心地よくて過ごしやすい。そんな気負わず着られるニットどうしの組み合わせを生かして、あえてきちんとオシャレする。シルエットや素材感などを見極めて、単純な組み合わせでも手抜きに見えない「ラクしてキレイ」のその先へ。
(CONTENTS)
①「ニットに合う」ニット
②人気スタイリストが実例で解説
③「普通だけどキレイ」セーターのコーディネート
④可愛いセーターで「華やかだけど気張って見えない」テクニック
本当に使えるニットは「ニットに合うニット」
ともすると野暮ったくなりがちなニットどうしのコーディネート。その反面「ニットを合わせてしっくりくるニット」こそが、どんな服にも合わせやすくバランスもとりやすい。そんな見地から選ばれたニットを、スタイリングと解説をもとにご紹介。
清楚なワンピに見立てて「コンパクト+フレア」シルエット
やわらかい青みピンクで淡くとも甘すぎず大人に着地
きちんと感をまとえるスカートありきのセットアップでカジュアルからエレガントな方向へシフトチェンジ。ワンピース1枚よりも上下で切り替えができるからやわらかなワントーンでまとめてもメリハリよく。
全身ニットに「ヒールのブーツ」
タートルネックの形とブラウンの色みも功を奏してニットONニットに気品が生まれる
脚線をカバーできる反面、足元次第ではリラックス感が強く出てしまうワイドなニットパンツ。鋭いポインテッドトゥのヒールブーツで足元に緊張感を宿すと、おのずとシャープなルックスに。トップスの背面はさらなる緊張感をもたらす大胆なスリット入り。
「無地の黒」によるきちんと感
もこもことした風合いのカーディガン
繊細なラクーン混のパンツを合わせて上下黒ニットに変化を
それだけで端正に見える黒に加えて、ツイードジャケットのようなフロントボタンをあしらった正統派なカーディガンが主役。パンツは足首が締まった先細を選び、素材以外はキレイめを意識。
「小さなところで」ニットをリンク
トップスと同色素材のシュシュで後ろ姿にひと手間を
広くなだらかに開いた首元のもの足りなさを、サイズも素材もボリューミィなシュシュでカバー。
ミニマルなタートルにビスチェを重ねて
ビスチェとタートルネックニットのアンサンブル。オレンジの発色のよさも細身の着映えに一役。
バランスが整う「細く長いシルエット」に当てはめる
ワンピにレギンスをINして白に欲しい奥行きもメイク
必然的にスレンダーな見た目へと近づける鉄板シルエットにあてはめて、全身ニットを都会的に。上下どちらも白ニットを選べば、エフォートレスな空気へ切りかえられる。
重ねるほどいい「ニットの4乗」
シャツからニットポロに置きかえた全身ニットスタイル
よりあたたかく、心地よく、雰囲気よく。幾重にも重ねることで装いにプラス効果を。パンツもニットだから肌あたりもよくストレスフリー。
人気スタイリストがコーディネートで解説
主軸のニットをもっと活用するために。ニットどうしの組み合わせで「上手くいく」着こなしのテクニックを人気スタイリスト・樋口かほりさんが解説。
【樋口かほりさん】
大人に似合うカジュアルをモットーに、リアリティのあるアイテム選びの提案と肩の力を抜いて着られる、シンプルカジュアルなスタイリングは毎号多くの反響が。
上下のニットの素材感を変える
「ケーブル編みニットとプリーツニットで立体感を。ひかえめな色合いだからこそ、素材でリズムをつけて。モノによって白だと甘く、黒だとやや強い。そういう意味でも穏やかなベージュはグラデーションやワントーンもしやすく、ニットでとり入れるのがベストな色。レザーブーツで真逆の質感を投入すれば、奥行きも生まれ、淡い色彩をやさしく締める作用も」(スタイリスト・樋口かほりさん)
シルエットに強弱をつける
「応用の利く黒リブタートルとビッグニットのコンビ。1枚のニットのように一体化するコンパクトなタートルとゆるニット。中と外のシルエットにコントラストを効かせることで、レイヤードしても華奢見せがかなう」(樋口さん)
キレイな色こそ穏和な素材で力みを抜く
「たとえば赤など、印象的な色こそニットの出番。やわらかな質感が強さを吸収し、ほどよくカジュアルダウン。鮮やかな色もニットで、あえて1色でワンピースのようにまとめれば親しみやすく着こなせる。小物は黒だとちょっと強いので、まろみの出るブラウン系を」(樋口さん)
エレガントに包み込むやわらかなモヘアを主役に
「ニットの質感を変えて、メリハリをつけたいニットONニットでも、ふわふわな質感のニットは便利なアイテム。色も配色の幅が広いグレーならより安心。スカート&ソックスのピンクの遊びのある色合わせも、ニットだからやさしい印象に。モヘアカーディガン、リブスカート、ソックスと、ニットの種類で差をつけウィットに富んだスタイルの完成」(樋口さん)
ニットとニットの「間にシャツ」
「シャツを仕込んだ端正なレイヤードも あたたかい質感で挟めば力みなく整う。黒タートルとグレーのビッグニット。シルエットのコントラストによって体を華奢に見せるニットどうしの組み合わせ。その間の余白を生かして白シャツをセット。そのお堅い印象とパリッとした質感が、ソフトなニットにもマッチ」(樋口さん)
リーンな黒を軸に置いて思うがままに加えるだけ
「黒スキニーのように使えるニットレギンス。中は黒でまとめたIラインをつくりつつ、あとはビッグニットでも、カラーニットでも、好きなニットをかぶせればいいだけ。簡単だけど目を引くこのテクニックはニットONニットをうまく仕上げる簡単なテクニック」(樋口さん)
レディなワントーンにロングカーディガンで「ゆるみ」を追加
「あたたかみのある風合いがまざることで、配色はストイックでも自然と抜けが生まれる。ロングカーディガン&長めスカートには、ヒール高めの靴で重心を上げて見せスタイルよく」(樋口さん)
「ニット感」をうまく薄めるニット素材の強めな柄
「エッジの効いた柄もニットならやわらかくて扱いやすく、逆にニットのほっこり感を打ち消してくれるという相乗効果も。レオパードもファーは少し辛すぎ、ニットなら適度な辛さに。柄のほどよい強さがニットONニット感を薄める役割。渋いグリーンのロングスカートで、レオパード柄を大人っぽくまとめて」(樋口さん)
ずるぶかなVとコンパクトなリブタートル
「黒リブタートルのドライな質感と合わせることにより、白モヘアニットの起毛感も際立つ。肩口まで大きく開いたVネックで「着られた」ようなルーズなシルエットも、コンパクトに首までおおった黒があることで、その余裕のあるシルエットが逆にエレガントな印象に変化」(樋口さん)
「普通だけどキレイ」セーターとデニムのコーディネート
カジュアルだからこそラクしない。結果シンプルに落ち着くことをいいことに「ありきたり」で終わらない、デニムスタイルが華やぐアイテムや組み合わせの方法をご紹介。
深いボルドー+リッチな毛足のモヘア
こげ茶のような落ち着きがありながら、それとは差のつくボルドーがスキニーデニムに趣を上乗せ。そでも着丈もやや長く、それだけで十分な迫力を獲得。
ふわふわ+肌感のあるセーター
デニムを華やかに飾るリッチな質感。着やすい黒やネイビーのダークカラー。ごくシンプルな装いも、ニットならではの「ふんわりとした質感」を味方にすれば華やいだ印象に。着用したニットはモヘアの中でもさらにやわらかい「キッドモヘア」。贅沢に使って厚みを出しても、すっきりと見えるのは、長そでより短く、半そでより長い5分そでのおかげ。
センシュアルの敷居を下げるくすみブルー
デニムと波長の合うくすんだブルー。デコルテに加えてヒップラインの曲線ものぞかせたある意味色香のある装いも、メンズにも通ずる配色だからハードルは下がる。
ルーズなニットが見違える「実は肩パッド入り」
ハリのあるかためのニット+パッドのおかげで、ドロップショルダーでも輪郭がぼやけずシャープに。
ふんわりとしたニットジャケット
カーディガンのように心地いい、ノーカラーのニットジャケット。+デニムとのスタンダードな組み合わせも「ふわふわの白」に変えるだけで、いつもと違う、ドレッシーなムードに。
「赤をまとって」シンプル回帰
メンズライクなゆるニットでレディな赤をもっと身近に。かけあわせることでデニムに存在感とコケティッシュな魅力がそなわる赤ニットとのコンビネーション。少量でも目を引く色だからこそメインにするなら、シンプルなクルーネックでも十分。首元からのぞかせる白は、あえて少し高めのネックを選んでカジュアルではなくトラッド方向へとシフト。
リッチなムードに仕上がる「白とブラウン」
品を損なわない「ソフトな起毛感のアンサンブル」。海辺で静かに過ごしているようなリラックス感。
白+ネイビー配色で上品に
配色のクリーンさを引き立てる「きゅっと締まったウエストフォルム」。めざすのは「ニットとデニムで仕事にいける」くらいのほどよい緊張感と好感度。どちらも落ち着きのあるシックな色をベースに、形も合わせる小物にもきちんと感を含ませて知的にアップデート。