普通のシャツなのにどこが違う? 人気スタイリストがよく使う「オシャレが上手くなる」簡単テクニック


1枚で・羽織りで。今季はTシャツにならぶオシャレの軸として活躍する、コーディネートに何かと都合がいい白のビッグシャツ。ときにカジュアルに、ときに女っぽく。自身もシャツ好きという人気スタイリスト・樋口かほりさんによる常識にとらわれないシャツの着こなしアイディアをご紹介。


【樋口かほりさん】

表紙や特集を担当する人気のGISELeスタイリスト。トレンドに流されないシンプルな服を基調としながら、新しさを感じさせるシルエット選びが得意。大人に適した甘さのさじ加減も絶妙。



(CONTENTS)
【1】白シャツの選び方・合わせ方
【2】シンプルでも「着こなしが可愛くなる」テクニック
【3】どこまでも着回せるビッグシャツと着回しの実例集
【4】「普通過ぎない」シンプルなシャツの新名品




白シャツの選び方・合わせ方

何を選んでどう合わせる? 樋口さんいわく「白シャツは難しい服」。コーディネートに都合のいい白シャツとその着方のテクニック、そんな白シャツにぴったり似合うボトムを樋口さんの解説でご紹介。




「たるみのあるシャツ」がオシャレに好都合

「そでや肩が落ちるような柔らかな素材とビッグシルエットのいい関係。まじめなイメージの白シャツこそ大胆に着くずしを」(樋口さん)




不規則な白シャツの強さも保てる「甘くないピンク」

「見慣れた白をキャンバスに見立て、色を乗せていくことをイメージすれば鮮やかな色も身構えることなく、もっと自由に向き合えるはず」(樋口さん)




大きな白をキャンバスにタイトなニットボトムを

「そでもえり元もボタンを開けて、肌やインナーをのぞかせたダイナミックな着くずしも、この2色なら品を保てる」(樋口さん)




シンプルで今どきの形。 最も頼れるベーシックな1枚を

「時代も性別もすべて超えて共有できる、白シャツが持つ清潔感。色を足したり、重ねたり。さらにはすそをひねったり、そでをまくったりと、夏へ向けて新たに表情を変えやすい1枚を」(樋口さん)




サイズだけをゆるめたパリッとした白シャツ

ワントーンに動きをもたらす。ざっくりと開いたネックライン。「キレイな人、を印象づけるALLホワイト。ともするとぼやけて見えてしまうこともある懸念は、パリッとした白シャツ1つ入るだけでうまくいく。着くずしによってのぞく肌もスタイリングの一部に。シャツよりワントーンくすんだようなパンツの選びも、ALL白を退屈に見せない秘訣」(樋口さん)




まじめなシャツをふまじめにまとう

【まじめなシャツをふまじめにまとう】自由度の高い着方こそ大人びた配色で。タンクトップとリネンパンツという力の抜けた上下に、オーバーサイズの白シャツをラフに重ねる。素材やシルエットではラクしても、風格のある3色を選ぶことでねらいどおりの奥行きが完成。

「自由度の高い着方こそ大人びた配色で。タンクトップとリネンパンツという力の抜けた上下に、オーバーサイズの白シャツをラフに重ねる。素材やシルエットではラクしても、風格のある3色を選ぶことでねらいどおりの奥行きが完成」(樋口さん)




正統派な白シャツを品よく飾るブラウンの小物

「ネックラインやすそやそで。よく見るとシャツに多く存在する「隙間」。そもそも抜けのある白ならなおさら。究極のシンプル服=シャツやTシャツの装いを格上げしてくれる。シャツを上質に見せてくれる深みのあるレザーの風合いも重要」(樋口さん)




インナーは形というより素材の薄さが重要

「端正な白シャツのよさを生かすために、中に着るトップスは白やベージュなどの白になじむカラーを選択。メンズライクな大きめシャツに白Tを合わせるときには、形というより素材の薄さが重要。女性らしいニュアンスを残してバランスが整い、首のつまった白Tでも重く見えません」(樋口さん)




軽い白シャツこそ「着方で重みを出す」

ロールアップで生まれる「フォルムの重み」

「着るだけでさまになる」白シャツは「着方を楽しめる」のも長所。計算された着方があって、はじめて絵になるのも王道の白シャツならではの魅力。

「肌を生かして」えりは詰めて・すそでさらなる重みを

「きっちり折り返したそでのロールアップに、腰位置でギュッとさせたすそ結び、えりは潔く立てて。ただの白シャツに見せない「つくり込んだ重み」が、シンプルなスタイリングのスパイスに」(樋口さん)




手首だけ無骨に「ジュエリーの重み」

アクセは「ちりばめず手元に集めて」オーバーシャツに負けない存在感を

「バランスよくいろいろちりばめるとかえってふつう。目を引く無骨なジュエリーを「手首だけに」のアンバランスを楽しんで、大人の余裕も感じさせて」(樋口さん)




「ボタンをはずして着る」メリット

シャツをOUTして着るときに、前ボタンを思いきりはずして動きを出せば、だらしなさとは無縁に。女らしさだけでなく、抜けも見込めるスリットのようにとらえるのも手。



上はとめて下ははずしてリズムをつくる




デニムを退屈に見せないために

「シャツをOUTして着る場合、ボタンをはずしてスリットがわりに見せることで、縦が自然に強調される。ウエストラインまではずすことで動きを出しやすいので、ボトムは「見せてかわいい」ハイウエストのものをとり入れて、スリットを深くするのがオススメです」(樋口さん)




シャツをOUTしてボトムにツヤを

女っぽくしたいとき、単純にシルエットを強調するのはつまらない。異なる素材やストンと落ちるボトムのデザインでも抑揚を。



華やぐスカートはクールな色で




隙のある白とツヤのある黒




落ち着く色みでほのかな光沢

「シャツのすそをOUTすると、よりメンズライクに見えるので、ツヤのある素材でレディな印象をプラス。ボトムは落ち感のある長めの丈を選び、シャツから流れる曲線美を意識」(樋口さん)




シャツの印象が変わる「隙間を飾って埋める」アイディア

えりを抜いたり、すそやそでのボタンをはずしたり。よく見るとシャツには「隙間」が多くある。無防備な状態のままにしない。間を見つけて、飾って埋める、8つのアイディア。



ベルトループの隙も見逃さない

「余ったすそをくるっと巻く。さらに余った部分をデニムのベルトループに通し、ウエスト部分をセルフデザイン」(樋口さん)




メンズサイズは「肌感」で飾る


「ビッグシャツの隙間からふいにのぞく、デコルテの不確かな色っぽさ。甘さはフリルやスカートなどわかりやすいアイテムで演出するよりも、メンズライクなものをベースにしたほうが気恥ずかしさも紛れやすい。体が泳ぐシルエットによって華奢な体も想像しやすく」(樋口さん)




「ネックラインに沿わせるように」チョーカーを

「ノーカラーにもの足りなさを感じたとき。ネックラインをなぞるようにチョーカーを添えて、ささやかなドレスアップを」(樋口さん)




「もう1つのえり」として柄スカーフ

「ざっくり開いたデコルテにネックレスもいいけれど、「服の一部」のように主張するスカーフを仕込み、わかりやすい変化を」(樋口さん)




すその下に隠れたメッセージ

「キャッチーな見た目に惹かれるものの、子どもっぽさは避けたい「ロゴ」問題。端正なシャツでおおって存在感をセーブ」(樋口さん)




小さな黒で知性を飾る

「ルーズなシャツが無条件で引き締まる、シンプルで小さな知的な黒。どんな色のシャツにも対応できる万能性を発揮」(樋口さん)




ラルフローレンが似合うメンズがヒント

「シャツの着こなしは、ラルフのメンズのルックに出てきそうなスタイリングをイメージするのもいいと思います。合わせた眼鏡はセリーヌで購入。黒は強いかな?と思ってネイビーに。ヘアが適当なときや服がごくシンプルな日もこれ1つでもつ。バッグに入れておくとなんとなく落ち着きます」(樋口さん)




首を覆うトップスを仕込んで立体感を

「たとえばオーバーサイズのシャツを利用して、コンパクトなタートルを仕込み、奥行きを。寒暖差が気になる時季にも使いたいライトなレイヤードテクニック」(樋口さん)




白もぼやけない「ニットとニットの間にシャツ」

「カーディガン+白シャツだけだと少々退屈。ケーブルニットのイメージを塗りかえるかのように、白に白を重ねてベーシックの刷新を。ニットは外は厚め・中は薄く」。その間にシャツを挟んで。オフ白、純白など、白の微差を駆使して奥行きを意識し、パリッとした白シャツのえりをわざと雑に立ててくだけた印象に」(樋口さん)