買ったばかりの形や風合いを保つためには、日々のメンテナンスケアが重要課題。着る前に知っておきたい基本的な知識から自宅でできるお手入れ方法まで。洗濯&ニットのプロに徹底取材!
【MAINTENANCE SPECIALISTS】 (リネット・近藤高史さん) 日本全国対応の宅配クリーニング「リネット」の品質責任者。「箱につめて渡すだけ」の便利さが、共働き世帯に人気。現在会員数は55万人。 (SLOANE・森内敏子さん) 上質な天然素材を用いたニットブランド「SLOANE」のプレス。日本人にとっての着心地のよさを追求したベーシックなニットは、GISELeでも多数掲載。 (フィットニット・寺原博美さん) 高田馬場にあるニット専門の修理店「フィットニット」の代表取締役。年間1万枚のニット修理実績を誇り、クリーニング店からの依頼も数多い。 (FREDDY LECK sein WASCHSALON・松延友記さん) ベルリン生まれのカフェ&コインランドリー「FREDDY LECK sein WASCHSALON」のブランドプロデューサー。洗濯ソムリエの資格も保有。
ニットを着る前「美しさを取り戻す方法」
オフシーズンを経たニットをとり出すと、しまう前にはなかった汚れが見つかることも。本格的なニットの季節に、チェックしたいポイントとは?
Q.「ふんわり感」がなくなった!
A.スチーマーアイロンで蒸気をあてる
「生地から1〜2cm離した状態でスチームを吹きかけてください。ある程度行ったら、ニットを持って空中で振ってみて。繊維に空気がとり込まれ、ふんわり感が戻ってくるはず」(近藤さん)
人気スタイリストが手放さない名品
〈右から〉STEAMERY Cirrus No.3 アイロンスチーマー Sand 26,400円、Pilo No.2 毛玉クリーナー Sand 9,900円/ともにMODERNITY
「高温のスチームが悪臭をおさえ殺菌してくれるので、頻繁に洗濯できない素材のケアにも最適。北欧らしいデザインがインテリアになじみ、出しっぱなしでも気になりません」(スタイリスト・小山田早織さん) デリケートな素材にも使える毛玉クリーナーも展開。
スチーマーとアイロンのハイブリット。スチームのかけ方によって、プレス加工したような仕上がりにも、優しく自然な仕上がりにもなるアイロンスチーマー。アイロン並みに熱を発するアイロンプレートを搭載し、スチームの質を高めて布を乾燥させ、アイロンをかけることも可能。曲面形状により、プレートと布の摩擦を高め、より効率的にスチームできる。
握るだけで大量スチーム
衣類スチーマー NI-GS410 (オープン価格)/パナソニック 約30秒で立ち上がるため、忙しいときでもサッと使える。大量のスチームでシワをとりながら同時に脱臭。約9分間連続してスチームあてが可能な、大容量タンクを搭載。
傾けても使える都合のいい機能性
衣類スチーマー NI-FS560(黒) 9,900円(参考価格)/パナソニック 長時間使用でき、軽くて持ち運びも便利なためGISELeスタイリストも現場で愛用中。
ペットボトルをタンク代わりにできる旅行好きの味方
スチームワン エスノマド 衣類スチーマー ブラック 15,180円(メーカー希望小売価格)/DMM.com(DMM) フランスメーカーのハンディスチーマー。パワフルなスチームで、ハンガーにかけたままでもしっかりシワをのばせる。ホワイトとの2色展開。
Q.「なんだかカビ臭い?」
A.ドライクリーニングで菌が死滅
「カビが生えてしまったときは、軽度の場合に限り、クリーニング店に持ち込んだほうが安心。また、自宅で水洗いをして改善する場合もありますが、あまりにもひどいときは処分したほうがよさそうです」(古田さん)
Q.「虫食いの穴が…!」
A.「できるだけ早くプロの修理業者へ」
「虫食いの穴は、放置すると虫歯のように広がってしまいます。さらに、ニットは複雑に編み込まれた生地なので、自分での修理はかえって取り返しがつかないことに。そうなる前にプロの業者に持ち込みましょう」(寺原さん)
Q.「収納したときにはなかった黄ばみが!」
A.原因は汗や皮脂汚れの蓄積
「原因は落とし切れていなかった汗や皮脂汚れ。はじめは見えない汚れが、経時変化で黄ばみとしてあらわれる場合があります。自分で手洗いしつつ、頑固な汚れはクリーニング店に頼みましょう」(古田さん)
Q.「クリーニングならどんなところに?」
A.カウンセリング力の高いお店をセレクト
「クリーニング工場併設のお店は、クリーニング師の資格を持つ人をひとり常駐させないといけないため、その人が相談に乗ってくれることがあり、信頼をおきやすい。
取り次ぎタイプのよいお店はスタッフさんも質問にしっかりと答えてくれることが多いです。なので、さまざまな洗濯方法を提案してくれるカウンセリング力の高いスタッフがいるお店を選んでみてください」(松延さん)
「こんなときどうする?」ピンポイントなケアまとめ
ふだんから大切に着ていても、つい汚してしまった!なんてことがあるはず。そんなハプニングにも動じない、覚えておけば必ず役立つ応急処置をシーン別に解説。
Q.「突然の雨でびしょぬれ!」
A.タオルでやさしく水分をふきとり
「雨によるぬれ具合によっては、シミができてしまうことも。まずはあせらずに、タオルでやさしく押さえて水分をとり除きましょう。このとき生地をこするのはNG。その後は風通しのよい場所で陰干しを」(近藤さん)
Q.「ひっかけて糸がほつれた!」
A.何もせずにニット専門の修理業者へ
「ニットは繊細に編まれているので、自分で修理しようとするとかえって穴を広げてしまいます。飛び出た糸を切るのは禁物。早めにプロのお直し専門店にまかせましょう」(寺原さん)
Q.「コーヒーをこぼしてしまった!」
A.色素が染みこむ前にしみ抜き
「コーヒーの色素が生地に残ってしまうので、できるだけ早く洗濯したほうがよいでしょう。ふきとるとしても、乾いた布で軽く押さえる程度に。洗濯できないニットはしみ抜きができる業者に早めに相談」(古田さん)
Q.「リップがついてしまった!」
A.クレンジングオイルや台所用洗剤を活用
「水で洗えるニットなら、クレンジングオイルや台所用洗剤などを使ってもみ洗い。その後洗濯機で洗剤を落としましょう。洗う過程で、リップの色がほかの場所に移らないように注意すること」(古田さん)
A.食べ物や化粧汚れはやさしくふやかす
「カレーやミートソースなどの食べ物や口紅、ファンデーションなどの油溶性の汚れは、ぬるま湯で油ジミをやわらかくゆるめるのがポイント。そのあとは上記の水溶性のシミと同様の洗い方を。それでも落ちなければクリーニング店へ」(松延さん)
Q.「食後ににおいがついてしまった!」
A.入浴後のお風呂の蒸気でにおいをOFF
「入浴後のお風呂場に、ニットをハンガーにかけてつるし、蒸気を吸収させます。その後、通気性のよい場所で干しておくと、蒸気と一緒にいやなにおいをとばすことができます」(近藤さん)
A.液体の汚れには洗剤を直づけ
まずは洗濯表示をチェック。洗濯機洗い、手洗いができるマークがついていればご家庭でシミ抜きが可能です。紅茶やジュース、しょうゆなどの水溶性のシミは、ニット用の洗剤をシミに直接つけて、軽くもみ込んでから水で流すこと。(松延さん)
Q.「干しっぱなしにしてたらのびてしまった!」
A.スチームアイロンをあてて様子見
「ハンガーで干しっぱなしにしていると、首元が伸びてしまうことも。そんなときはスチームアイロンをあててみて。少しずつ縮んでいくはずなので、様子を見ながら、蒸気をあてれば完成です」(寺原さん)