入るだけで気分が変わり、その日の高揚感に直結する柄の効能。だからこそ、せっかく買うなら組み合わせのパターンが多いほうがいい。見た目がよく、さらに“使える”長所がある柄とはどんなもの?それぞれに適した素材やサイズへのこだわりポイントをスタイリング実例とともに深掘り。
【スタイリスト・樋口かほりさん】
毎号表紙も担当するGISELeスタイリスト。大人に似合うカジュアルをモットーに、リアリティのあるアイテム選びの提案と肩の力を抜いて着られる、シンプルカジュアルなスタイリングは毎号多くの反響が。
「柄の選びで失敗しない」4つのルール
高揚感をもたらす一方で、ともすると派手さも気になる、知っておきたい柄アイテムを攻略する方法。「ほどよさ」のあるスタイリングで人気のGISELeスタイリスト・樋口かほりさんにシンプル服とも調和する柄の選び方と、組み合わせ方を聞き込み。
1.【花柄】
白か黒をベースカラーに
かわいげ+洗練された雰囲気へ導く「光沢感のある花柄パンツ」
「花柄というだけで甘さがしっかりとあるので、ベースの色はシャープに見えるものがベター。なかでも見慣れたモノトーンだと、すでにある手持ちのアイテムとも合わせやすいうえ、洗練された印象になります」(樋口さん)
白花柄ワイドパンツ 55,000円/キャバン(キャバン 丸の内店) シルク100%の美しい光沢とドレープ感。柄が細かいと若くなりがちなため、大きめが理想的。 オン/オフを問わず、装いに華やかさを加える花柄。応用がきくモノトーンベースのボトムで、素材に光沢感をそなえたものが洗練度に寄与。
スカートで
スエットを上から重ねたワントーンで柄のインパクトを分散
「総柄だけど形はシンプルだからレイヤードもしやすいマキシワンピ。コットンなど、ラフな素材ならスエットやデニムにも合わせやすくて簡単。発色のよさも手伝って、辛口派にもとり入れやすい甘さに」(樋口さん)
ワンピースで
ブルーデニムとヴィンテージ柄ドレス
「ブルーデニムと白いTシャツ、のように思い浮かぶ組み合わせが多いブルーデニム。その1つとしてとり入れたいのが、ヴィンテージライクな花柄のワンピース。冷静さを保てるモノトーンベースと、デニムを重ねるひと手間。その2つを押さえれば、ガーリーなドレスも味わい深く」(樋口さん)
2.【ストライプ&チェック】
ゆるめな形で細めのピッチ
お堅いシャツやジャケットで「ゆるめなサイズ感」を選択
「ジャケットや美形なパンツなど、キレイめなアイテムを着たいときの、品のいいハズしとして使えるストライプとチェック柄。柄に知性があるぶんシルエットでゆるさを意識すると、まじめすぎずラフすぎず、ほどよい存在感に落ち着きます」(樋口さん)
白×ネイビーストライプワイドシャツ(ブラトップとセット) 42,900円/ベニット(ノーブル 有楽町マルイ店) プルオーバータイプ。とめ具がホックでフロントはすっきり。 柄が細めのものより、太くはっきりとしたほうがコンサバに転ばず扱いやすい。オーバーサイズなら、キレイめからカジュアルまで幅広い場面で有効。
ギンガムチェックでまじめさの中に遊びをひそませて
グレー×白ギンガムチェックジャケット(メンズ) 132,000円/オールド イングランド(オールド イングランド銀座店) メンズサイズならよりくだけた印象に。チェックの注目は、黒やグレー、茶などのシックな色でほっこり見えにくいギンガム。シャツ感覚ではおれるジャケットなら、ワークからレジャーまで、幅広いシーンで活躍。
ショートパンツで
配色も丈も涼しげなパンツで黒の長そでに季節感を投影
「さわやかさを満喫できる、白×ブルー配色。幼くなりかねないアイテムだから、シックな黒とゴールドが効いたアクセがわりのバッグでエレガントな要素を加算」(樋口さん)
ワイドパンツで
配色も素材も心地のいいパンツでジャケットを気負わず仕上げる
「色によっては強くもなりかねないストライプを、春めいたやさしいペールカラーで脱力。さらりとした薄手の生地とワイドなシルエットも手伝い、正統派なジャケットでもリラックス」(樋口さん)
3.【ドット柄】
落ち着きのある色とリラックスシルエットを選ぶ
モードにもキレイめにも使える「モノトーンべースのドット柄スカート」
「クラシカルな雰囲気が長所のドットですが、花柄同様それ自体に甘さがあるので、合わせにも迷わないシックな色が入ったものを選ぶのが賢明。柔らかさのある素材、ややゆとりを持たせたシルエットでレディな柄に抜け感を」(樋口さん)
白×黒ドットサテンスカート 12,100円/SeaRoomlynn すそ幅がやや広がったマーメイドライン。シワになりにくく光沢のあるサテン地。 これからの季節に合うさわやかさをもたらすドットは、細かい柄だとやや幼い印象に。強さにつながる存在感を得られる大きめな粒+ピッチも広めで選ぶのが吉。
ブラウスで
レディな装いでモノトーンの硬派なイメージをやさしく塗りかえ
「柄の面積を狭めつつ、フラットなおなかまわりとの対比でブラウスのやわらかさが生きる、ハイウエストなパンツ合わせ。つまった首元も相まって、ポップな柄も気品のある印象に」(樋口さん)
ビターな色味のブラウンで
ブラウンの渋さでかわいいドットを親しみやすく
「わずかなティアード&ドットのアクセントでメリハリのついたマキシを堂々と1枚で。ハンサムだけど強く見えないビターなブラウン小物で、甘さを引き締めつつもやさしげに」(樋口さん)
4.【リゾート柄】
柔らかく「しっとりとした素材で」
「質感的にはニットのように、やわらかく、上質な風合いに動きをつけることで生まれる女らしさが、リゾート柄を都会っぽく見せてくれます。シャツならどんなにくずしてもきちんと感が残るので、バランスもとりやすいはず」(樋口さん)
メンズライクな装いに映えるデコルテで柄をセンシュアルに解釈
「シルクならではのしっとり感とリュクスなツヤが、ニュアンスをつけたシャツにさらなる奥行きを演出。締まる黒ベースなら、いっそう上品」(樋口さん)
柄を上手に攻略するための「ベーシック服」
柄やキレイな色を上手にとり入れるためにも必要なのは「オシャレの引き出しが多い」ベーシックアイテム。その選び方や活用法などを樋口さんに取材。(※クレジット表記のないものはすべて樋口さんの私物です)
まさにラルフローレンが似合うメンズがヒント
「白Tに白のハーフパンツを合わせて、ばさっとこのシャツを重ねたい。白だけでなく、コクのあるベージュだから、柄をはじめキレイな色とも合わせやすい。ラルフのメンズのルックに出てきそうなスタイリングがイメージです。シャツのパッチと色リンクしたネイビーの眼鏡で知的に装うのもあり」(樋口さん)
迷ったら「角のある小さな黒か白」を
「どちらもカチッとしたフォルムだから、ややゆるめのTシャツと合わせてバランスをとることが多いです。たとえばリラックスしたシルエットの柄の服を着るときの引き締めにも、かっちりとした白と黒小物は便利。フェンディのバッグ(右)はゴールドも相まってエレガントなので、わざとロゴTとスタイリングすることも」(樋口さん)
ゆるいシルエットのほうがキレイに見えることも
「きちんとTシャツ、というとコンパクトなものを想像しがちですが、薄手のBIGサイズなら、ゆとりによって落ち感がはっきりと生まれて体のラインがキレイに見えることも。ジル サンダーの白T(左)はメンズサイズ」(樋口さん)
どちらか1つあれば格が上がるわかりやすい正統派
「たとえばTシャツにスエットぐらい気の抜けた組み合わせでも、この紺ブレか時計のどちらかがあれば、それだけで「考えられたテイストMIX」に。あれこれ考える余裕がないときに頼れる存在」(樋口さん)
ネイビーでワントーン
「引き続いてネイビーですが、白にもキレイ色にも柄にも合わせやすく、上品な印象に仕上がるので夏はとくに重宝。コンバースは色やデザイン違いで10足ぐらい保有。「スニーカーでハズしています」というわかりやすいくずし方が苦手なので、落ち着いて見せるためにボトムとスニーカーの色をそろえることが多いです」(樋口さん)
フラットシューズは「キレイを保てる」もの
「リラックスしたシルエットやペールトーンのやさしいい印象の服にも好都合なのは、ハイヒールよりも高さのないミュールやビーサン。今のオシャレって「がんばっている感」よりも心地よさのほうが大事だし、気どらないぺたんこがちょうどいいなと思います」(樋口さん)