新属新種と報告されたオオサンショウウオ化石を展示します

滋賀県立琵琶湖博物館
■概要
 ・大分県宇佐市の安心院(あじむ)地域で見つかっていたオオサンショウウオ化石について、京都大
  学の研究グループが改めて調査した結果、他の種類には見られない独自の形態的特徴があることか
  ら、新属新種として学名「Limnospondylus ajimuensisリムノスポンディルス・アジムエンシス」
  (和名:アジムオオサンショウウオ)と命名された。
 ・報告の化石はこれまでオオサンショウウオ科として琵琶湖博物館が収蔵していた背骨の化石3点。
 ・京都大学による研究成果の報告を受けて、琵琶湖博物館でアジムオオサンショウウオの実物化石を
  常設展示室で展示します。

■展示の詳細
 ・展示物 アジムオオサンショウウオ(学名:Limnospondylus ajimuensis)の実物化石および解説
      パネル
 ・点数  3点(前方胴椎、中部胴椎、尾仙椎)
 ・場所  琵琶湖博物館A展示室
 ・期間  令和8年(2026年)6月30日(火)~8月31日(月)まで

アジムオオサンショウウオの化石。3つの椎骨は大きさや発見場所が異なることから、それぞれ別個体のものと考えられる。


アジムオオサンショウウオの復元画(図の中央)。約350万年前の大分県安心院地域の湖や沼に生息していたと考えられる。一方で現在の安心院地域の河川には、オオサンショウウオが生息している(図の右上)。(C)Kanon Tanaka

■その他
 1. アジムオオサンショウウオについて
    1995年から1997年にかけて、大分県宇佐市安心院(あじむ)地域の約350万年前の地層(津房
   川層)から、オオサンショウウオ科の椎骨化石3点(以下、安心院標本)が北林栄一氏によって発
   見されました。安心院標本は琵琶湖博物館に収蔵され、琵琶湖博物館研究調査報告18号にオオサ
   ンショウウオ属の一種として報告されました。しかし当時は現生種・化石種を含めた比較標本や骨
   学的研究が乏しく、正確な部位の同定や分類学的位置の決定には至りませんでした。そこで野田昌
   裕 京都大学総合博物館研究員、松井正文 京都大学人間・環境学研究科名誉教授、西川完途 京都大
   学地球環境学堂教授の研究グループは、最新の知見にもとづき安心院標本を詳しく分析したとこ
   ろ、この化石がほかのオオサンショウウオ科には見られない独自の形態的特徴の組み合わせを有す
   ることから、新属新種であると報告しました。
    和名をアジムオオサンショウウオ、学名を「リムノスポンディルス・アジムエンシス」と命名
   し、学名の属名Limnospondylusは、ギリシャ語の“limne”(湖)と、“spondylos”(背骨)に由
   来します。種小名ajimuensisは、化石の発見地である安心院に由来します。背骨のに残された成
   長線の観察と、現生種の計測値にもとづく全長推定の結果、アジムオオサンショウウオは18歳前
   後で全長約1.1メートルに達していた可能性が示されました。   

 2. 発見の意義
    アジムオオサンショウウオが発見された津房川(つぶさがわ)層は、約350万年前の湖沼環境で 
   形成された地層であり、ゾウやワニなど、現在の日本には生息していない大型動物の化石も多く発
   見されています。当時の九州北部は、現在よりも温暖で湿潤な環境であったと考えられており、ア
   ジムオオサンショウウオもそのような湖や湿地が広がる環境に生息していたと推定されます。一方
   で、河川環境に生息するオオサンショウウオは、現在も安心院地域を流れる河川に生息していま
   す。本研究は、過去の日本における両生類の多様性を明らかにするとともに、オオサンショウウオ
   科が現在よりも多様な環境に生息した可能性を示す重要な成果です。

 3. 論文情報
    タイトル A new genus of giant salamander (Urodela, Cryptobranchidae) from the Plioc
         ene of Japan(日本の鮮新統から産出した有尾目オオサンショウウオ科の新属)
    著者   Masahiro Noda, Masafumi Matsui, Kanto Nishikawa(野田昌裕、松井正文、
         西川完途)
    掲載誌  PeerJ (DOI:10.7717/peerj.21362)
企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ