引き出しているんです。額の両サイドに産毛を残したことで、顔の輪郭をたまご形に見せられて、かわいらしさを上乗せできます。ヘアにラフさとほどよい甘さを共存させたら、テーマ性が出やすい赤リップも気取らず、ヘルシーに楽しめますよ」(塩沢さん)
BACK
SIDE
黒シャツ 45,100円/フランク&アイリーン(LITTLE LEAGUE INC.)
S&L シーミストスプレー N(シーソルト&ラベンダー) 2,750円/ジョンマスターオーガニック 海から上がったあとのような無造作感を演出。保湿しながら、自然なボリュームを与えてマットな質感へ。
【HOW TO STYLING】
①まずベースですが、髪の毛をねじりながら巻くツイスト巻きに。コツは毛束を均一にとらないことです。少ない毛束で巻いたところと多めの毛束で巻いたところをランダムにMIXすれば、気張った感のないカジュアルな見た目に。ブラッシングをしてウェーブをほぐしたら、シーミストスプレーを全体に振って。
②ドライなウェーブヘアをつくったら、手ぐしで髪をまとめ、頭頂部でゆるいおだんごに。毛先が前になるようにヘアピンでとめ、ニュアンスをつける。正面から見たときに輪郭がたまご形になるように、額のサイドから薄く毛を引き出したら完成。
【2】
「作りこんで見えない」ニュアンスヘアの作りこみ方
使うヘアスタイリング剤やベースはアップヘアと同じで、変えるのは「方法」だけ。ダウンヘアで2つのイメージ別に、自然なニュアンスのあるヘアスタイルの作り方をご紹介。
【SIDE-A】
イメージはシャープでカッコいい女性
「こだわっているのはオイルのつけ方。根元部分は髪色が暗く、毛先に向かって明るくなっていると気づくはず。それは、根元からハチにかけてはオイルとジェルのW使いでしっかりツヤを出しているから。
濡れると暗く見えるという光の性質を利用して、毛先にかけてオイルの量を減らしていき、明るいトーンを保って意図的にグラデーションをつくっています。そうすることでできた色ムラが、抜け感を演出するんです」(塩沢さん)
1_N. ポリッシュオイル 150mL 3,740円/ナプラ パサつきや広がりが気になる髪にうるおいとツヤを与える。 2_N. オム アクアグリース 100g 2,200円/ナプラ のびがよく、タイトからウェーブまで幅広いアレンジに対応。(ともにサロン専売品) 白Tシャツ 7,150円/ローラス(ジャック・オブ・オール・トレーズ プレスルーム)
【HOW TO STYLING】
①手ぐしで髪の絡まりをほぐしたら、1のオイルをつけていく。髪を根元から3分割にし、毛先からまん中にかけては軽め、ハチから根元にかけては多めに塗布。
②根元は2のグリースを混ぜ、耳横の髪の色よりもワントーン暗くなるように濡れ感を加える。毛先からオイルをつけるのがポイントです」(塩沢さん)
【SIDE-B】
イメージはヘルシーで自然体な女性
「ウェーブヘアのポイントは、ずばりキレイに巻かないこと。不均一なカールを作ってくせ毛っぽく見せています。エアリーな髪と相まってラフに見えるメイクですが、ルーズな印象に傾きすぎないように工夫しています。
クマをきちんとカバーしたり、日焼け風にチークを入れてヘルシーだけれど上品な血色を表現したり……。どんな女性像に近づきたいか、服をどのようにテーマづけるのかを決めたら、ヘアとメイクの双方を足したり引いたりしながらつくると、バランスのとれた仕上がりになると思います」(塩沢さん)
S&L シーミストスプレー N(シーソルト&ラベンダー) 2,750円/ジョンマスターオーガニック 海から上がったあとのような無造作感を演出。保湿しながら、自然なボリュームを与えてマットな質感へ。
【HOW TO STYLING】
①髪の毛をねじりながら巻くツイスト巻きに。コツは毛束を均一にとらないこと。少ない毛束で巻いたところと多めの毛束で巻いたところをランダムにMIXすれば、気張った感のないカジュアルな見た目に。
②ブラッシングをしてウェーブをほぐしたら、シーミストスプレーを全体に振って完成。
【3】
「 飾らないまとめ髪」のテクニック
使うのはヘアゴムやヘアピンだけ。服に応じて変化をつけつつ服を引き立てる、塩沢さんの飾らないヘアアレンジテクニックをご紹介。
赤ニットと重めボブ
「白ソックスにローファーを合わせる女性が赤ニットを着るなら?をイメージし、少し少女感を残そうと思いました。ドライなヘアであえて整えていないボリューム感を。ジョンマスターオーガニックのS&L シーミストスプレー Nは、ボリュームとマット感が自然に出るのでオススメです」(塩沢さん)
海外SNAP風ハーフトップノット
「コンサバにならないよう、メンズっぽいカジュアルにくずせるアップスタイルに。通常はゴールデンポイントに向かって毛流れを整えますが、このときはほぼ真上に直線上に毛流れを持っていくことでマニッシュさを表現したのがポイントです」(塩沢さん)
「洗練」だけが正しいとは限らない
「ケーブルニットと眼鏡のやぼったいかわいさを引き出すのに、そのまま前髪を下ろすとやや退屈。サイドにクセをつければ、丸眼鏡に似合うねらいどおりのやぼったさに」(塩沢さん)
「ポニーテールの高さ」と「ヘアゴムの有無」
結ぶ位置が高いほどカジュアル、低いと落ち着きがあってクラシカル。高めに結ぶことで目尻が引っぱられるので、表情まで自然とシャープに。髪の質感がウエットかドライか、ヘアゴムを目立たせるかなじませるかでも見え方が変わります。
右のように「ドライヘア+ヘアゴムを見せる」だと無造作感が出るし、中央のように「ウエットヘア+髪を巻きつけてヘアゴムを隠す」アレンジだと、タフな女性像を演出できます(塩沢さん)