毎日のように新しい服を手にするスタイリストという職業。そんなファッションのプロは服のどこを見てどう選ぶ? 今回は「とにかくスタイル重視」の服・小物選びに定評のあるスタイリスト・岩田槙子さんに、そのコツを伺いました。 (※クレジット表記のないものはご本人の私物。ご紹介したアイテムは現在お取り扱いのない場合もございます)
【スタイリスト・岩田槙子さん】

本誌でもモノトーン企画や着まわし企画を担当することが多く、シンプルな配色をしゃれて見せるテクニックに定評あり。身長150cm弱ということもあり私服も、スタイリングもスタイルバランスを最重視。
【1】プロ視点で選ばれた1軍バッグ
毎日を共に過ごすバッグは、見た目がいいだけでなく、使い勝手のよさもゆずれない。日々、多くのバッグに触れるGISELeスタイリストたちの審美眼にかなうものってどんなもの? ※( )内の数字はサイズで縦×横×マチ、単位はcmです。
【BAG’S RULE】
□「好きなブランドを毎シーズン」 □「見た目で映えるデザイン性」

「愛してやまないHEREUは、ほかにない革のやわらかさや、絶妙なカラーが刺さって毎シーズン2〜3個ずつ追加しています。右のMoltaは、結び目のある持ち手と形の美しさが気に入り購入。左のSiniaは、久しぶりにななめがけの気分だったのでトラッドにもカジュアルにも振れるデザインと、ちょっとした小物などを入れる内ポケットのある機能面に惹かれました。黒ベースの私のワードローブに相性がよくて出番が多い2つです」(岩田さん)
【2】「とくに身長が低い人に」バッグと靴の選び方
スタイリスト・岩田さんがスタイリングでも、プライベートでも小物を選ぶ際に重視するポイントを深掘り。見た目だけでなく「長く使える」実用性にも優れた名品をご紹介。
実用的かつどんな服にも似合うサイズ感

「目線を上に上げるため、そして身長が低いということもありあまり大きなバッグはバランスが悪く、かつ小さくても実用性がない。なのでバッグは大きすぎず小さすぎないサイズ感の、肩掛けできるショルダーがベスト」(岩田さん) ベージュ巾着バッグ 39,600円/VASIC(ヴァジックジャパン)
手首に巻きつけてブレスレットがわりにも活躍

「アクセのような役割も兼ねるバッグ。手首に絡めたり、肩にかけたり。仕草も含めて女っぽく」(岩田さん) 黒巾着バッグ 42,900円/アパルトモン(アパルトモン 青山店)
ストライプみたいな異素材MIX

ブラウン巾着バッグ 52,100円/HEREU 「どんな服にも合わせやすく、アクセントになる、オーガニックコットンとカーフレザーのストライプ。手に提げても、クラッチ使いもできる便利なタイプ」(スタイリスト・岩田槙子さん)
愛用のローファー

「ワイドパンツやボリュームスカートとの釣り合いもとれて、脚を短く見せない。ローファーは底が厚めのものが好バランス。さらに甲全体を覆うものではなく、サイドが少し空いたタイプを選ぶことで抜けが出て、バランスよく見える効果も。色はブラウンが万能ですが、明るい色でなく、ブラウンのようなえんじのような、深みのある色が使いやすい」(岩田さん) ローファー 64,900円/HEREU(ショールーム セッション)
ヒールがないぶんアクセントになるものを

「ヒールレスパンプスは甲が浅く肌が出るものを。シンプルな形で、アクセントになる色を選ぶ方がボトムとのメリハリもついて、脚を短く見せない要素のひとつに」(岩田さん) ゴールドパンプス 94,600円/フランチェスコ ルッソ(ロンハーマン)
華奢に見せる繊細なストラップ

「ヒールはスタイルも良く見せてくれて歩きやすい5cm前後がベスト。秋冬になったらソックスとのバランスもいいストラップデザインで脚を華奢に見せつつ、引き締まる黒なら合わせやすく、スタイルもキープできます」(岩田さん) 黒サンダル 48,400円/LAURENCE(ザ・グランドインク)
ソールは厚くボリュームのあるタイプを

NIKEの「エア ジョーダン 6」のゴアテックス仕様のモデルが今お気に入り。とくにキャミワンピースなどヌーディな服と足元のボリュームの対比をバランスよく楽しめる1足です。(岩田さん)
【3】ボトムの選び方「基準はトップスINでキレイかどうか」
「スタイルをよく見せることが大前提。だからボトムは妥協のない少数精鋭・じっくりしっかり選ぶのが基本です。ボトムは体型に大きくかかわるから、理想の1つに出会うのに時間も労力もかかる。そのぶんトップスは難しく考えず、「かわいい!」の直感を頼りにバリエを重視。ボトムでスタイルを保ちながら、トップスはシンプル以上、というイメージです」(岩田さん)
注目している「PRANK PROJECT」

「パンツのウエストにロゴが入ったスポーティなデザインが特徴の、個人的にも注目しているブランド。デザインはもちろんのこと、シルエットも抜群にキレイ。パンツを探している人におすすめ」(岩田さん) アイボリートラウザーズパンツ 24,200円/PRANK PROJECT(プランクプロジェクト 青山店)
ポケットもベルトループもすべてBIG

「バギーのようなワイドシルエット。ポイントは深めの股上。そうすることでルーズには見えないけど、脚線もごまかしてくれるパンツの幅感も生きて、脚は長く見えつつもリラックスした印象に。上品かつきちんと見える色なので、攻めたデザインも試しやすい。フルレングスで穿くだけでなく、靴や合わせるトップスによっては、すそを少しロールアップするなど足元のアレンジもしやすいシルエット」(岩田さん) インディゴデニムパンツ 46,200円/クーキーズー(ロンハーマン)
「低身長でもキレイに見える」ロングスカート

ボトムはしっかり吟味して、長く着られる上質でシンプルものを選ぶのが必須。なので私のボトムワードローブは毎シーズン、毎年変わらず穿いているものばかりです。自然な広がりとキレイに動きが出るヘムライン&ハイウエストのロングは身長の低い私にもぴったり。Tシャツやタンク、ビーサンなど、カジュアルなトップスや足元を1つでキレイに仕上げてくれるので、毎年重宝。まとわりつかない細身のシルエット」(岩田さん) 黒サテンスカート 27,500円/SACRA(インターリブ)
ナチュラルな透け感のスカート風ワイドパンツ

「スカート見えするボリュームシルエット、コットンレースの自然なシワと光沢が春の装いを更新。白っぽいワントーンやモノトーンでまとめると、まろやかで女らしい雰囲気に」(岩田さん) 白シアーワイドパンツ(ベルトつき) 49,500円/GALERIE VIE(ギャルリー・ヴィー 丸の内店) 白でも安心なすそまでの裏地つき。
さりげない遊びがあるものを

「パターンに少しの遊びが効いているCOG THE BIG SMOKE。ツヤとハリがあって、上品だけれど動きやすく快適で、日常生活にもマッチ」(岩田さん) サテンスカート 39,600円/COG THE BIG SMOKE(マルティニーク ルミネ横浜)
長い服はノースリーブで腕を出す

「黒だと重く見えがち、白だと膨張して見えがち。ワンピースなど、丈の長い服はノースリーブで腕を出すことでシャープに、かつ目線を上に上げて。そでぐりが大きく開いただけで凝って見えて、ゆるいカーデをはおるほか、シアーなカットソーを仕込むのもアリ」(岩田さん) 黒ワンピース 33,000円/BACCA(ビー エディション ニュウマン新宿店)
カジュアルすぎない繊細なテレコリブ

「高ストレッチのリブ素材でストレスフリーな着心地。細めのショルダー幅で上品な印象をかもせる。内側のアンダーバスト部分にゴムが配され、タンク形でもしっかりホールド」(岩田さん) ベージュパッドつきタンクトップ 8,800円/MICA & DEAL(MICA & DEAL 恵比寿店)
とくに「スタイル重視」 細く見えるデニムパンツの名品
体のラインを拾わない、もたつかない、ヒップのボリュームが目立たない…限りなく多い理想のデニムに求める条件。そんな希望を満たす至極のデニムを選抜。
脚・尻・色。3つの美しさを同時に

脚は長く細く。ヒップは包みこむように小さく

細身ながらも脚やもも、ヒップに張りつかないスキニーよりもゆるめ感覚な履き心地。ムラなくキレイに色落ちした淡いブルーは、美形なシルエットと相まって、カジュアルながらも品を損なわない。くびれからが脚」と見立てられるハイウエストなら、ヒールに頼らなくてもスタイルよく仕上がる。ハイウエストで気になるヒップのボリュームも、鋭くV状に施したバックヨークでカバー。さらにやや太めのベルト部分でくびれを強調し、締まった印象に。
クセのない色・美しいシルエット

デニムパンツ 9,350円/STYLEMIXER(バロックジャパンリミテッド)
デニムは股上を深めにとった、くびれの位置からまっすぐに伸びる、ほどよい余白のあるシルエット。白Tまでの季節もつなぐ「白Tのようなふわふわニット」。もこもことした質感で立体感が生まれ、見慣れたセットも華やいだ印象。タックINできるほどの適度な厚みだから、ハイウエストパンツとも好相性。
「ヒップラインに丸みを作る」股上深めのハイウエスト

ダークグレーデニムパンツ 24,200円/ソフトハイフン ローファー 17,930円/A de Vivre
股上を深めにとったハイウエストで、ヒップラインをコンパクトに包み込むような美しいシルエットを形成。ひざから下もスキニーのようにぴったりしないから、抜け感も出て似合う靴の幅も増える。
ワイドに頼らない「ハイウエスト+フレア」

白ブルゾン 28,600円/リヨカ、ブラウンバッグ 35, 200円/MOFIORA(ともにアンタイトル) デニムパンツ 27,500円/ホリデイ(ホリデイ/フラッグシップサロン オフィス) ゴールドパンプス 17,600円/ダイアナ(ダイアナ 銀座本店)
脚の始まりを高く見せる、ハイウエストのブルーデニム。腰まわりはフィットさせながら、膝下から広がるベルボトムデザインで、脚線がまっすぐ・伸びて見えるシルエット。ごわつかない生地感で、しゃがんでも窮屈感のない穿き心地。
上品な色落ち具合と絶妙な細身シルエット

デニムパンツ 18,700円/ROLLA’S(ジャック・オブ・オール・トレーズ プレスルーム)
スキニーの一歩手前のような細身の絶妙シルエット。キレイに色落ちしたブルーも相まって、カジュアルなデニムも女性らしく上品な仕上がりに。
穿きやすい「ややフレア」のシルエット

フレアデニムパンツ 14,300円/Levi’s®(リーバイ・ストラウス ジャパン)
一見ストレートかと思いきや「ほんの少しだけ」フレアなシルエット。そのメリットはヒザ上にシルエットの切り替えがあることえ、ヒザ下が長く見えること。すそにも余白があることで合わせる靴の幅も広がる。
「スキニーよりもぴったりしない」細身シルエット

デニムパンツ 25, 300円/THE SHINZONE(Shinzone ルミネ新宿店)
ストレートよりも細身で、スキニーよりもゆるめの絶妙な形。一見フレアかどうかわからないほど、すそに若干広がりを持たせた、端正に装えるシルエット。
スタイル「カバーとUPを兼ねる」バナナシルエット

テーパードブルーデニムパンツ 24,200円/ソフトハイフン
気になる下腹部をゆるりと覆いつつ、くびれの位置で絞りを入れた股上深めの仕立て。足首にかけてスリムに設計されたテーパードシルエットで、ヒップまわりにほどよい丸みを演出。脚にもヒップにも生地がまとわりつかず、もも・ヒップを上手に隠して目立たせない。穿きやすさとスタイルUPを両得できる理想的な1本。
「ゆるすぎない」絶妙ワイドシルエット

ダメージデニムパンツ 15,180円/MOUSSY(バロックジャパンリミテッド)
キレイ色も映える淡い色落ちとゆるすぎない直線美。色落ち&ダメージも、ゆるすぎない直線シルエットやハイウエストによって女性らしく穿けるデニム。股上も深めなのでヒップまわりを締めつけず自然に脚長バランスを演出。
胸下からが脚のようなスーパーハイウエスト

ブルー2WAYデニムパンツ 33,000円/PRANK PROJECT(プランクプロジェクト 青山店)
夏はTシャツやタンクと。秋からはコンパクトなリブニットやカットソーを合わせて。肩のストラップをはずし、ウエストについたホックをとめればワイドパンツとしても着用可能。胸下から始まるウエスト位置、腰まわりや太ももなどの気になる部分を隠してくれるゆとりのあるシルエット。
「脱ぎたくなくなる」都合のいいシルエット

グレースエット 4,026円/ユナイテッドアスレ(キャブ) デニムパンツ 36,300円/ebure(LITTLE LEAGUE INC.)
太もものハリを目立たせず、脚線をまっすぐ・すっきり見せるほどよいゆとりのストレートシルエット。トップスをインしても窮屈に見えない、やや深めの股上とすっきりとした腰まわりのサイジング。後ろはヒップがきゅっと上がって見えるつくりで、360°スタイルがいい人に。ひかえめに入ったセンタープレスが、縦長効果に加えて大人っぽい品をプラス。
「細身でも動きやすい」ストレッチの効いたデニム

インディゴデニムパンツ 42,900円/THE NEWHOUSE(アーク インク)
ストレッチが効いた、柔らかにフィットする太もも部分に対し、膝下からすとんと落ちるストレートシルエット。ふくらはぎのハリをカバーし、脚の始まりから脚先までを直線的に見せてくれる。色ムラのないインディゴブルーで、見た目もひと際シャープに。
黒との合わせも「色味に差がつく」グレーに近い色

「ゆるすぎない」絶妙なゆとりを持たせた、脚のつけ根からすそまで、同じ幅でまっすぐに伸びる美しいストレート。色も真っ黒ではなく、グレーに近いスミ黒なら上下黒にも軽さが出る。小さくても映える赤のバッグをオール黒のさし色に。