もっとも身近な存在だからこそ、「白と黒」のアイテムはひとつずつこだわって選びたいもの。日々多くの服にふれるぶん、こだわりもひと一倍のGISELeスタイリストたちが交わす白黒談義を盗み聞き。
(TOPICS)
【1】「白黒だから試せる」今季の新しさとは?
【2】定番服に似合う「いつもと違う」白と黒の新作
【3】スタイリスト私的「必要不可欠な白黒」
【4】センスのいい人たちが愛用する「白と黒」の名品
【5】ジジ・ハディットを見習った「シンプルな黒選び」
【6】「使える黒を見極める」ポイントは黒に合う黒
【STYLIST MEMBERS】
(渡邊恵子さん) 大人のリラックススタイルが人気。実用性とスタイルアップを兼ねたアイテム選びに支持が集まる。 (樋口かほりさん)ベーシックでありながら、そのシルエット選びが絶妙と話題。ちょうどいい大人の甘さのさじ加減にも技が光る。 (岩田槙子さん)女性らしさが引き立つシルエットや服選びに定評あり。トレンドをうまく落としこむバランスに長けている。
(塚田綾子さん)小物企画を担当することも多く、シンプルな装いに素材や色づかいで遊びを効かせる提案が得意。 (船戸唯さん)メンズライクなムードを、女性らしくとり入れた装いが人気。サイズ感にこだわったアイテム選びにも注目。 (玉木歩乃花さん)シューズ企画を担当することも多く、足元まで考えられたスタイリングの提案はピカイチ。
【1】スタイリストたちが掴んだ「白黒だから試せる」今季の新しさとは?
塚田さん 「今季目にとまるスタイルはなんといっても『スポーティMIX』。展示会やリースでも多くのアイテムを見かけました。」
樋口さん 「確かにブルゾンやジャージーパンツなど、かつてジム用品のイメージが強かったアイテムがふだん着として定着しつつあるようす。どのアイテムも、甘いワンピースやかっちりとしたジャケットなど、スポーティとは真逆のテイストと組み合わせると、今っぽいバランスがかないます。
出口さん 「“定番服に似合う”のテーマ(本記事下部)で出したReebokのブルゾンは、過去のGISELeのメイク企画でも使用しました。そのときはスポーティ×パープルのマスカラを組み合わせる提案。ポイントとなるカラーメイクが、メンズっぽい服との相乗効果で一気に洒落て見えるのが発見でした。メイクだけ浮いて見えないのは、黒で落ち着きを保てるおかげ。」
渡邉さん 「私はレトロなテイストが気になっています。とくにAcne Studiosのルックで見かけたドット柄とデニムの組み合わせがステキでした。辛口なイメージのブランドが出す、甘い柄が新鮮でマネしたくなる。かわいい柄も、白黒なら大人でも試しやすいですよね。」
岩田さん 「今季は薄軽アウターも豊作。GALERIE VIEのシアージャケットは、やわらかな透け素材に、黒の木目ボタンがアクセントになっていて、とても軽やか。ラフな装いにもなじみやすいので、この春重宝しそう。」
玉木さん 「春アウターでいうと、イレニサのトレンチコートも新鮮に感じました。定番のベージュのトレンチコートは、どうしてもキレイめに転びがちですが、これは白のハリのある生地感で、ハンサムにふれるのがいい。」
船戸さん 「シルエットは引き続き、ルーズとタイトを組み合わせてメリハリをつけるバランスがトレンドのよう。たとえばGapのニットパンツは、オーバーサイズと組み合わせるとボトムが引き締まって見える。モノトーンだけで完結させれば、いっそうスタイルに抑揚がつきます。」
INSPIRATION
スタイリストの目にとまった「コレクションの気になる白黒」
(Carven)
「白と黒」をきっちりと着る

「究極シンプルな黒のロングコートやクリーンな白を、くずさずにきっちりと着たCarvenのルックが好み。丁寧に着ることでムダのないカッコよさにつながる、モノトーンの魅力をあらためて思い出させてくれます。」(樋口さん)
(Patou)
レトロと今っぽさの融合=丈次第

「大きなえり元やふくらはぎ丈のスカートなど、レトロな雰囲気が漂うPatou。ともするとやぼったく見えそうですが、思い切ったショート丈のブルゾンと合わせることで今っぽく見違えるバランスが勉強になる。」(渡邉さん)
(JIL SANDER)
マニッシュなセットに甘さをひとさじ

「お堅さのあるジャケットのセットアップに、エレガントな丸えりブラウスでハズすスタイルが新鮮。」(渡邉さん) 「長いベルトをウエストに適当に巻いて、カジュアルダウンするテクニックもマネしたいです。」(出口さん)
(Saint Laurent)
トラッド要素は冷静な黒で

「ネクタイやプリーツスカートなど、クラシカルなプレッピーアイテムが引き続き気になります。とくにSaint Laurentのルックのように、アクセントになる小物は、黒から選べばいつもの服にとり入れやすい。」(船戸さん)
(NEWS)
発売開始・進化した「究極のベーシックT」
【詳細を見る】≫欠点のない「いいとこどり」の白黒Tシャツ
【2】定番服に似合う「いつもと違う」白と黒を
ベーシックな色=白と黒やデニムなどの定番アイテムこそ、シーズンの立ち上がりとともにアップデートしたい。春夏の服をひととおり見た、スタイリストたちの目に留まったアイテムは? ※価格表示のないものはすべて私物です。
DOT PATTERN
「久しぶりになつかしい柄」

スカート 34,100円/RIKO(RIKO Tokyo) 「これ1つで主役をはれるドット柄のスカート。レトロなのにどこかモードにも見える立体的なシルエットで、ラフなビッグTとフラットシューズを合わせて着たいです」(渡邉さん)
LEATHER BUSTIER
「アクセ感覚で使いたい辛口なレザー」

ビスチェ 34,980円/ユナイテッドアローズ(ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店) 「ジャケットやパンツで取り入れることが多かったレザーをビスチェでも。フレアな形で甘口派もトライしやすいはず」(樋口さん)
SHEER JACKET
「アウターで透けに挑戦」

ジャケット 49,500円/GALERIE VIE(ギャルリー・ヴィー 丸の内店) 「手軽に季節感を足せるシアー素材を、アウターで楽しむのも新鮮。羽織りとしてはもちろん、ボタンを閉めてトップスとしても使いたい」(岩田さん)
NYLON BLOUSON
「大人が試せるスポーティ」

〈右〉バイカラーナイロンブルゾン 9,990円/Reebok 〈左〉モッズブルゾン 69,300円/ロンハーマン 「今季豊作のナイロンブルゾンは、オーバーサイズかつ辛口な黒でとことんスポーティに。キレイめなスカートやワンピースに合わせて、足元はスニーカーという鉄板スタイルも今年らしい印象に」(出口さん)
KNIT PANTS
「メリハリがつくニットパンツ」

ニットパンツ 5,990円/Gap 「旬のバイカーパンツのように使えるニットパンツ。なめらかな肌ざわりと上品な起毛感で日常づかいもしやすい。シャツと合わせるだけで、適度なハズし役になってくれそう」(船戸さん)
LACE MATERIAL
「味わいのあるレース素材をON」

レースキャミソール 16,500円、スカート 26,400円/ともにHtage(Ungrid) 「この春デビューした『Htage』のレースアイテムは、インド製コットンを繊細に編んだヴィンテージライクな風合いが魅力」(塚田さん)
TRENCH COAT
「1枚で着たい白のトレンチ」

コート 118,800円/イレニサ 「好感度はそのままに、目新しさのある白のトレンチ。バサッと着られるドライな質感と、フロントの大きなポケットがメンズっぽくてお気に入り。コートをメインにワンピ風にも着てみたい」(玉木さん)
【3】スタイリスト私的「必要不可欠な白黒」
毎号リースしてしまう・リアルに使い続けているなど、数々のアイテムを手にしてきたスタイリストがわざわざとっておきたくなる「特別な白黒」とは? プロをうならせた、鉄板の白黒アイテムは必見。
「開きすぎずつまりすぎない丸首」

ニット 19,800円/THE SHINZONE(Shinzone 表参道本店) 「リラクシーなシルエットながら、品を保てるリブ編み生地。1枚でも、レイヤードして着ても首元が美しく見えるネックのつまり具合も絶妙です」(岩田さん)
「タイトにもワイドにも合うオーバーサイズ」

シャツ 35,200円/INDIVIDUALIZED SHIRTS(メイデン・カンパニー) 「老舗ブランドならではのハリのあるコットン生地が今の気分にマッチ。お尻にかかる丈なのでワイドパンツだけでなくレギンスもよく合う」(塚田さん)
NEAT
「+Tシャツもさまになる美シルエット」

スラックスパンツ 30,800円/NEAT(にしのや) 「メンズブランドらしいざらっとした風合いが好きなところのひとつ。ゆとりのある太ももから、ふくらはぎにかけて細くなるラインを描き、脚長効果まで見込めます」(渡邉さん)
「えりつきだからスエットでも」

スウェット 13,970円/SeaRoomlynn 「動きやすさときちんと感をどっちも欲しいリースの日は、えりつきスウェットが最適。SeaRoomlynnのスウェットはもっちり感とルーズな身ごろが唯一無二で、GISELeでも頻繁に登場しています」(船戸さん)
Fruit of the Loom
「背中のロゴがニクいポイント」

スウェット 7,150円/フルーツオブザルーム(FTLジャパン) 「中にロンTを仕込むことを前提に、スウェットはゆとりのある大きめサイズがマスト。これは背中の中央にあるフルーツロゴも惹かれたポイントです」(出口さん)
「サテンパンツをかっちりと」

サテンパンツ 35,200円/ベッド&ブレックファスト(グリードインターナショナル) 「やわらかな光沢のあるサテンパンツ。深めのタックとウエストボタンのおかげでリラクシーに傾きすぎないのもGOOD」(岩田さん)
ENFÖLD
「きちんととモードを両立できる」

ジャケット 143,000円/ENFÖLD 「一見正統派ですが、なだらかな肩のラインやクリーンな白の折り返しなど、細部が光る1枚。ALL黒スタイルに、この折り返しがあるだけで一気に洗練された印象に」(樋口さん)
「ジャケットのインナーに重宝」

クロップト丈トップス 8,030円/NIKE(NIKE カスタマーサービス) 「本格的なスポーツブランドを、ジャケットに合わせるのが定番。これはコンパクトなショート丈でウエストロゴもインパクトがあってかわいい」(船戸さん)
ANTHOLOGY
「くたっとした黒だからかぶりやすい」

キャップ 8,250円/ANTHOLOGY(ジャック・オブ・オール・トレーズ プレスルーム) 「ハズし役として手軽に使えるキャップ。いい意味でロゴの主張が少なくフラットな形だから、どんな格好にもなじみやすい」(出口さん)
「ヘアアレンジに向くインパクト」

〈右〉スカーフシュシュ 9,350円、〈左〉クリップ 6,490円/ともにheyep 「ひとつ結びにラフにつけるだけで、凝った見た目がかないます。スカーフシュシュは大胆なボリューム感で、つけると小顔にみえるうれしい効果も」(塚田さん)
Cartier
「手元に品格を宿すあせない定番」

腕時計 327,800円/江口洋品店・江口時計店 松濤 「上質なレザーとゴールドが風格ある面持ちのカルティエのウォッチ。ヴィンテージならではの風合いで、カジュアルな服装にも女性らしさをプラスできます」(渡邉さん)
「ハイテク派にささった新作」

スニーカー 44,000円/YOAK(UTS PR) 「正面のダイアルをまわして幅を調節できるところが珍しい。シンプルなボトムにハイテクスニーカーで足元に重みを足すのが好きなスタイルなので、リアルに購入検討中」(玉木さん)
「正統派と抜けの間の絶妙なサイジング」

「ちょうどよく着くずせる肩の落ち具合、OUTしてもさまになるすそのカット。どこをとっても完璧なバランス。直球なトラッドな着こなしがカジュアルに転びすぎず、さらっと1枚で着てもシックを保てます」(スタイリスト・船戸唯さん)
着くずしもしやすいプレーンなワイドフォルム

白シャツ 44,000円/ザ・ニューハウス(アーク インク) 羽織りとしても使いやすい、やわらかな風合いのオーバーサイズシャツ。コットン素材100%のオックスフォード地。
「黒ワンピでも重さなくつかえる」

「ふんわりと繊細に広がるキャミワンピース。軽やかなシアー素材でありながら、ショート丈の裏地つきだから、透ける心配もなし。デコルテまわりをアレンジできる2way仕様なのも魅力的」(スタイリスト・船戸唯さん)
ライトに着られるアレンジしやすい黒

黒シアーワンピース 46,200円/Rosarymoon 街にもリゾートにも合う軽やかな風合い。これからの季節も重ね着しやすいキャミソールタイプ。
「すそのスリットがいい働きをしてくれる」

「センタープレスの延長に入ったスリットのおかげで、コンサバになりがちな細身パンツのスタイルにキレが生まれます。キレイめスタイルにすこしのエッジが欲しいときに重宝しています」(スタイリスト・船戸唯さん)
脚線が美しく見える細身フレア

黒パンツ 27,500円/hLM(ヒューエルミュージアム) ウエストにタックがあることで腰まわりのもたつきを回避。心地のいいホールド感がありながら、体のラインを拾わないストレッチ素材。
「クセがないから使いやすい」

「トレンドの移り変わりが激しいスニーカーのなかでも、コンバースはいつまでも変わらない安心感があり、もはやお守り的な存在。正統派ベーシックの装いにローファー感覚ではくのが今の気分です」(スタイリスト・船戸唯さん)
困ったら手にとれる

〈右から〉白スニーカー 14,300円、黒スニーカー 19,800円/ともにコンバース(コンバースインフォメーションセンター) 時代に左右されないオーセンティックな見た目はそのまま、よりクッション性の高いモデルや機能性の高い素材など、日々アップデート。
「ほかにはない大胆な開き」

「首のつまったシンプルなフロントに対して、潔く開いた背中のデザインのギャップが唯一無二。ゆったりとしたサイズ感で女らしい大胆な肌みせも、カジュアルなロンTならいやらしくならない」(スタイリスト・出口奈津子さん)
ゆるい形がラフに転ばない

黒背中開きロンT 9,900円/onit(ヤギ) 肌ざわり良好なラフィー天竺を使用。前は鎖骨が見えるか見えないかの浅いボートネック。後ろは攻めた深めのUで、カジュアルなイメージから脱却。インナーのひもがずれないよう、肩裏部分にはストラップどめつき。
「カジュアルにもキレイめにもハマる」

「キャンバス地に黒レザーのラインが、甘さとカジュアルのちょうどいいバランス。レザーバッグを持ちたいけど、コンサバにはなりたくないときに活躍します。まじめな装いのハズしにもぴったり」(スタイリスト・出口奈津子さん)
使いやすいサイズ感・合わせやすい配色

黒×白ミニバッグ 16,500円/Archivepke キャンバス地のカジュアルな風合いも、黒いアルファベットのポイントでクラシカルなイメージへ好転。アルファベットが小さなアクセント。