「女性の8割が重視している」 1周まわっていま起きている「とある現象」


東大卒・会社員兼恋愛ライターという経歴を持つジェラシーくるみさんが、恋愛や美容、女性の生き方の悩みについて、自身の経験に基づいて答えていく連載第二弾。


【ジェラシーくるみ】
東大卒の夜遊び職人。昼はしがない会社員。恋愛や美容、女性の生き方についてWebメディアを中心に執筆。フォロワーから寄せられた悩みに答えるPodcast(ジェラシーくるみのぶったぎり!)を配信中。初書籍『恋愛の方程式って東大入試よりムズい』をはじめ、仕事・恋愛・結婚・将来にモヤモヤを抱える25歳以上の生き方本「そろそろいい歳というけれど」も好調発売中。恋愛や人間関係を分析するツイートが人気で、Twitterフォロワー数は約6.3万人。



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周りの恋するアラサー女たちに共通してとある現象」が起きている。

好きなタイプや自分のパートナーの好きなところを挙げる際、軒並み「一周回ってビジュ」という結論に帰着するのだ。ビジュとはビジュアルのことで、つまり見た目。数年前まで我々は、職業や年収、趣味、学生時代の部活、服のセンス、など幾多の条件を並べ、業務用の防虫ネットくらい細かい網目でフィルタリングしていたのに。



結婚相手に求める条件


私の周りだけで巻き起こった異常気象かと思いきや、どうやら全国的に風向きが変わってきているらしい。2021年の国の調査(出生動向基本調査)によると、結婚相手に求める条件として相手の「容姿」を「重視する」もしくは「考慮する」と答えた女性は過去最高の81.3%を記録した。


(引用元)国立社会保障・人口問題研究所
現代日本の結婚と出産


なんと、男性のスコアをわずかに上回る結果となった。この結果だけ見ると「結局イケメンが好きなのか。どうせ相手にされないぞ」と叩かれても文句は言えない。だが我々は、決してルッキズム(外見至上主義)に万歳しているわけではない。



むしろ“イケメン”なんぞ避けて通りたい大罠だ。


三十年も生きていると、世間一般でいう“イケメン”を見ると心臓がトクンとするどころか、頭の中で赤い警告灯がチカチカ点滅するようになる。顔の良さにあぐらをかいて生きてきた一部の“イケメン”の言動に振り回され、傷つけられてきた経験がありすぎるからだ。

「一周回ってビジュ」の指すところのビジュアルの良さとは、「全員が認めるイケメン」ではなく「私のミットに突き刺さる見た目」である。そして、ここでの見た目は顔の造形だけでなく、人相や雰囲気も含む。くしゃっと笑う人、猫っぽい遠心顔の人、キリッと眉毛の戦国武将みたいな顔の人……など、我々は自分だけのスイートスポットを絶妙におさえた男性たちにハマるようだ。



なぜ今、ここにきて「ビジュ」なのか?


背景として女性の賃金基準と自立志向の上昇や、カタログ的に異性をジャッジできるマッチングアプリの浸透など色々な理由が考えられるけれど、つまるところ私は「色々なことに目をつぶれる」からだと考えている。

今の時代、職業や年収は外的環境や本人の転職次第でいかようにでも上下し得る。この人なら、と思って付き合ってみると意外な一面があらわになったりする。何でも不確かな時代だからこそ、ファーストインプレッションの入り口となる「ビジュ」が重視されるのではないだろうか。もちろん年齢を重ねると見た目は変化するが、人相や顔つき、その人自身の雰囲気は三十路を過ぎるとそうそう変わるものではない。



タイプの顔の人に謝られると…つい許してしまう。


この野郎……!と思っても数時間後に寝顔を見ると、もういいかと妥協してしまう。自分の好きな顔というものは、パンパンに張り詰めていた怒りの風船から少しずつ空気を漏らしてしまう魔法を持っている。

そして「価値観の合う人を探せ」とは百万回ほど聞いたことのある言説だけれども、しばらく大人をやっていると、自分と価値観が合う人になどそうそう出会わないことに気づく。合うな、と思って一緒に住んでみると、互いの潔癖度が致命的に違ったり、相手の発した一言にぎょっとしたりして、勝手に裏切られた気分になる。同時に自分の変なこだわりや悪癖、狭量さにも辟易し、「もういい。一生一人で生きていく」とすぐに崩れる決意をするのだ。



自分とぴったり価値観の合う人など、存在しない。


そんな悲しい前提に気づいた我々が「合わないところがあっても目をつぶれる人」を探して行き着いた結論が「一周回ってビジュ」なのだろう。今後はもしかすると、二周回って声、三周回って体臭、になるかもしれない。だが何周回ったとしても、片目もしくは両目をつぶり合える相手がいいなと思う。



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