コートをダメにしない「些細な習慣」
来年着るときにも、キレイな状態を保ちたいコート。そのために洋服ケアのプロや、ファッション関係者がやっていることは? ちょっとした工夫だけで全くコートの「もち」が変わってくる。とても簡単、だけどじゅうぶんコートのためになるお手入れを早速とり入れて。 (※商品クレジットのないものはすべて本人私物です)
【取材した方々】
・フレディ レック/鈴木 新さん ランドリーメーカー「フレディ レック」の商品企画担当。ジュニア洗濯ソムリエの資格と知識を生かして、洗濯用品や洋服のケアグッズを開発している。 ・白洋舍/谷村一美さん/1906年創業の老舗クリーニング店「白洋舎」にてクリーニング事業部に所属。店舗展開に加え、自社スタッフによる顧客宅への集配サービスが特徴。 ・Shinzone プレス/戸塚友理さん/デニムに合う上品なカジュアルを提案する「Shinzone」にて、プレスという立場でさまざまな衣服と向き合ってきたファッション通。 ・BEAMS プレス/高橋 咲さん/ショップ店員として現場に立つ中で得た知見と、プレスとして社内外の人と交流を深める中で生まれる斬新な発想が光る。
・ハナさん(おうちクリーニング研究家) 自宅でのクリーニング歴15年以上。“誰でも家庭で洗える”をコンセプトに、失敗なくお気に入りの衣類をキレイに保つ洗濯方法を紹介するブログ「ハナの洗濯ラボノート」が人気。 ・永井良房さん(アピッシュ)100%水洗いクリーニング「Licue(リクエ)」の工場長。クリーニングには出さない靴下やTシャツから家では洗えないような素材まで、あらゆる洗濯を知り尽くすエキスパート。 ・GISELe STAFF エディター/小林 文さん スタイリスト/岩田槙子さん
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保管法は? コートをダメにしない「些細なこと」
通気性のいい部屋にラックで収納

クローゼットに収まりきらない洋服は、カテゴリーごとにラックを分けて見やすく。毛足の長いコートの隣には毛が付着しにくいキルティングコートを(小林さん)
間隔をあけて風の通り道を確保

アウター類は1カ所にまとめて、素材ごとに分けてクローゼットの中へ。コートの天敵である、摩擦と湿気を防ぐためにゆとりのある配置を意識しています(高橋さん)
すべての条件を満たす保管庫

白洋舎では部屋全体を常にベストな湿度50〜60%に保つ技術とゆとりのある空間でコートを大切に保管します。シーズンオフの衣類を預ければ、自宅のクローゼットもすっきり(谷村さん)
ふつうのハンガーにかけない

ハンガーのサイズを見直す。肩まわりの型くずれを防止するために、太さ重視で選んだ「MAWAハンガー」を愛用。とくに重量のあるウールのロングコートは注意が必要。この機会に一度、自宅で使っているハンガーの厚みを確認してみて(戸塚友里さん・Shinzoneプレス)
少しでも湿ったままにしない

クローゼットにしまうのは完全に乾いてから。湿気はどんな素材にとっても天敵。雨にぬれた日や消臭スプレーなどをかけたあとそのままクローゼットへしまうのは絶対にNG。カビや臭いが発生しやすくなり、周囲の衣類にも悪影響を及ぼします(谷村さん)
「長期間着ないときは裏返しに

衣がえのタイミングやしばらく着ていないコートは裏返した状態で保管するようにしています。摩擦から守るだけでなく、変色の防止にも(岩田さん)
便利なクリーニング&保管サービス

昨年初めて利用したクリーニングパンダはすでにリピート決定。おうちに届いたキットにコートをつめて送るだけでメンテナンスしてくれるうえ、最長12カ月まで保管もできる宅配サービス(高橋さん)
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服のプロたちが使っているケア&便利なアイテムは?
スタイリストも絶賛「コレだけでケアはOK」

〈右から〉STEAMERY Cirrus No.3 アイロンスチーマー Sand 26,400円、Pilo No.2 毛玉クリーナー Sand 7,700円/ともにSTEAMERY
「スチーマーとアイロンのハイブリット。高温のスチームが悪臭をおさえ殺菌してくれるので、頻繁に洗濯できない素材のケアにも最適。スチームのかけ方によって、プレス加工したような仕上がりにも、優しく自然な仕上がりにも。デリケートな素材にも使える毛玉クリーナーも便利」(スタイリスト・小山田早織さん)
360°スチームが発動

スチーマー NI-FS580 7,980円(編集部調べ)/パナソニック(パナソニック 家事商品お客様ご相談窓口) すぐに立ち上がり、どの角度でも均等にスチームが出るので忙しい方にもぴったり(岩田さん)
圧縮してそのままハンギング

GENIAL バキュームシールハンギングバッグ 67x130cm(3枚入り) 1,980円/ともにスペースジョイ 「中綿入りのダウン素材やコートなど、クローゼットでかさばり場所をとりがちなアウターを、圧縮した状態でそのまま吊り下げて収納できるアイテム。スペースの節約に重宝」(小林さん)
コートの「もち」が違ってくるハンガー

〈右から〉AUT-02S 11,000円、AUT-03W 6,600円/ともにNAKATA HANGER えり元や肩の形くずれを防ぐ重厚なハンガー。前方にやや湾曲している形状により、肩まわりにフィットしてシワができにくい。
繰り返し使える除湿消臭剤

竹炭除湿消臭バッグ 200g 588円(編集部調べ)/KOKUBO いやなにおいを消す自然素材の竹炭と乾燥剤をMIX。上部に穴が開いているのでフックにかけ、クローゼットにつるして使用するのもオススメ。天日に干せば吸湿力が回復するため、長期間使えて経済的。
クローゼットに入れたい香り袋

Kerzon フレグランスサシェ チュイルリー庭園(2個入り) 1,870円/NOSE SHOP パリ最古の公園であるチュイルリー庭園がテーマ。ヒヤシンスの花に包まれながら歩く瞬間を閉じ込めたサシェ。
「クローゼットのために」という新発想

スーパー・フレッシュ(シダーウッドとイランイランの香り) 100mL 7,150円(編集部調べ)/Kerzon 体につけず「いい香りが身につく」。シダーウッドの持つ浄化作用と、上質なイランイランをかけ合わせた穏やかな香りが、クローゼットの中をやさしく包み込む。驚くほどフレッシュな香り。
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実は「コートの寿命を縮めていること」は?
コートの上から身につけるストールやバッグなどの小物。お気に入りのコートを長くキレイに着続けるために、注意が必要な組み合わせをチェック。
ポケットに重いものは入れない

スマートフォンやキーケースなど重みがあるものは、アウターのポケットには入れずバッグの中へしまう習慣をつけましょう。ポケット口付近がたるんできたり、生地がよれて型くずれしたりと悪影響だらけ(永井良房さん・アピッシュ)
「濃色のウールコート」と「起毛素材のストール」

黒やネイビーなどのウールコートを着たいときは、モヘアやシャギーなど起毛素材のストールは避けるようにしています。毛の付着が目立つのはもちろん、摩擦による毛並みの乱れにも注意(高橋さん)
「毛足長めのファーコート」と「チェーンバッグ」

ボリューミィなファーコートにきゃしゃなバッグを合わせたスタイリングが好きなのですが、ストラップ部分の隙間に引っかかり、毛が抜けやすいのでチェーンバッグだけは泣く泣く我慢(戸塚さん)
「ソフトなウールコート」と「ナイロンのリュック」

やわらかな質感とかたい合成繊維の相反する組み合わせには注意が必要です。なかでも、ショルダーストラップ部分と背中にふれるリュック内側のメッシュ部分は静電気と摩擦のダブルパンチ(谷村さん)