「美しさを保ち続ける」ニットの洗い方
デリケートな素材ゆえに、お手入れの際は細心の注意が必要なニット。着る前に知っておきたい基本的な知識から自宅でできるお手入れ方法まで。洗濯&ニットのプロに徹底取材!
(TOPICS)
【1】知っているようで知らない「ニットの種類とその特徴」
【2】「洗う前におさらいしたい」よくある洗濯表記
【3】「キレイを保つ」洗濯機・手洗い「洗い方の3ステップ」
【4】ニットが伸びない「最適な干し方」
【MAINTENANCE SPECIALISTS】 (リネット・近藤高史さん) 日本全国対応の宅配クリーニング「リネット」の品質責任者。「箱につめて渡すだけ」の便利さが、共働き世帯に人気。現在会員数は55万人。 (レジュイール・古田陽祐さん) 1977年創業、高級クリーニング店の老舗「レジュイール」のオーナー。長年培った独自のノウハウを生かした手法に、業界関係者からの支持が集まる。 (SLOANE・森内敏子さん) 上質な天然素材を用いたニットブランド「SLOANE」のプレス。日本人にとっての着心地のよさを追求したベーシックなニットは、GISELeでも多数掲載。 (フィットニット・寺原博美さん) 高田馬場にあるニット専門の修理店「フィットニット」の代表取締役。年間1万枚のニット修理実績を誇り、クリーニング店からの依頼も数多い。
【1】
覚えておきたい「ニットの種類とその特徴」
ひと口に「ニット」といっても、使われている原料によってそのお手入れ方法はさまざま。まずはよく目にする5種類の繊維をピックアップし、特徴と注意点をおさらい。
ウール
羊毛が原料のウールは、その保温性の高さからニットをはじめコートやマフラーにも多く使われる。一方で起毛しているぶん、毛玉ができやすいというデメリットも。着用時の摩擦に気をつけながら、こまめなブラッシングが効果的。
カシミヤ
保温性に加えて、なめらかな光沢感と、形くずれしにくい伸縮性が魅力。ただし、天然繊維であることから、虫食いが発生するリスクも。クローゼットに入れる前に保管環境を清潔に整えることが重要。
モヘア
モヘア特有のやわらかな長い毛を楽しめるものの、毛が抜けて、服につきやすいデメリットも。また、自宅で洗濯をすると、繊維どうしが絡まりあい、素材ならではのふわふわ感が失われてしまうリスクが。
アルパカ
繊維の強度が高く、長く着用できる丈夫な生地。ただ、ホームケアだと縮みやすいので、手洗いのほうが安心。ドライな風合いで乾燥しやすいため、柔軟剤を使用してうるおいを補給し、静電気を防止。
アクリル・ポリエステル
天然繊維に比べて風合いは劣るものの、シワになりにくいうえに軽量。ウールと同等の保温性があるアクリルや、化学繊維ならではの衣類の立体感や速乾性にすぐれたポリエステルが代表的。
そもそもニットを洗う頻度はどれくらいが正解?
「3〜4回着用後に洗うのがベスト」
ニットは汚れがつきにくいため、3〜4回ほど着てからの洗濯で十分。ただし、食べ物をこぼしたり、においがついてしまったら早めに対処することが必要。
【2】
「洗う前におさらいしたい」よくある洗濯表記
おウチでケアをする際は、まず手持ちのニットの洗濯表示をチェックすることからスタート。これさえ覚えておけば間違いない4つをリストアップ。
「乾燥機使用不可」
タンブル乾燥NGのマーク。タンブル乾燥とは、家庭用のドラム式乾燥機のように衣類を回転させながら温風をあてる方法。基本的にニットは形くずれ防止のために自然乾燥がベスト。
「家庭での洗濯NG」
オケにバツがついたマークは、家庭での洗濯NG。水洗い不可なので、クリーニングに出すのが賢明。ウールやカシミヤなど動物性繊維のアイテムによく見られる表示。
「手洗いOK」
オケに手が表示されているマークは、水温40℃を限度に手洗い可能。手洗いすることで色落ちや素材の縮みを防止できる。洗剤はオシャレ着用を用いるのがオススメ。
「条件つきで洗濯機使用可」
30℃のぬるま湯で、非常に弱い洗い方なら洗濯機使用OK。マークの数字は水温の上限、オケの下の線が増えるにつれて、弱い洗浄力が求められる。実際に洗うときは裏返して洗濯ネットを使用すること。
【3】
キレイを保つ「洗い方の3ステップ」
ニットはふだんのワードローブと同じ洗濯の仕方だと、縮んだり形くずれしてしまいがち。とはいえ難しく考えることは不要。下準備を含めたシンプルな3ステップを伝授。
1.「裏返したニットを洗濯ネットにIN」
ニットを1枚ずつ軽く畳んで、洗濯ネットに入れる。「ネットはニットに対してジャストサイズを選ぶことで、洗濯中にできるシワや毛玉を防ぐことができます」(寺原さん)
2.「少ないダメージですむ洗濯コースを選択」
洗濯モードを選ぶときは“手洗いモード”や“弱水流”、“おしゃれ着コース”で。「柔軟剤を使うことでふわふわとした仕上がりになる一方で、ものによっては毛玉になることもあるので注意」(寺原さん)
3.「脱水は1分以内にとどめる」
工程最後の脱水は30秒〜1分以内にとどめて、ニットにかかるダメージを軽減。長時間行ってしまうと、深めのシワができてしまうリスクが。
1.「大きめの容器にぬるま湯を用意」
ニットがつかるくらいの大きめの容器を用意し、約30℃のぬるま湯に中性洗剤をよく混ぜる。洗うときはニットはすべて裏返しておくことで、ダメージを防ぎ外側の起毛感をキープできる。
2.「3〜5分押し洗いし、よくすすぐ」
洗濯水にニットをひたしたら、約3〜5分押し洗い。汚れが落ちたら、新しいぬるま湯ですすぐ。柔軟剤は何回かすすいだあと投入。「柔軟剤がニットにうるおいを補充するので、静電気防止にも効果的」(寺原さん)
3.「やさしくしぼったらバスタオルで水分をとりのぞく」
すすぎ完了後やさしくしぼったら、バスタオルで包んで水分をとりのぞく。「しぼるときはあくまでもやさしく。雑巾のように強くしぼってしまうと、ニットに大きなシワができてしまいます」(寺原さん)
1本で完結する洗濯洗剤
THE 洗濯洗剤 (Think Nature) 3,480円/THE SHOP SHIBUYA ウール、シルク、ダウン素材、さらにレインウエアまでこれ1本で洗濯可能。少量でしっかりと汚れを落とせる、植物由来100%の洗浄成分配合でコスパも十分。
常識をくつがえす洗剤
パシャバシャ ドライ 500mL 3,850円/サンワード ドライクリーニングで使用しているドライクリーニング溶剤を配合しているため、家で洗えない素材までも洗濯できる、常識をくつがえす洗剤。5分つけたあと、軽くすすぐだけで汚れが落ちるので時短にも貢献。
繊細なウール・カシミヤ専用洗剤
HUMDAKIN ウール&カシミヤ用洗剤 750mL 3,850円/エトランジェ ディ コスタリカ 化学香料を使わず、天然由来のエッセンスなど厳選された原料を使用した、デンマーク発の洗剤。手洗いに最適な肌に負担をかけない成分で、カモミールとサジーのフレッシュな香り。
デリケートな衣類に特化
STEAMERY ランドリーデタージェント デリケート 3,850円/モダニティ シルクやウールなど、デリケートな素材のために開発された北欧製の洗濯洗剤。ラノリンオイルを使用しているため、やわらかく光沢のある仕上がりに。
おウチでクリーニングを実現
MY DRY 80 1,980円/MEDIK 一般の洗濯用洗剤と比べて、繊維へのダメージを最小限におさえ、汚れもしっかり落とせる画期的なオシャレ着用洗剤。通常、ドライクリーニングが必要なウールニットも、自宅での洗濯が可能に。
【4】
ニットが伸びない「最適な干し方」
十分に汚れが落ちても、最後の干し方で形くずれしてしまっては本末転倒。最後の仕上げに最適な「平干し」と「ハンガー干し」の2パターンを検証。
「通気性のよい場所で平たく広げる」
ニットを伸ばさないためには「平干し」がベスト。脱水が終わったら、平たい場所に形を整えて広げるだけ。「専用のネットはショッピングセンターや雑貨屋でも購入可能です」(寺原さん)
「そでがたれないように注意しハンガー干し」
ハンガーを使うときは、水の重みでニットが伸びないよう注意。そでを肩の部分にかけたり、ハンガーを2つ使うのも○。「ニットを屋外で干すときは日光が直接あたらないようにしましょう」(寺原さん)
ニットのよくある悩みを解決
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