どことなくけだるげで、それでいて品がある。アースカラーを筆頭に注目が集まるスモーキーな色み。海や森、アスファルトなど、日常の風景になじむだけに、しなやかにキレイなムードを変えていける。白と黒に匹敵する扱いやすい軸色として、ベーシックを再構築。
【CONTENTS】
①注目の「夏柄」は?
②スタイリストに聞いた「華やぐ柄を上手に着る」テクニック
③どうせなら「着回せる方がいい」柄の選び方・着回しの実例集
1
新傾向は「甘くない」ボタニカルな柄
シンプルな服や、淡い色、アースカラーなどぼやっとしがちな配色のリズムづけに、柄をとり込むのも手。今季の注目はアニマルやボタニカルなど自然界にありそうな模様。派手に転ばない、なごやかなムードで着こなすのがポイント。
PYTHON
「遠目だと無地に見える」細やかな模様のパイソン風

チャコールグレーシャツワンピース 53,900円/SACRA(インターリブ) ベージュ総柄プリントパンツ(4月発売) 22,000円/MANOF サングラス 39,600円/プロポ(プロポデザイン)
ロングワンピースのもたつきを回避するため、細かく配したプリントパンツをちら見せ。濃いグレーを多めにすることで、ゆるいシルエットがすっきり仕上がる。ドレープ性があるため総柄なのにエレガント。
LIKE LEAF
リーフみたいな幾何学柄でカジュアル一歩手前に

グリーンプリントシャツ 39,600円/RHC(RHC ロンハーマン) 中に着たロンT 4,400円/Levi’s®(リーバイ・ストラウス ジャパン) ブラウンパンツ 67,100円/PT TORINO(ピーティー ジャパン) 白トートバッグ 19,800円/ソリッドアンドストロング バッグ ストア
葉っぱをちりばめたようなくすみグリーンの柄シャツを、とろみ素材で上品なイメージに。ラフに着くずしても柄のおかげで手抜きに見えない。
BOTANICAL
浅く薄くプリントしたことでボタニカル柄をレトロに転換

ベージュリネンベスト 18,700円/.blacktogrey(THIRD MAGAZINE) 肩に巻いたカーキニット 22,000円/バナナ・リパブリック ベージュ花柄パンツ 85,800円/ロエフ(エイチ ビューティー&ユース) グレージュバッグ 50,600円/ラシット(ラシット 西銀座店) ゴールドパンプス 105,000円/フランチェスコルッソ(トゥモローランド)
無地の服に浮かない、かすれた色みがポイント。タックパンツのまじめな形で、コンサバな服とも好相性。
2
「華やぐ柄を上手に着る」スタイリストのテクニック
見た目はもちろん、さらに「使える長所」がある柄とはどんなもの? 「ほどよさ」のあるスタイリングで人気のGISELeスタイリストたちに、その選び方やテクニックを聞き込み。柄を上手に着るために、またこれから着たい柄探しに役立つ、コーディネート図鑑。
ラフなショートパンツを「正す」

シャープな柄でスパイスを効かせて、カジュアル以上でメンズライクなムードに。「くすんだ赤をベースに細い白が入ったストライプ。白が入っていることで重く見えずヴィヴィッドカラーながら爽快な仕上がり。メンズサイズならではのシルエットの余白を生かせば羽織りとしても、ショートパンツにも、細身のボトムにも万能かつ、着方の幅も多く見込める」(樋口さん)
白Tも華やぐキャッチィな花柄を主役に

「動きを制限しない、ストレスフリーなとろみパンツこそ、カラフルな柄がお似合い。コントラストの強い柄なら、ゆるい形でもすっきりとした印象。ふれるだけで満たされる気持ちいいストールも相棒に」(渡邊さん)
デニムを高めるモノトーンの花柄

「ブルーデニムと白いTシャツ、のように思い浮かぶ組み合わせが多いブルーデニム。その1つとしてとり入れたいのが、ヴィンテージライクな花柄のワンピース。冷静さを保てるモノトーンベースと、デニムを重ねるひと手間。その2つを押さえれば、ガーリーなドレスも味わい深く」(樋口さん)
旬の色をまとったボーダー

「好感度の高いボーダーで旬の色を投入。グリーン系をはじめ、イエローやブルーの旬色が多彩。カラバリの広がりというより、ベージュがかったイエローや青空のような鮮やかなブルーなど、ニュアンスの違う色みに注目」(高木さん)
街に合うカラフルな花柄

「陽気にまといたいカラフルなフラワープリントは、なつかしくあせたようなヴィンテージ風の色みやパターンを選択。きちんとしたシャツ、あるときはTシャツ&サンダルで着くずしたりと、まずは「仕上げたいイメージに沿った白」を合わせて軽快に装って」(高木さん)
+スウェットのワントーンで柄のインパクトを分散

「総柄だけど形はシンプルだからレイヤードもしやすいマキシワンピ。コットンなど、ラフな素材ならスエットやデニムにも合わせやすくて簡単。発色のよさも手伝って、辛口派にもとり入れやすい甘さに」(樋口さん)
「しっとりとした素材で」夏の柄

「やわらかく、上質な風合いに動きをつけることで生まれる女らしさが、リゾート柄を都会っぽく見せてくれます。シャツならどんなにくずしてもきちんと感が残るので、バランスもとりやすいはず」(樋口さん)
「暗色ベースで」フルーツ柄

「モチーフ自体に遊びがあるぶん、ベースカラーは黒やネイビーなど落ち着く色で、柄の色づかいや大きさも、ひかえめなものを選択。ノースリーブやデコルテを見せるシャツなど、肌で抜けを出せるアイテムでとり入れるのが正解」(高木さん)
黒とベージュのストライプパンツ

「見た目が締まる太い縦のライン。肩のつなぎ目を排除した、なだらかな白Tのシルエットが相まってモード一歩手前に着地。サテン風の上質な落ち感や、ニュートラルなベージュが入っているのも緊張感がほぐれる要因」(樋口さん)
心地のいいストライプパンツでジャケットを気負わず仕上げる

「色によっては強くもなりかねないストライプを、春めいたやさしいペールカラーで脱力。さらりとした薄手の生地とワイドなシルエットも手伝い、正統派なジャケットでもリラックス」(樋口さん)
「メンズ」のボーダー

女っぽく見せるため 手首の細さを引き立てるルーズなボーダー柄トップスを。「定番もサイズ感を変えることで今っぽく。ウエストにINしてできる腰まわりの余りも、メンズサイズならでは。デニムはラフに穿いて、袖をたっぷりたくし上げることで、力の抜けた雰囲気を演出。小物は黒で引き締めつつ、全体のバランスを調整」(樋口さん)
「浮かない甘さ」という理想のバランス

「コンパクトなトップスを合わせるのはもちろんのこと、ボリューミーなサイズ感のトップスが全盛の今は、フレアスカートもIラインにほど近いシルエットが好都合」(岩田さん)
配色も丈も涼しげなパンツで黒の長そでに季節感を投影

「さわやかさを満喫できる、白×ブルー配色。幼くなりかねないアイテムだから、シックな黒とゴールドが効いたアクセがわりのバッグでエレガントな要素を加算」(樋口さん)
白も間延びしない縦に流れるストライプの視覚効果

「直球カジュアルなタンクとデニムに羽織るだけできちんと感、さらに白のワントーンも整った見た目に仕上げてくれる、ストライプのシャツワンピースは重宝」(渡邊さん)
正統派こそサイズ感でゆるめる

きちんと感のあるストライプシャツも、サイズ感をゆるめて羽織ることで、かしこまりすぎず自然体なムードに。「ボリュームのあるロングスカートと合わせれば、動きや空気感が生まれて、リラックスした印象に。足元はナチュラルなサンダルで抜け感をプラス。ベージュのワントーンでまとめることで、シンプルなのにどこか女性らしさと品の良さが漂う、頑張りすぎない余白のあるスタイルが今の気分です」(樋口さん)
細かなモノクロギンガム

「黒ニットから浮かない無地に近いチェック柄。遠目だとグレーにも見える、細かい黒白チェック。ショート丈の黒のカーディガンと合わせても、柄が主張しすぎないことでガーリーに偏らない」(渡邊さん)
「ワントーンで」柄と色

「カジュアルにもシックにも終わらせない、バルーンスカートの個性。歩くたびにゆれるスカートのフォルムがシックなトーンに遊び心をもたらして、シンプルなのにドラマチック」(樋口さん)
カジュアルな白と気高いチェックで 自由度高くレイヤード

「これからの季節のチェックジャケットは、クラシック以上のテンションの上がる何かが必要。たとえば白とグリーンがおりなす爽快な配色で。白デニムとならくどく見えない」(樋口さん)
レトロに振り切ったジャケットを堂々と

「そのぶんほかはシャープに徹して。デニムをはじめ、シンプルなボトムに相愛な派手柄。ときにためらいがちな甘い柄も強気な柄をならすべく、トーンをそろえてフラットに着こなすのも一手」(樋口さん)
ポップな配色をモダンに寄せる

「タイトスカートを仕込むだけではやや単調。色も素材も同じカーディガンを腰巻きし、シャープなIラインに抑揚を。モノトーンとブルーの対比がどこかモード」(樋口さん)
ネイビーの知性とギンガムの甘さ

「幼さや可愛さが先行しがちな柄も、ネイビーをを合わせることで大人っぽさをキープ。配色で柄を落ち着かせることで、派手に見えず、むしろ知的なムードに。胸元のスクエアネックからのぞく肌も、絶妙な「抜け」の役割。視覚的にも印象が引き締まり、柄もすっきり映える。すそのボタンを2つ開けたルーズな着方も理由の1つに」(樋口さん)