「気張ったオシャレは苦手」なご自身の私服にも通ずる、「着心地も見心地も疲れない」ことが必須条件。その中から、あらためてレザーを気楽に楽しめるアイディアを人気スタイリスト・樋口かほりさんに教えてもらいました。
(樋口かほりさん)
毎号表紙も担当するGISELeの看板スタイリスト。大人に似合うカジュアルをモットーに、リアリティのあるアイテム選びの提案と肩の力を抜いて着られる、シンプルカジュアルなスタイリングは毎号多くの反響が。
私物公開「レザーアイテムの一軍」
今シーズン再び注目しているというレザー、実際に愛用しているアイテムをご紹介。トレンドに関係なく、飽きずに長くつきあえるリアルな視点が参考に。
秋を待ちわびて先取りしていたレザー
以前から気になっていた、カラバリが豊富にそろう「MARTINIANO」のレザーパンプス。夏はビーサンばかりなので、秋冬のために先取りしていたもの。ローヒールかつ、やわらかいレザーだから、最近はスニーカーぐらい気楽にはいています。
レザーのミニは古着で探す
中途半端な丈やゆとりがあると脚が太くみえがち。昔のほうが形が潔くコンパクトなため、レザーのミニスカは古着屋で購入します。特に「原宿シカゴ」は安いうえ常にストックしている印象。なので買いかえるときはチェックします。
ラフなヘアほど生きてくる飾り
スエットやTシャツなど気楽なトップスを着ることが多いのでヘアも自然とナチュラルに。ただきちんと感は大人に必要だから、レザーのヘア飾りで少量足すぐらいが好きなバランス。シュシュは「H&M」、ターバンは「ROKU」のもの。
定番こそ妥協のない「いいもの」を
10年ほど前に購入した「Acne Studios」のライダースジャケット。長く使える定番アイテムはちょっといいものが欲しいと思い、小さすぎず大きすぎない理想的なサイズ感の1着を見つけました。Gジャンがわりにラフに着ることが多い。
使える「ベーシックな服」の選び方
柄やキレイな色を上手にとり入れるためにも必要なのは「オシャレの引き出しが多い」ベーシックアイテム。その選び方や活用法などを樋口さんに取材。(※クレジット表記のないものはすべて樋口さんの私物です)
コンパクトなニットはそでを長くアップデート
THE NEWHOUSEで買ったカシミヤニット。長いそでなら1枚で着るときはくしゅっとまくり、重ねるときは意図的にのぞかせてアクセントにもできるので重宝」(樋口さん)
まさにラルフローレンが似合うメンズがヒント
「コクのあるベージュだから、柄をはじめキレイな色とも合わせやすい。ラルフのメンズのルックに出てきそうなスタイリングがイメージです。シャツのパッチと色リンクしたネイビーの眼鏡で知的に装うのもあり」(樋口さん)
「季節を問わずに活躍する」メンズのケーブルセーター
「レディースのオーバーサイズとはまた違う、気の抜けたルーズなシルエットと肩の落ち感はメンズニットにしかない。オールホワイトのコーデにとり入れた、女性らしいのにラフなスタイリングがとくに好きです」(スタイリスト・樋口かほりさん)
年中定番=デニムに近い存在
「同じくポロ ラルフローレンのチノ。ベージュの気品を頼りに、デニムよりも少しだけ背伸びしたいときにも有効。ベージュのチノパンの色は浅いものでなく濃度を少し増したような、キャメルに近いコクのある色味が合わせやすい」(樋口さん)
あらためて501®が新しい
「フレアやワイドも旬ですが、王道のストレートがかえって新鮮かつハズれもない。秋冬はコートやトップスなど上にボリュームが出るぶん、シルエットはストレートががバランスもとりやすく出番も増える」(樋口さん)
マザーのアイスブルーのデニム
「冬だけでなく春も夏も日によっては、上はタンクや白T、下はデニムにショートブーツ、という着こなしも好きなのでブーツに合うことも選びの基準。デニムの色みは極力軽く、足元の重みをカット。すそを細めにした丸みのある形がポイント」(樋口さん)
どちらか1つあれば格が上がるわかりやすい正統派
「たとえばTシャツにスエットぐらい気の抜けた組み合わせでも、この紺ブレか時計のどちらかがあれば、それだけで「考えられたテイストMIX」に。あれこれ考える余裕がないときに頼れる存在」(樋口さん)
インナーが響かないオーバーサイズ
「ユナイテッドアスレのもの。スウェットはレイヤードに向く余白のあるシルエットを選ぶのが基本。着たときにちょっと大きいかな、と思うくらいでOKです」(樋口さん)
「ATONのオーバーサイズスウェット。ふだんメイクがナチュラルなので、さりげなく顔まわりに色が足せる役割としても重宝。とはいえデザインが少しでも入ると甘く転ぶので、メンズライクなBIGスエットでとり入れるのが簡単」(樋口さん)
シーズンを問わずに愛用している小物
ベーシックな服に合わせるのもベーシックな小物。見た目はそうでも「合わせやすいから長く使える」理由のある小物たちにフォーカス。
ヘアスタイルが決まらない日に
「セリーヌで購入。黒は強いかな?と思ってネイビーに。ヘアが適当なときや服がごくシンプルな日もこれ1つでもつ。バッグに入れておくとなんとなく落ち着きます」(樋口さん) 眼鏡/樋口さん私物
肌ざわりも最高の「ラウンジレイ」のニットストール
「ニットストールは小物というより服のような存在。配色の幅も広く、引き締まって見えるチャコールグレーがおすすめ」(樋口さん)
白T+デニムでもこの1足で安心できる
「ラフなスタイリングでもスエードの重みを効かせれば十分“もつ”。普通のデニムとニット、夏は白T+白やベージュのパンツに添えてマイルドな配色でまとめるのが気分。軽快に見せたいから、くるぶし丈のパンツに合わせたくなります」(樋口かほりさん)
ありそうでなかなかない色
「ネブローニのパンプス。新品で出会えない古着屋にありそうな赤が気に入ってます。色みや素材次第で子どもっぽく見えることもある赤パンプス。上品な赤と「コレ」という出会いはなかなか無いので、そのときは迷わず買います」(樋口さん)
ボトムを選ぶ基準「ベストな丈感」はローファー基準で決める
「女っぽすぎず、カジュアルすぎずでちょうどいいローファー。パンツはスキニーやストレートに関わらず、ボトムの丈は、ローファーを履いてソックスの見え方もバランスよく仕上がる、足首が出るくらいの長さがベスト」(樋口さん)
買いかえる前に
「左はBrift Hという靴磨き店のレザーケアグッズ。もうはけないとあきらめる前に試してほしい。右は「浅草アートブラシ」の毛玉取りブラシ。感動するぐらい取れる!」(樋口さん)
迷わないために「アクセのワードローブ」を用意する
A. ベースとなる1軍 B. 気分によって加えるインパクト
「Aは私にとって服も季節もシーンも問わないTHEスタンダード。これをベースにBIGモチーフなど主張が強めのBを気分によってプラスしたり差しかえたりして手元をコーディネートしています。テンションの異なるたくさんのアクセから決めるより、こうすることで出かける前の「アクセ選び」の時間も省けます」(樋口さん)
さし色にもなるブラウンを
「TORY LEATHERのブラウンベルト。引き続き短めなトップスが豊富。そんなトップスを合わせるときにも、ベルトがあるだけで行き届いたベーシックスタイルに。白ボトムやデニム、淡い上下の服にもブラウンは好相性」(樋口さん)
カジュアル度の調整役
ネイビーヘアバンド SOPHIE BUHAI/本人私物 「デニムとTシャツやニット、というごくシンプルなスタイルに足りない女度はカチューシャで調整することが多いです。ネイビーのトップス+デニムに合わせて、グラデーションをつくるとステキだと思い、ネイビーを買い足しました」(樋口さん)
迷ったら「角のある小さな黒か白」を
「どちらもカチッとしたフォルムだから、ややゆるめのトップスと合わせてバランスをとることが多いです。たとえばリラックスしたシルエットの柄の服を着るときの引き締めにも、かっちりとした白と黒小物は便利。フェンディのバッグ(右)はゴールドも相まってエレガントなので、ロゴTなどカジュアルな服とのスタイリングに」(樋口さん)
欠点のない白・黒バッグ
「バッグは、どんな服にも合う「黒か白」の少数精鋭。どんなスタイルにもどちらかが必ずハマるのでよく似たフォルムで2色をそろえることも。仕事の日は、いろいろな古着や雑貨屋さんで調達して集めたトートと併用して使っていて、コーディネートルームからのちょっとくらいの外出なら、目的に合わせてどちらかだけを持って出かけたりしています」(樋口さん)
スニーカーは「ボリュームのない形」がベスト
「フルレングスのボトムからのぞく程度の、「主役にならない」バランスが好きなので、基本ソールが薄いローテクばかり。なかでもマニッシュな雰囲気ではける、白か黒が気分。レトロなワンピースなど服と靴のテンションをズラして着たいです」(樋口さん)
「このComme des Garçonsの白スニーカーはムダなデザインがなく、いい意味で本当に普通。ずっと飽きもこない毎年、毎シーズン履き続けている最も頼れる1足です」(樋口さん)
「昔からずっとスタイリングでも使っているスニーカー。メンズ寄りのデザインと、モノトーンでシンプルなデザインがお気に入り」(樋口さん)
キレイ色なら「ローテクかつクラシカルなデザイン」
スニーカー 15,400円/アディダス(アディダスお客様窓口) 「ほかのアイテムとの組み合わせに悩まず、“これを目立たせる”と潔く決めてはくのがカギ。暗めのワントーンスタイルに合わせても」(樋口さん)
ネイビーでワントーン
「引き続いてネイビーですが、白にもキレイ色にも柄にも合わせやすく、上品な印象に仕上がるので夏はとくに重宝。コンバースは色やデザイン違いで10足ぐらい保有。「スニーカーでハズしています」というわかりやすいくずし方が苦手なので、落ち着いて見せるためにボトムとスニーカーの色をそろえることが多いです。今はより大人っぽさをねらえるネイビーのレザーが気分(樋口さん)