黒の持つ切れ味、白の抜け感。その両極端な魅力を、欲張りに手に入れられるのが中間色・グレー。ときに全身を引き締める「黒的なバランサー」として、またあるときは、ラフさを穏やかに整える「白のような調整役」として。スタイリングの手数を圧倒的に増やしてくれる実力高いグレーにフォーカス。
【1】
「黒に代わるまとめ役」濃度高めのグレー
シャープな印象をそなえつつ、黒ほどエッジが効きすぎない。チャコールグレーの濃くもあいまいな色みは、いろんなテイストMIXをうまくなじませるのにうってつけ。
ワーク感が残るサロペットパンツを
ネイビーシャツで大人っぽく

濃紺×深いグレーのトラッドな配色をベースに、インテリな表情をキープ。胸下までとどくハイウエストパンツでIラインを強調すれば、テクニック不要でスタイルアップものぞめる。気品をおぎなう起毛感のあるウール地。
小物感覚で抑揚をつけられる
コンパクトなグレービスチェをON

細身なのにきゅうくつ感がない、伸縮性の高いリブニット。ハイネックシャツ×光沢パンツのエレガントな服装に、適量のエッジをプラス。
ALL黒より迫力が出すぎない
グレーまじりのレディルック

「ほぼ黒」の地味な色の差で、ダークトーンの間のびを回避。ダブルタックのスカートでさらにリズムづけ。
デザイン性は色でくすませて
モードな装いを少しマイルドに

肩幅の華奢見せがかなう、ひかえめなボリュームスリーブが特徴。構築的な形により攻めた見た目になりがちなぶん、配色は無彩色でまとめるのが賢明。
表情のある質感を頼りに
深めながらロング&ルーズ

はっきりとしない色だから成立する、奥行きのあるワントーンスタイル。旬の厚手素材で立体感が出ることにより、のっぺり感なくけだるいシルエットを貫ける。どう転んでもエレガントにとどまる、ウールのシャツワンピース。フリース素材のラインパンツを仕込み、今どきなスポーツMIXに手軽にチャレンジ。
【2】
転じて「白の代わりにもなる」実例集
シーンやシーズンを問わずに頼れる黒の安定感はそのまま、モノトーンの相棒を白からグレーに変えてみると? コントラストが落ち着くことにより、もっとやさしく見え、いっそう深みが増し、これまで以上にスマートに近づける。
(白よりもやわらかく見えるから)まろやかに正統派
平日にも向く端正な装い。黒と白のはっきりとした配色よりも、ニュアンスが出せるおかげできちんと感をくずすことなく、ほどよくカドがとれて穏やかにイメージチェンジ。
やさしく包み「上下黒の強さを中和」

黒同様に使い勝手がよく、黒と合わせたときも緩急のつくグレーコート。迫力のあるレザーフレアスカートがマイルドに着地。デザインをそぎ落としたミニマルなルックスで、ぼやけがちなグレーでもシャープな印象。
白パンツほど気負わないグレーの細身パンツ

黒を選び、ハンサム度が増したえりつきシャツ。ボトムがグレーだと、パリッと黒シャツでシャープに徹しても、適度にゆるんだ柔和な表情に。
クラシックなチェックジャケットをモダンに寄せる

ほっこり見えやすいチェック柄が、冷静な色とジャケットの角ばった形のおかげでスマートに洗練される。美形なサロペットでなじみよく少しの親しみやすさも加味。
横に広がらないなめらかな落ち感も意識して「スマートにぶかっと」

白のようなやわらかさを持ちながら、着ぶくれはしにくいグレーだから。上下ゆったりとした気楽なシルエットでまとめても黒の切れ味と相まってすっきりとした見た目を維持。クラス感につながる小物があると、定番配色のルーズなフォルムもリッチに導ける。
(白に比べて落ち着きがあるから)カジュアルも大人びる
白ほどフレッシュになりすぎない、トーンを落としたグレー×黒でつくるモノトーン。過ごしやすさ重視なシルエットや素材でまとめても品よくふるまうことが可能。
カジュアルを詰め込んでも落ち着くセピアトーン

ファーの贅沢なふわふわとスマートな黒デニムでかなえる上質なボーイッシュ。中も白Tからグレーシャツへ変更し、統一感のあるデニムカジュアルに。
ニットの上下をキレイめに着たいとき

過ごしやすい一方、ラフさも出やすいニットの上下。そんなときはダークグレーの色みと締まる黒コートが頼りに。細身かつ端正なグレーで選べば上品かつヒールの足元で必要な少しの緊張感もプラスできる。
硬派なブルゾンの力を抜いて気だるい雰囲気に

好感の持てる配色を味方につけてストリートLOOKを都会へシフト。辛口な黒ではさんだおかげで、ロゴ入りのスウェットパンツが切れ味よく好転。
(白よりもクールに装えるから)甘いムードがハンサムに転じる
直球の白で選ぶと、やや甘さが気になるワンピースや、パフスリーブ、フリルなどのかわいいデザイン。冷静さを保てるグレーなら糖度はひかえめに。黒は黒らしく、シャープなものを選ぶとさらに大人。
ほっそりとしたシルエットを飾るための立体感

そでのふくらみに加えて、立体的な編み地も効いたガーリーな1枚。ほっこり見えないダークグレーに、ボトムもタイトな黒を選んで、ニットのデザイン以外はシャープを徹底。
高揚感をもたらすドレスにライダースで埋もれない強さを加算

たとえば、すそにかけて広がりのあるニットワンピース。白だとフェミニン、黒だとドレッシー。起毛感のあるまろやかなグレーがいいあんばいに。
(白ほどコントラストがつかないから)浮かないさし色が成立
ひと言では語れない色幅のあるグレーだから、ほぼ1色でまとめても濃淡がついて間のびはなし。締め役に徹した少量の黒もうまくとけ込めるため、メリハリをつけながらまとまりはよく。
オールインワンを気楽なスーツ感覚に

ストレスフリーな着心地ながら、きちんと感を演出できるえりつきのオールインワン。タイトな黒で隙間を埋めれば、リラックス感をさらに回避。
あいまい色ならフェードのあるデニムがより生きる

デニムの色落ちも味ととらえたグレーグラデに黒小物でひそかな個性。色落ちデニムもグレーで選べばエレガント。
ミニを少しだけのぞかせてコートの中にさらなる奥行きを

コートからはみ出さないようまとめてミニマルに。ウールコート、デニムジャケット、ニットタイツと質感違いのグレーを重ねたことにより、ミニが悪目立ちすることなく着やすいバランスに。
(白ほど目立たないから)「気張らずにドレスアップ」
真逆な色だから、シンプルに見えて意外と目を引く白と黒。おめかしするならなおのこと。あいまいなグレーを起用することで、華やかな装いも適度に脱力。
素肌を効かせたIラインを透けるグレーでエフォートレスに

黒だとセンシュアルすぎ、白だと力が抜けすぎるバックオープンのトップス。どちらのいいところも引き継げるグレーに頼れば、力感のないクラスアップが可能に。
シャツにもパンツにもさりげない光沢を含ませて
暗色を非日常へ

着映える素材に凝った刺しゅう入りのデザインシャツを支える、ハズさない美形なグレーパンツ。近しいシルバーで足元も盛り上げて。
質感も色みもマイルドなグレーニットが
レーススカートの特別感をならす役割

白がかったやさしい色みを引き立てる、繊細な毛足がポイント。贅沢な風合いで飾り気は残しつつ、ゴージャスなスカートの派手さを微調整。
ボリューミィなすそが目を引くジャケットが主役
ほかはとことんそぎ落としてクールを保つ

それだけで目を引く、すそに立体的なふくらみを持たせたジャケット。そっけないグレーが、埋もれず目立たせない、ほどよいメリハリをつけるのに重宝。
【3】
≫はじめのニットも「グレーがいい」コーディネートがキレイに整う「選び方」
